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2024年の国内ITインフラサービス市場規模は2兆2685億円、保守価格上昇などで今後の予測は引き上げ~IDC Japan調査
2025年5月20日 12:17
IDC Japan株式会社は19日、国内ITインフラストラクチャサービス市場の予測を発表した。同市場の2024年の規模は2兆2685億円、2029年には3兆674億円となる見込みで、2024年から2029年の年間平均成長率は6.2%で推移すると予測している。
調査におけるITインフラストラクチャサービスは、企業などが利用するサーバー/ストレージ/ネットワークなどのITインフラストラクチャに関する、コンサルティング/設計/構築/運用/保守サービスを指す。この分野には、エンタープライズとサービスプロバイダーという2種類の顧客が存在し、それぞれサービス利用の特徴が大きく異なる。
IDC Japanでは、インフレや技術者不足により、ITハードウェア価格と人件費が上昇しているため、インフラの保守運用サービス価格も上昇していると分析。2024年7月にもITインフラストラクチャサービス市場の予測値を発表しているが、特にその後のハードウェア保守価格の上昇により、今回の調査で予測を引き上げている。
また、これまではITインフラをクラウドに移行することにより保守サービスが不要になるため、保守サービス市場の縮小が加速していたが、2025年以降はクラウド移行が一巡しつつあり、保守サービス縮小に歯止めがかかっていることも、予測の引き上げの理由としている。
エンタープライズ(官公庁、金融、製造、流通などの産業分野)では、ユーザー組織が個別にITインフラストラクチャ製品を導入するよりも、クラウドサービスを利用することでインフラコストを抑えられるため、クラウドサービス上で提供されるインフラ機能を利用することが増えていると分析。
一方で、サービスプロバイダー(コンテンツ配信、ソーシャルメディア、ゲーム、各種オンラインサービス、インターネットサービスなど)では、ユーザー数の拡大に応じるためにITインフラの規模を増加させており、インフラ支出は拡大している。
その結果、国内ITインフラストラクチャサービス市場を、エンタープライズ向け市場とサービスプロバイダー向け市場に分けると、エンタープライズ向け市場の年間平均成長率(2024年~2029年)は5.2%であるのに対して、サービスプロバイダー向け市場では10.1%で拡大すると予測している。
さらに、生成AIの利用に関心が高まりAIインフラの導入が進んでいる。IDC Japan Software & Servicesリサーチマネージャーの伊藤未明氏は、「AIインフラの保守運用については、市場が成熟するには至っていないが、今後AIインフラの導入が拡大するにつれて、その保守運用市場も広がる可能性がある」と分析している。