2015年の国内クラウドサービス市場は2557億円、震災前予測より600億円以上の上方修正~IDC Japan


国内クラウドサービス市場 セグメント別売上額予測、2010年~2015年(出典:IDC Japan)

 IDC Japan株式会社は28日、国内クラウドサービス市場予測を発表した。

 それによると2011年の同市場規模は、前年比45.6%増の660億円。また、2010年~2015年のCAGR(年平均成長率)は41.3%で、2015年の市場規模は2557億円との予測がなされているが、これは2011年3月(東日本大震災前)の調査結果と比較すると、600億円以上の上方修正になっているという。

 その理由としてIDC Japanが挙げているのが、やはり大震災の影響。リスク管理に対する企業の意識が高まっており、電力不足に対する懸念からも、クラウドサービスへの需要が急激に増加している。

 その一方で、こうした新規に検討を始めた企業にとって、「標準化されたサービス」という、クラウドサービスの特徴が導入障壁になっているという点を指摘。本格的な導入にあたっては、業務プロセスやITアーキテクチャの見直しといった、時間のかかる作業が必要になることから、データバックアップ、コミュニケーションといった、比較的に導入の容易なサービスから利用が広まっているとした。

 ただし、短期的に導入できなかったとしても、利用検討を行う企業が増加したことには大きな意味があるほか、「標準化されたサービス」は、「迅速性」「拡張/縮小性」「低価格性」といった価値をもたらす重要な要素であることから、長期的に企業の理解が進めば、「標準化されたサービス」は必ずしも導入障壁にならないという点も指摘。長期的にはクラウドの導入が、大震災前よりも促進されるために、2015年の想定市場規模が以前の調査結果よりも拡大すると想定している。

 加えて国内のクラウドサービス市場では、これまで以上にリスクを管理しながらサービスを利用するユーザーが増加すると予測されており、IDC Japan ITサービスグループ リサーチマネージャーの松本聡氏は「競合状況が激化する中、徹底的な情報開示はベンダーに対するユーザーの信頼を向上させ、市場競争力を高める」と分析している。

 なおIDCでは、世界クラウドサービス市場規模も予測している。それによると、2010年~2015年はCAGR27.6%で推移し、2015年の同市場規模は、2010年比で3.4倍の、729億ドルになると予測している。

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(石井 一志)
2011/6/28 14:04