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シスコ、中小規模向けサーバー「UCS Mini」など新製品群を発表
従来製品も強化、新しいITデザインを持ち込んだ“UCS 2.0”を実現へ
(2014/9/19 06:00)
シスコシステムズ合同会社(以下、シスコ)は18日、サーバー製品「Cisco UCS」の新製品群を発表した。9月4日に米国で発表された製品群の、国内での発表となる。
新しい製品ラインアップとしては、企業の拠点(エッジ)に向けた中小規模の「Cisco UCS Mini」と、クラウドのような大規模構成向けの高密度サーバー「Cisco UCS Mシリーズ」が発表された。
また従来製品ラインアップでは、UCS Cシリーズ(ラックマウントサーバー)とBシリーズ(ブレードサーバー)の第4世代製品である「Cisco UCS C220 M4」「Cisco UCS C240 M4」「Cisco UCS B200 M4」を発表。ラックマウントのストレージサーバー製品「Cisco UCS C3160シリーズ」も発表された。Mシリーズ以外は9月販売開始、Mシリーズは10月販売開始予定。
記者発表会において、執行役員 ユニファイドコンピューティング事業の俵雄一氏は、製品ラインアップの拡大について「従来のデータセンターに加えて、エッジやクラウド規模にも、これからのITに求められる新しいデザインを持ち込んだ。UCSはあらゆる規模のアプリケーションを最適化する。社内では“UCS 2.0”と呼んでいる」と語った。
中小規模構成向けの「UCS Mini」
UCS Miniは、データセンターではない支店などの拠点(エッジ)に設置することを想定した製品。「『UCSは10台や20台以上入れないと効果ないよね。6~8台ぐらいで使いたいんだけど』というユーザーの声に応えた」と、APJデータセンターバーチャライゼーション UCS日本担当プロダクトマネージャーの中村智氏は背景を語る。
UCS Miniは、UCS Bシリーズのブレードサーバー(発売当初はM3、後にM4に対応予定)からなり、1~15台の構成に対応する。最大の特徴は、各サーバーを相互接続するファブリックインターコネクトスイッチを、従来のトップオブラック型から、ブレードのシャーシに搭載可能なサイズに小型化したことだ。
また、データセンターではない拠点に設置することを想定し、AC100V電源にも対応した。UVS Cシリーズのラックマウントサーバー(最大7台)と接続してさらに拡張することもでき、将来はシャーシのカスケード接続にも対応予定。データセンターや本社などのUCSから全拠点のUCS Miniを一括管理することもできる。参考価格は、ブレードサーバーや保守サービスを含まない価格で3万168ドルから。
大スケール向けの高密度モジュラーサーバー「UCS Mシリーズ」
UCS Mシリーズは、クラウド規模の大スケール向けの高密度サーバー。ブレードサーバーを進化させたモジュラー型で、従来のブレードに相当するコンピューティングカートリッジに、2台の独立したサーバーを収納。2Uのシャーシに最大8台のコンピューティングカートリッジ(16台のサーバー)を搭載する。
コンピューティングカートリッジは従来のUCSのブレードと異なり、ネットワークインターフェイスもサーバーから分離してシャーシごとに共通化。自身ではCPUとメモリの部分のみを持つ。コンピューティングカートリッジからネットワークやストレージの間は、Cisco System Link技術によって接続する。これによって、各ノードをシンプル化して高密度を実現し、ケーブルも減らしている。
各サーバーは、Xeon E4-1200 v3シリーズ(1ソケット)のCPUと、4つのDIMMで最大32GBのメモリを搭載する。シャーシ単位の共通リソースとしては、SSD×2または4基や、40GbE×2ポートのネットワークを搭載する。価格は後日決定。
「エンタープライズでは1台のサーバーを仮想化していくつものアプリケーションを動かすが、クラウド規模では1つのアプリケーションをいくつものサーバーで動かすというように、アーキテクチャが逆転する」と、中村氏は従来製品との要件の違いを説明した。ターゲットとしては、クラウドサービスプロバイダーやオンラインゲーム、分散処理などを想定しており「実際にMシリーズを紹介したところ、『こういうサーバーが欲しかった』という声もいただいている」(同氏)という。
第4世代のデータセンター向けUCSサーバーと運用管理ソフト
従来のデータセンター向け製品の後継となる第4世代のUCS製品としては、ラックマウントサーバーの「Cisco UCS C220 M4」「Cisco UCS C240 M4」と、ブレードサーバーの「Cisco UCS B200 M4」が発表された。参考価格は、C220 M4が6560ドルから、C240 M4が6750ドルから、B200 M4が6220ドルから。
第4世代製品では、CPUがXeon E5-2600V3(Haswell)となった。また、VIC(Virtual Interface Card、仮想化対応ネットワークカード)が第3世代となり、2倍のホストPCIe性能や処理性能を実現したという。また、ネットワークカード用のmLOM(モジュラーLOM)スロットとRAIDコントローラ専用スロットを設けることで、フラッシュストレージやグラフィックカードにPCIeを有効利用できるようにした。
統合運用管理ソフトのCisco UCS Directorも第4世代にアップデート。CiscoのポリシーベースのSDN技術「ACI」に対応したほか、「UCS Director for BigData」によりHadoopの大規模クラスタの統合管理に対応。また、パフォーマンスモニタリングの「UCS Performance Manager」により、複数の機器の状況を1画面で表示し、ボトルネックなどを俯瞰(ふかん)して見られる。なお、UCS Performance Managerは、Zenossがベースになっている。
そのほか、ラックマウントの大容量ストレージサーバー「Cisco UCS C3160シリーズ」とその製品「Cisco UCS C3164」も発表された。4Uの筐体で240TBの容量を持ち、HadoopやCephなどによるビッグデータでの利用を想定する。価格は後日決定で、米国では9万8600ドルから。