エクイニクス、東京第3データセンターを公開
米本社幹部が来日し、開所式を開く
エクイニクス・ジャパン株式会社(エクイニクス)は、日本における3番目となるInternational Business Exchangeデータセンター(TY3 IBX)を、東京都江東区に開設。6月21日、同センターにおいて開所式を行い、運用を開始した。
開所式に出席する(左から)、米Equinix アジアパシフィック地域担当のサミュエル・リープレジデント、スティーブ・スミスCEO、エクイニクス・ジャパンの古田敬社長 |
玉ぐし奉てんの儀を行うエクイニクス・ジャパンの古田敬社長とEquinixのスティーブ・スミスCEO |
米Equinixは、世界12カ国、37都市、99カ所のデータセンターを運用。4,000社以上のユーザーへの提供実績を持つ世界最大規模のデータセンター事業者。これまでにも都内2カ所にデータセンターを開設していたが、日本における需要増などに対応するため、新たにデータセンターを開設した。
開所式には、Equinixのスティーブ・スミスCEO兼プレジデント、アジアパシフィック地域担当のサミュエル・リープレジデント、エクイニクス・ジャパンの古田敬社長をはじめとする同社幹部のほか、設計、施工を担当した清水建設関係者、取引先関係者などが出席した。
引き続き行われた直会(なおらい)では、エクイニクス・ジャパンの古田敬社長があいさつ。「2009年11月から物件を探しはじめ、すばらしい場所を見つけることができた。追い込みの段階で東日本大震災が発生し、5月中旬まではどうなるかわからなかったが、一丸となって取り組んだことで、6月1日のオープンにつながった。今後、順調に顧客を増やし、運用体制の強化も図りたい。データセンターのニーズは着実に増えており、情報通信基盤としての社会的責任、社会への貢献が求められている。今後も、日本におけるデータセンターの開設に力を注ぎたい」とした。
また、スミスCEOは、「これまでのデータセンターに比べて美しい建屋が完成し、輝かく、誇りに思う。日本法人とパートナーとの尽力によって完成したものであり、感謝したい」と述べた。
開所式に出席した関係者 | あいさつするエクイニクス・ジャパンの古田敬社長 | Equinixのスティーブ・スミスCEO |
■東京第3データセンターの内部の様子
それでは、エクイニクスの東京第3データセンターの内部の様子を紹介しよう。
エクイニクス 東京第3データセンターの入り口 |
天井高6メートルという東京第3データセンター。床下も80cmという高さがある |
TY3 IBXは、地上6階建て、延べ床面積7,391平方メートルを持つ、通信およびデータセンター専用ビルで、960キャビネット相当の設備を格納することが可能。NTTやKDDI、ソフトバンクテレコムといった国内キャリアをはじめ、海外も含めた29社のキャリアや国内主要IXとの接続を可能としている。また、グローバルポリシーを生かした設備設計、キャリアニュートラル、ベンダーニュートラルな運用体制を特徴としている。
サーバールームの設計耐荷重は、1.8t/平方メートル。4.5t対応の大規模エレベータを設置していることから、1tを超える高集密型ストレージやサーバーのスムーズな設置が可能であり、また、ラックあたり10KVA以上の高集積型サービスに対応している。総工費は62億円。
都内の好立地とグローバルなプラットフォームに直結するネットワーク接続性を実現する一方、東京の主要金融取引所およびネットワークハブに近く、プロキシミティ(Proximity:近接性)を要求されるサービスに最適だとしている。
既設のTY1 IBXデータセンター(平和島)、TY2 IBXデータセンター(東品川)および主要なネットワークハブ間を独自の大容量回線である「メトロコネクト」で接続。インターネットエクスチェンジ(Equinix Internet Exchange)、イーサネットエクスチェンジ(Equinix Carrier Ethernet Exchange)への接続サービスを提供しているほか、従来のデータセンターと同様に、日本語、英語の2カ国語による24時間365日の運用サービス体制を実現している。
また、データセンター専用ビルとしての高効率な設備設計により環境への配慮と省エネ性を高めており、サーバールームの熱の再利用や、人感センサーの設置による照明における省エネ化、高いCOP(エネルギー消費効率)および負荷率対COPカーブ特性に優れた空調機の採用、高効率機器の採用などによって、低PUEを実現しているという。フロア階高が6メートル、さらに80cmの床下高としていることで、室内全体の温度管理の効率化を実現。ラック上部に発生しやすい熱だまりを削減し、均等な冷気を供給できるという特徴も持っている。
エクイニクスの東京第3データセンターの内部の様子。960キャビネット相当の設備を格納することができる |
商用電源がストップした際に稼働するUPSルームの様子 |
さらに、ニューヨーク大停電など非常時におけるグローバルでの運用経験を生かした設備設計、運用ポリシーを採用。冗長化されたネットワークならびに電力供給ルートを確保しているという。
また、1階に設置されたオペレーションルームではセンターの統合的な監視を行っており、さらに、アジア地域の統括を行っているシンガポールのオペレーションセンターからも24時間で監視。災害時にはもシンガポールからのオペレーションも可能となっている。
発電機材としては、非常時用発電機を3基用意しており、容量8万リットルの備蓄タンクを2基用意。ここに53時間の発電が可能な燃料を常備しているほか、複数社と給油の優先調達契約を結んでおり、非常時にも継続的な稼働が可能になる。
バッテリー室。UPSにはそれぞれ専用のバッテリーを設置。100%負荷の場合でも10分間の電力バックアップが可能 | 特高電気室。東京電力から購入した電気をここからデータセンター内に供給する |
非常時用発電機を3基用意している。備蓄した燃料で53時間分の発電が可能になる | 容量8万リットルの備蓄タンクはこの下にある |
建物地震の耐震性能にも優れており、岩盤に直接くいを打ち込むことができる67メートルのくいを採用。地震PMLで9.7%の耐震構造という。
そのほか、技術者が常駐するための専用室を完備。ネットワークキャリアとユーザーを結びつけるネットワーク専用スペース「ミートミールーム」では、日本国内にノードがない海外キャリアも、ここを拠点として活用できるほか、キャリア専用のコロケーションルームを活用することにより、すべてのフロアに対して、効率的な配線ができる。
なお、ミートミールームは、他社の国内データセンターに設置されているスペースよりも2倍以上の広さがあるとしており、同社が掲げるキャリアニュートラルの環境を維持するため、またキャリア各社が効率的に作業を行える環境を実現している。
一方で、新たな生体認証システムも導入して、セキュリティを強化しているという。