ネットスイート、グローバル企業向け機能を強化したクラウドERPの最新版

初のクラウドERP向けワークフロー管理サービスも提供


代表取締役社長の田村元氏

 ネットスイート株式会社は16日、クラウドERPの最新版「NetSuite OneWorld Release J 2010」、およびクラウドERP用の初のワークフロー管理サービス「SuiteFlow」を、同日より提供開始すると発表した。

 新製品の発表にあたって代表取締役社長の田村元氏が、クラウドコンピューティングへのシフトが急速に進んでいる市場背景について説明。「リーマンショック以降、多くの企業がROIや投資に対して厳しい目をもつようになった。特に、オンプレミスのシステムを利用している企業では、アップグレードのために多額の保守料を払い続けているものの、ビジネス上のメリットは得られていない現状がある。実際に、ERPの利用状況をみると70%もの企業が旧バージョンを使用し続けており、IT予算の支出先も『維持・メンテナンス』が91%を占めている。イノベーションに使えるIT予算は1割もないのが実情であり、この状況を打破するためにクラウドコンピューティングの重要性はさらに高まっている」とする。

 また、「こうした市場背景の中、当社の事業は好調に推移しており、クラウドERP『NetSuite OneWorld』では、従来の中小企業に加え、最近では中堅以上の企業において海外の現地法人やグループ会社をまとめる用途で導入されるケースも増えてきている。そこで、今回発表する最新版では、グローバル化を進める企業を支援する基盤としての機能を大幅に強化した。これにより、グローバル企業は、国内の本社システムとグループ会社、海外現地法人を容易に接続し、現地におけるシステム運用・維持のための要員やコストを大幅に削減できる」(田村氏)と、最新版「NetSuite OneWorld」の狙いを述べた。

「NetSuite OneWorld Release J 2010」の画面

 「NetSuite OneWorld Release J 2010」の主な新機能としては、まず、グローバル企業向けに、複数子会社の在庫管理機能を提供する。Webブラウザ上の操作だけで、どの子会社の間でも、いつでもどこでも在庫を簡単に移動することが可能となるため、商品の注文から発送までのフルフィルメント業務を、必要に応じて子会社間で在庫を移動させながら行うことができる。在庫の移転価格も容易に追跡可能となっている。

 また、グローバルな通貨オプションを拡張し、従来以上に多国籍企業の外貨処理業務への対応を強化した。費用の償却処理も外貨ベースで柔軟に行えるようになるため、外貨建て残高の再評価を効率的に管理できる。あわせて、各国の税制対応も強化。これまでのアメリカ、イギリス、オーストラリア、日本に加えて、新たにドイツ、オランダ、ニュージーランド、カナダ、フィリピンの税制に対応することで、自動化された各国独自の税務報告や税計算をより多くの国において利用することが可能となった。このほかにも、オーストラリアとスイスの会計基準コンプライアンスへの準拠、Google Appsとの統合実現といった機能強化を図っている。

シニアプロダクトマネージャーの村尾花子氏

 今回の最新版は、ユーザーインターフェイスを全面的に刷新している点も大きな特徴だ。

 シニアプロダクトマネージャーの村尾花子氏は、「NetSuite OneWorldは、ビジネス全体の情報を1つのシステムに統合できるメリットがあるが、その一方で、画面の中に情報があふれてしまったり、必要な情報が埋もれてしまったり、という課題もあった。これを改善するため、最新版では、先進のユーザーインターフェイスを採用し、できるだけ1つの画面の中で、必要な情報を見やすく整理することに注力した。特に、全体的にスペースを広げるとともに、アイコン化によって不要な文字情報を減らし、重要な経営情報などを見やすく表示するデザインとなっている」と、新しいユーザーインターフェイスのポイントを説明した。

ポイント&クリックでビジネスプロセスを作成「SuiteFlow」の画面

 さらに同社では、この「NetSuite OneWorld」最新版とあわせて、クラウドERP向けとしては初となるワークフロー管理サービス「SuiteFlow」を提供する。

セールスエンジニア 部長の窪倉克彦氏

 「SuiteFlow」は、クラウドベースのビジネスアプリケーションでは不可能とされていた、複雑なビジネスプロセスの作成とカスタマイズを実現にしたもの。「従来のNetSuiteにも、商品フローやワークフロー機能は実装されていたが、さまざまなユーザー企業の要件に合わせるためには、カスタマイズで対応する必要があった。今回の『SuiteFlow』を利用することで、従来のようなプログラミングによるカスタマイズ作業は不要で、GUIベースのポイント&クリック環境によって、ユーザー自身で最適なビジネスプロセスを作成でき、設定や修正もマウス操作で容易に行うことができる」(セールスエンジニア 部長の窪倉克彦氏)という。

 なお、「NetSuite OneWorld Release J 2010」は、基本の「NetSuite」にモジュールを追加することで利用できる。月額利用料は、10拠点までを含む1企業あたり21万円(税別)。「NetSuite」の基本料金は5万5000円(税別)/1ユーザーあたり月額8700円(税別)。「SuiteFlow」は、「NetSuite」ユーザー向けに無償で提供される。

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