ニュース

パーソルイノベーションとBAKUTAN、AIを活用した人材紹介のマッチングアルゴリズムを共同開発

 パーソルイノベーション株式会社は20日、東京大学 松尾研発スタートアップであるBAKUTAN株式会社と、AI技術ならびにマーケットデザインの理論研究に基づく、エッセンシャルワーカー領域の人材紹介事業における、新たなマッチングアルゴリズムの共同研究を開始すると発表した。

 共同研究では、キャリアアドバイザー(CA)が紹介業務で行う実践的な判断プロセスに即した、採用・不採用履歴をはじめとする時系列情報も考慮した、動的な求人・求職者マッチングアルゴリズムの開発を目指す。

 パーソルイノベーションでは、日本は少子高齢化に伴い労働人口が急速に減少し、特に物流・介護・小売など社会インフラを支えるエッセンシャルワーカー領域で人材不足が深刻化していると指摘。採用難が続く一方で、入社後のギャップにより早期離職に至るケースも多く、求人企業・求職者双方にコストと機会損失を生じさせているという。

 こうした課題を解決する上では、人と企業を適時の情報をもとに結び付ける「静的なレコメンデーション」から発展した、採用・不採用履歴などの時系列情報あるいは、着任後の定着や活躍まで視野に入れた「動的なマッチング」が大きな可能性を持つと説明。こうした背景をもとに、BAKUTANとパーソルイノベーションは、AIとマーケットデザインの知見を融合し、エッセンシャルワーカー領域に特化した新しいマッチングアルゴリズムの共同研究に着手したとしている。

 これまで、内部労働市場(社内異動・配置等)では、マッチング理論に基づく「社内ポストと社内人材のマッチングを最適化する手法」が一定の成果を挙げているが、外部労働市場(転職)では、採用・不採用という意思決定が連続して起こる、あるいは求職者・企業の条件がダイナミックに変化する、といった時系列情報・不確実性が入り込み、従来の静的条件を仮定とするモデルでは適切に扱えないことが、既存理論の社会実装における課題となっている。

 また、現状人材紹介領域で多く実装されているレコメンデーションアルゴリズムは、履歴書情報・スキルなど静的データを中心に扱うが、過去の不採用・内定取り消し・入社後の早期離職といった動的な履歴といった、「求職者のジャーニー」は各CAの現場の知識や経験に頼らざるを得ず、体系化が進んでいないという。

 共同研究では、BAKUTANが持つAIおよびマーケットデザインの研究知見と、パーソルイノベーションがもつこれまで培ったマッチングノウハウを掛け合わせた動的マッチングアルゴリズムの研究を行う。まずはエッセンシャルワーカー層の紹介業務にフォーカスし、採用効率とミスマッチ低減を両立するソリューションの確立を目指す。

 研究開発したアルゴリズムは実証実験を経て、サービス実装へ展開予定。将来的には、決定後の定着率・活躍度・エンゲージメントといった、紹介後の「キャリアオーナーシップ」までをカバーする高度な最適化の他、ソリューション適用範囲の他職種・他地域へのスケールアウトも目指すとしている。