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シスコ、中小規模向けサーバー「UCS Mini」など新製品群を発表

従来製品も強化、新しいITデザインを持ち込んだ“UCS 2.0”を実現へ

 シスコシステムズ合同会社(以下、シスコ)は18日、サーバー製品「Cisco UCS」の新製品群を発表した。9月4日に米国で発表された製品群の、国内での発表となる。

 新しい製品ラインアップとしては、企業の拠点(エッジ)に向けた中小規模の「Cisco UCS Mini」と、クラウドのような大規模構成向けの高密度サーバー「Cisco UCS Mシリーズ」が発表された。

 また従来製品ラインアップでは、UCS Cシリーズ(ラックマウントサーバー)とBシリーズ(ブレードサーバー)の第4世代製品である「Cisco UCS C220 M4」「Cisco UCS C240 M4」「Cisco UCS B200 M4」を発表。ラックマウントのストレージサーバー製品「Cisco UCS C3160シリーズ」も発表された。Mシリーズ以外は9月販売開始、Mシリーズは10月販売開始予定。

 記者発表会において、執行役員 ユニファイドコンピューティング事業の俵雄一氏は、製品ラインアップの拡大について「従来のデータセンターに加えて、エッジやクラウド規模にも、これからのITに求められる新しいデザインを持ち込んだ。UCSはあらゆる規模のアプリケーションを最適化する。社内では“UCS 2.0”と呼んでいる」と語った。

執行役員 ユニファイドコンピューティング事業の俵雄一氏
データセンターに加え、エッジやクラウド規模にもUCSの製品ラインアップを拡大

中小規模構成向けの「UCS Mini」

中小規模向けの「Cisco UCS Mini」

 UCS Miniは、データセンターではない支店などの拠点(エッジ)に設置することを想定した製品。「『UCSは10台や20台以上入れないと効果ないよね。6~8台ぐらいで使いたいんだけど』というユーザーの声に応えた」と、APJデータセンターバーチャライゼーション UCS日本担当プロダクトマネージャーの中村智氏は背景を語る。

 UCS Miniは、UCS Bシリーズのブレードサーバー(発売当初はM3、後にM4に対応予定)からなり、1~15台の構成に対応する。最大の特徴は、各サーバーを相互接続するファブリックインターコネクトスイッチを、従来のトップオブラック型から、ブレードのシャーシに搭載可能なサイズに小型化したことだ。

 また、データセンターではない拠点に設置することを想定し、AC100V電源にも対応した。UVS Cシリーズのラックマウントサーバー(最大7台)と接続してさらに拡張することもでき、将来はシャーシのカスケード接続にも対応予定。データセンターや本社などのUCSから全拠点のUCS Miniを一括管理することもできる。参考価格は、ブレードサーバーや保守サービスを含まない価格で3万168ドルから。

Cisco UCS Miniの実機。背面(右写真)左端が、小型化されシャーシ内に置かれるファブリックインターコネクトスイッチ「UCS FI 6324」
APJデータセンターバーチャライゼーション UCS日本担当プロダクトマネージャーの中村智氏
UCS Miniの特徴

大スケール向けの高密度モジュラーサーバー「UCS Mシリーズ」

Cisco UCS Mシリーズ(Cisco UCS M4308)

 UCS Mシリーズは、クラウド規模の大スケール向けの高密度サーバー。ブレードサーバーを進化させたモジュラー型で、従来のブレードに相当するコンピューティングカートリッジに、2台の独立したサーバーを収納。2Uのシャーシに最大8台のコンピューティングカートリッジ(16台のサーバー)を搭載する。

 コンピューティングカートリッジは従来のUCSのブレードと異なり、ネットワークインターフェイスもサーバーから分離してシャーシごとに共通化。自身ではCPUとメモリの部分のみを持つ。コンピューティングカートリッジからネットワークやストレージの間は、Cisco System Link技術によって接続する。これによって、各ノードをシンプル化して高密度を実現し、ケーブルも減らしている。

 各サーバーは、Xeon E4-1200 v3シリーズ(1ソケット)のCPUと、4つのDIMMで最大32GBのメモリを搭載する。シャーシ単位の共通リソースとしては、SSD×2または4基や、40GbE×2ポートのネットワークを搭載する。価格は後日決定。

 「エンタープライズでは1台のサーバーを仮想化していくつものアプリケーションを動かすが、クラウド規模では1つのアプリケーションをいくつものサーバーで動かすというように、アーキテクチャが逆転する」と、中村氏は従来製品との要件の違いを説明した。ターゲットとしては、クラウドサービスプロバイダーやオンラインゲーム、分散処理などを想定しており「実際にMシリーズを紹介したところ、『こういうサーバーが欲しかった』という声もいただいている」(同氏)という。

UCS Mシリーズの特徴
サーバーからネットワークインターフェイスも分離しCisco System Linkで接続

第4世代のデータセンター向けUCSサーバーと運用管理ソフト

 従来のデータセンター向け製品の後継となる第4世代のUCS製品としては、ラックマウントサーバーの「Cisco UCS C220 M4」「Cisco UCS C240 M4」と、ブレードサーバーの「Cisco UCS B200 M4」が発表された。参考価格は、C220 M4が6560ドルから、C240 M4が6750ドルから、B200 M4が6220ドルから。

 第4世代製品では、CPUがXeon E5-2600V3(Haswell)となった。また、VIC(Virtual Interface Card、仮想化対応ネットワークカード)が第3世代となり、2倍のホストPCIe性能や処理性能を実現したという。また、ネットワークカード用のmLOM(モジュラーLOM)スロットとRAIDコントローラ専用スロットを設けることで、フラッシュストレージやグラフィックカードにPCIeを有効利用できるようにした。

 統合運用管理ソフトのCisco UCS Directorも第4世代にアップデート。CiscoのポリシーベースのSDN技術「ACI」に対応したほか、「UCS Director for BigData」によりHadoopの大規模クラスタの統合管理に対応。また、パフォーマンスモニタリングの「UCS Performance Manager」により、複数の機器の状況を1画面で表示し、ボトルネックなどを俯瞰(ふかん)して見られる。なお、UCS Performance Managerは、Zenossがベースになっている。

Cisco UCS C220 M4ラックマウントサーバー
Cisco UCS C240 M4ラックマウントサーバー
Cisco UCS B200 M4ブレードサーバー
第4世代Cisco UCSサーバー(Cシリーズ・Bシリーズ)
UCS C240 M4の内部。モジュラーLOMやRAIDコントローラ専用スロットを装備
第3世代VIC
統合運用管理ソフトの第4世代Cisco UCS Director
パフォーマンスモニタリングのCisco UCS Performance Manager

 そのほか、ラックマウントの大容量ストレージサーバー「Cisco UCS C3160シリーズ」とその製品「Cisco UCS C3164」も発表された。4Uの筐体で240TBの容量を持ち、HadoopやCephなどによるビッグデータでの利用を想定する。価格は後日決定で、米国では9万8600ドルから。

Cisco UCS C3160シリーズ
Cisco UCS C3160シリーズの特徴

高橋 正和