日商エレとジュニパー、総合技術サポートを提供する新会社を共同設立

エンタープライズ/データセンター市場向けに販売拡大を図る


ジェイネットワークイニシアティブ(JNI)の役割
日商エレ 代表取締役社長の瓦谷晋一氏

 日商エレクトロニクス株式会社(以下、日商エレ)とジュニパーネットワークス株式会社(以下、ジュニパー)は7日、ジュニパー製品の総合技術サポートを提供する新会社「ジェイネットワークイニシアティブ株式会社(以下、JNI)」を設立すると発表した。日商エレの新技術サービスセンター「NETFrontier Center」を活用し、これまで以上に質の高いサポートを、ジュニパーのグローバルアライアンスパートナーや事業者、販売パートナーに向けて提供するという。なお設立は11月2日付けで、営業開始は2012年1月1日の予定。出資比率は日商エレが92%、ジュニパーが8%。

 JNIの主要事業は、ジュニパー製品導入のコンサルティング、設計、構築、保守などの総合技術サポートの提供。ジュニパー製品はコアルータで大きな実績とシェアを持つが、JNIが対象とするのはエンタープライズ市場とデータセンター市場で、日商エレの技術支援と製品/ソリューションにおける知識・経験をもとに、ジュニパー製品の両市場への販売を強化するのが狙いという。

 日商エレ 代表取締役社長の瓦谷晋一氏は、「当社では、国内での導入実績がない中、先進的な製品を広めたいという思いでジュニパー製品の市場開拓に尽力してきた。1998年には日本初めての代理店となり、通信事業者向けにハイエンドルータ製品の販売を開始して保守網の整備、認定技術者の増員や、検証施設の拡充を進めて厳しい通信事業者の要求に応えられる保守技術サポート力を強化してきた」と、ジュニパーとの関係に言及。

 「その後、スイッチ製品の『EXシリーズ』、セキュリティ製品の『SRXシリーズ』をエンタープライズ市場へ、また2011年にはデータセンター市場向けの『QFXシリーズ』を投入してきた。当社では、ジュニパーとともに新会社を設立。両社の技術力、技術サポート力を共同活用して質の高い保守サポートを提供し、お客さまが安心して製品を利用できるように尽力することで、急激な拡大が予想されるデータセンター市場への、製品販売の拡大を目指す」と狙いを話した。

 また、日商エレからJNIの代表取締役社長に就任した牧野孔治氏は、合弁会社設立の大きな目的として“即応力”を挙げる。つまり、ビジネス環境の変化に合わせた顧客からのニーズに対して、より迅速に対応する必要が生まれており、このためにジュニパーとの関係をより緊密にする必要があるということだ。牧野社長は、「例えば、ジュニパーの技術陣が常駐する、といった対応をすることで、これまで以上の技術体制を構築できる。これからも、QFXシリーズなど先進的な製品が投入されいく中、ジュニパーと日商エレがばらばらで対応するのではなく、しっかりと組みながら進めていくので、お客さまにもメリットがある」とアピールした。


本社は東京・江東区の豊洲で、同所にある日商エレの新技術サービスセンター「NETFrontier Center」を活用するJNI 代表取締役社長の牧野孔治氏

 一方、ジュニパー側でも大きなチャレンジととらえているという。同社 代表取締役社長の細井洋一氏は、「当社ではこれまで、技術的な投資を積極的に行ってきたが、販売や販売網への投資は今回が世界でも初めてで、その点では期待している。これがきっかけとなって、エンタープライズ市場のネットワーキングの世界を変えていける礎になれば」とコメント。なぜ日商エレを選んだのかという点には、「競合の製品を取り扱っていないことだ」とした上で、「日本法人が1999年に設立される前から当社製品を日本市場に紹介していただいた」と説明し、日商エレが培ってきた知識や実績の積み重ねにも期待しているとした。

 JNIの従業員数は約30名でスタートし、2016年度には約90名に拡大する計画。製品販売を含まないサポートからの売り上げも、2012年度に2億円、2016年度に11億円を見込む。

 「日商エレとジュニパーの関係は今年で14年目に入っており、豊富な製品知識と技術を持ったエンジニアによって、信頼性の高い技術サービスを提供していく。日商エレにとっても、メーカーとの合弁会社は初めてのチャレンジ。ジュニパー製品の革新的な製品群をもって、これから拡大するデータセンターならびにクラウドの市場に向けて、しっかりとビジネスを展開したい」(JNIの牧野社長)。

 なお今後は、日商エレの親会社の双日とも連携して、アジア地域を含めたグローバルネットワークを活用し、海外への事業展開も検討するとのことだ。


本社は東京・江東区の豊洲で、同所にある日商エレの新技術サービスセンター「NETFrontier Center」を活用する会見後は記念撮影も行われた
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