IDC Japan、東日本大震災の影響を織り込んだRDBMS市場予測を発表


 IDC Japan株式会社は7月5日、東日本大震災の影響を織り込んだ国内リレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)市場予測を発表した。2011年の国内RDBMS市場規模は1466億1900万円となり、2010年から8.5%縮小する見込み。また、2010年~2015年の年平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は1.6%、2015年の市場規模は1709億5400万円と予測する。

 2010年の国内RDBMS市場規模は、前年比成長率5.1%の1580億5300万円。前年の2009年は、リーマン・ショックから広がった世界的な景気後退の影響を大きく受ける中、公共案件が市場を牽引したが、金融以外の他産業全般で、RDBMSへの投資がマイナスへ転じ、前年比成長率はマイナス2.5%となっていた。2010年は、2009年に比べ公共案件が一段落する一方、製造業とサービス業で2009年の投資を控えた反動があり市場を牽引。他産業では流通、通信も好調だったが金融は小幅な成長に落ち着いた。

 2011年の国内RDBMS市場は、前年比成長率マイナス8.5%、市場規模1446億1900万円と予測している。2011年は、東日本大震災の影響から企業の投資優先順位が変化することによるプロジェクトの延伸、低価格なRDBMSの採用、RDBMSの統合などによるコスト削減努力により、リーマンショックの影響を受けた2009年時を超える市場縮小になると予測する。

 IDC Japanソフトウェア&セキュリティ グループマネージャーの赤城知子氏は「2011年の国内RDBMS市場は、東日本大震災による直接的な被災地のダメージと、電力不足、景況悪化といった国内全体に与える影響により、縮小すると予測している」と市場縮小の要因を挙げる。

 また、「大震災を契機に、企業のコスト削減志向がさらに高まり、多数のRDBMSを保有する企業では、データベース集約によるライセンス数削減や運用効率改善の勢いが増すとみている」として、コスト削減が一段と進むことも指摘。一方で、「企業にとって重要なデータ資産は、企業の生命線であることから、より安全な場所、信頼性の高いシステムやサービスに移行する動きが強まると考えられる」として事業継続性を重視したシステムやサービス選択がなされると見ている。

 「これらの背景から、ソフトウェアとハードウェア一体型のワークロード最適化システムなど、多様なソリューションがRDBMSを中心としたベンダー競争力を左右する。今後はベンダー間の合従連衡や企業買収による多角的なポートフォリオの実現の動きが加速する」として、多角的なシステムやサービス提供を目指して買収や提携が進むと分析している。

 今回の発表は、IDC Japanが発行したレポート「国内構造化データ管理ソフトウェア市場 2010年の分析と2011年~2015年の予測: 東日本大震災による影響を考慮」(J11310104)にその詳細が報告されている。

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