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米NetSuite ザック・ネルソンCEO
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消費税の柔軟な設定など、日本特有の要件に対応した
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ネットスイート株式会社は12月9日、中堅企業向けのSaaS型ERPスイート「NetSuite-Release J」を発表した。日本向けにローカライズされ、日本の会計基準、規制、税制に準拠しているのが特徴で、「これによって、完全な形で日本市場、日本ビジネス向けに提供できる体制が整った」(米NetSuite ザック・ネルソンCEO)という。
これまでは、日本特有の会計基準などに完全には対応できておらず、「今回提供されるような日本向け機能を実装するためには、カスタマイズなど相応の作業が必要になっていた」(ネットスイート プロダクト・マネジメント マネジャー、村尾花子氏)。そこでネットスイートではパートナーとともに、日本語対応にとどまらない“日本化”を推進。今回ようやく提供できる運びになったと説明する。
具体的には、消費税への柔軟な対応が可能になったほか、手形の振り出し、受け取りといった処理や月次の請求締め日設定などをサポートした。さらに日本の形式にあわせた財務諸表の作成が可能になり、損益計算書、賃借対照表、キャッシュフロー計算書が、NetSuite標準形式以外に、日本式のレイアウトでも作成できるようになっている。
SaaS型アプリケーションとして提供されているNetSuiteは、CRMだけでなく、ERPやeコマース、またBI(ビジネスインテリジェンス)までも含めたスイートになっているのが特徴。顧客獲得のための営業、サービスマネジメント、会計、倉庫処理といった一連のビジネス作業を、統合された形で、しかも初期投資を最小に始められ、コストの削減や生産性の向上に大きな威力を発揮するとアピールしてきた。
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1つのスイートとして提供される点がNetSuiteの特徴。今回の“日本化”でそのメリットが十分に生かせるようになったという
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ネルソンCEOも、「SaaSならではのコスト削減のメリットもあるが、当社は複数のアプリケーションを1つにまとめているため、ポイントソリューションのSaaS以上のメリットを提供できる。商談から受注、出荷、支払いまでをサポートする統合アプリケーションによって生産性も向上する」と述べ、スイートならではのメリットを強調する。しかしそうした効果を発揮するためには、各国特有のビジネス要件をきちんと満たす必要があるのはいうまでもない。
ネルソンCEOはその点について、「当社の(スイートという)アイデアを世界中の市場に提供するにあたって、必ずアプリケーションのローカライズに注力してきた」とし、大きな投資をしてきたと主張。その上で、「(NetSuite-Release Jは)日本会計基準をサポートした初のSaaSスイートだ」という点を強調していた。なお、NetSuite-Release Jは多国籍企業向け「NetSuite OneWorld」の一部としても利用でき、日本にある本社もしくは支社をより適切に管理できるようになるとのことだ。
販売のターゲットとしては、引き続き中堅企業を狙う。ネルソンCEO「当社はフォーチュン500を狙っているのではなく、世界経済活動の半分を占める中小企業がメインで、そういう市場にこそ、一番大きなビジネスチャンスがある」としたほか、日本でも米国でも、中堅企業向けビジネスアプリケーションでは、確固たるシェアを築いている企業がいないことを指摘。「(当社が)ミドルレンジのSAP相当になるのではないか、と期待している」と話した。
価格は、基本契約が6万円/月、1ユーザーあたり1万3000円/月。現状、国内ではホールセール、リテール、サービス業といった業種を中心として約50社に導入されているが、ネットスイートでは今回の“日本化”によって、導入数を大きく伸ばしていきたい考えである。
■ URL
ネットスイート株式会社
http://www.netsuite.co.jp/
プレスリリース
http://www.netsuite.co.jp/portal/jp/whatsnew/2008/nlpr-jp-08-12-09a.html
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( 石井 一志 )
2008/12/09 13:44
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