シスコ、データセンターのクラウド移行を促進する「Cisco UCS」新製品群を発表
クラウド対応スイッチ製品のポートフォリオも拡充
クラウドビジネス事業推進 執行役員の吉野正則氏 |
シスコシステムズ合同会社(以下、シスコ)は13日、データセンタープラットフォーム「Cisco Unified Computing System」(以下、Cisco UCS)のラインアップを強化し、第3世代ファブリックコンピューティングプラットフォームを実現する新製品群を発表した。あわせて、クラウド対応スイッチ製品のポートフォリオを拡充し、100GE(ギガビットイーサネット)および40GEに対応する製品群を発表した。
今回のデータセンター向け新製品群の発表にあたり、クラウドビジネス事業推進 執行役員の吉野正則氏が同社のクラウド戦略について説明。「クラウドの進化にともない、データセンターのトラフィック量は今後も爆発的に増加していくことが見込まれる。こうした背景の中で、当社は、“The World of Many Cloud”をキーワードに、さまざまなクラウドが有機的に連携し、クラウドを介して人とビジネスがつながる世界を目指している。そして、この実現に向けたクラウド戦略として、『クラウド構築のためのカスタマイズソリューション』、『クラウドサービスの利用を加速するイノベーション』、『強力なパートナーエコシステムに基づくオファリングの提供』の3つの取り組みに注力し、企業のクラウド活用をトータルに支援している」という。
シスコのクラウド戦略 | クラウド戦略における3つのソリューション展開 |
特に、「クラウド構築のためのカスタマイズソリューション」の取り組みでは、「ユニファイドデータセンター」、「クラウドアプリケーション」、「クラウドインテリジェントネットワーク」の3つのソリューションを展開。今回発表された新製品群は、このうちの「ユニファイドデータセンター」の領域に含まれるものとなる。「3つのソリューションの中でも、クラウドを支える柱を担うのがユニファイドデータセンター関連のソリューションだ。今回、この製品ラインアップを拡充することで、“The World of Many Cloud”実現に向けた戦略をさらに加速し、データセンターの仮想化やクラウドへの移行を促進する」と、吉野氏は、今回の新製品群が同社のクラウド戦略において重要な意味をもつことを強調した。
データセンター/バーチャライゼーション事業 ユニファイドコンピューティングシステム プロダクトマネージャの中村智氏 | 第3世代ファブリックコンピューティングの概要 |
次に、データセンター/バーチャライゼーション事業 ユニファイドコンピューティングシステム プロダクトマネージャの中村智氏が、データセンタープラットフォーム「Cisco UCS」の製品戦略について説明した。「『Cisco UCS』のラインアップ強化によって実現する第3世代ファブリックコンピューティングでは、顧客のこれまでの投資を保護しながら、統合によるパワー、および技術革新と拡張性を提供する。具体的には、最新インテル Xeon E5-2600プロセッサ ファミリを搭載し、仮想化環境およびクラウドプラットフォームに最適化したサーバー新モデルを投入。また、サーバー管理ツール『UCS Manager』を機能強化し、ブレードおよびラックサーバー両方を共通の要素として一元管理できるようにした。さらに、ネットワークファブリック製品についても、各レベルで新たなブロックモジュールを提供し、高い拡張性と低レイテンシのネットワーク環境を実現する」としている。
「Cisco UCS」関連の新製品の特徴は、サーバー製品では、最新インテル Xeon プロセッサE5-2600を搭載したブレードサーバー「Cisco UCS B200 M3」、ラックマウントサーバー「Cisco UCS C220 M3」「Cisco UCS C240 M3」の計3機種を新たにラインアップ。従来のCisco UCSサーバーに比べて、最大8倍のメモリ容量と最大4倍のI/O性能を実現するなど、パフォーマンスを大幅に向上したほか、柔軟性と効率性をさらに増すことで、データセンターのニーズ拡大に対応する。特に、ブレードサーバー「Cisco UCS B200 M3」は、ハーフ幅のブレードサイズで24DIMMスロット、最大80GbpsのI/O帯域幅により業界最高水準のバランスが取れた高い汎用性とコンピューティング密度を提供する。
サーバー製品の新ラインアップ | ネットワークファブリック製品の新ラインアップ |
サーバー管理ツール「UCS Manager」では、同社のユニファイドファブリック技術による統合機能の強化によって、ブレードおよびラックサーバーを一元化して単一ドメインで管理することが可能となった。このUCS統合管理機能は、業界初になるという。また、同社では、今年下半期に、「Cisco UCS」の大規模導入をサポートする複数のCisco UCSドメインを集中管理する技術を発表する予定。これにより企業は、数千台規模のサーバーが、単一のデータセンター内か、世界中のデータセンターに分散されているかを問わず、クラウド環境に最適な業界最高水準の自動化と統合管理を実現できるという。
このほか、ネットワークファブリック製品としては、ファブリックインターコネクト「Cisco UCS 6296UP」、ブレードシャーシ用I/Oモジュール「2204XP」、I/Oオプションの仮想化インターフェイスカード「VIC1240」を新たに提供する。「Cisco UCS 6296UP」は、Cisco UCSファブリックのスイッチング容量を960Gbpsから1.92Tbpsへと2倍に拡大し、エンドツーエンドのレイテンシを40%低減する。また、「VIC1240」は、各シャーシあたり80Gbps、160Gbpsから選択でき、処理負荷の突発的な増加にも対応可能となっている。
データセンター/バーチャライゼーション事業 データセンター スイッチング プロダクトマネージャの及川尚氏 | 「Cisco Catalyst 6500シリーズ」と「Cisco Nexus 7000シリーズ」で100GEおよび40GEに対応 |
あわせて発表されたクラウド対応スイッチ製品の戦略については、データセンター/バーチャライゼーション事業 データセンター スイッチング プロダクトマネージャの及川尚氏が説明。「当社では、データセンター向けに『Cisco Nexus』、エンタープライズキャンパス向けに『Cisco Catalyst』と、用途別に2シリーズのクラウド対応スイッチ製品を展開している。今回、この2シリーズで、100GEおよび40GEに対応したポートフォリオを拡充する。これにより、データセンター、キャンパス双方において、今後も次世代エンタープライズネットワークをけん引していく」としている。
データセンター向けスイッチ製品「Cisco Nexus」では、データセンターとサービスプロバイダー間を接続する「Cisco Nexus 7000シリーズ」向けに、「M2シリーズ XLオプション付き2ポート100GEモジュール」と「M2シリーズ XLオプション付き6ポート40GEモジュール」を追加し、100GEおよび40GEに対応。一方、エンタープライズキャンパス向けスイッチ製品「Cisco Catalyst」では、「Cisco Catalyst 6500シリーズ」向けに、「40GEインターフェイスモジュール」を追加する。40GEモジュールの各スロットは、FourXアダプタを使用することで4つの10GEポートとしても利用できるため、現在のニーズに合わせて10GEを導入すると同時に、将来の40GEへの移行をサポートする。
このほか同社では、キャンパスアグリゲーションとデータセンターのトップオブラックスイッチを拡張するため、高密度10GEスイッチングを提供する新しい固定構成プラットフォームとして「Cisco Catalyst 4500-X スイッチ」と「Cisco Nexus 3064-X スイッチ」を発表。さらに、クラウドに対応した仮想インフラ向けプラットフォームとして、Virtual Extensible LANまたはVXLANをサポートした最新の「Cisco Nexus 1000V」と「Cisco Virtual Security Gateway(VSG)」、およびデータセンター向けに拡張性の高い仮想サービスを提供するアプライアンス製品「Cisco Nexus 1010-X」も同時に発表している。