国際化に対応した大規模向けグループウェア「サイボウズ ガルーン 3」

全付加機能を無料にする大幅な価格改定も


代表取締役社長の青野慶久氏

 サイボウズ株式会社は7月27日、大規模向けポータル型グループウェアの最新バージョン「サイボウズ ガルーン 3」を8月30日より発売すると発表した。

 「サイボウズ ガルーン」は、2002年9月にバージョン1がリリースされて以来、2009年末にはシリーズ累計の導入社数が2000社を突破し、100万人を超えるユーザーに利用されているという。また、2008年4月に発売したバージョン2.5では、データベース分割機能を搭載することで、さらなるスケーラビリティ向上を図り、2万人規模の大手企業への導入も実現している。

 今回の新バージョンは、急速な国際化の進展に対応し、個人設定で英語と中国語(簡体字)への表示切り替えを可能とした点が大きな特徴。同社代表取締役社長の青野慶久氏は、新バージョンで国際化対応を行った背景について、「今、日本企業はグローバル化の波にさらされている。まず、国内の労働人口の減少にともない、外国人を社員として雇用するケースが増えつつある。さらに、海外市場への進出に向けて、企業自体をグローバル化する必要性が高まってきている。しかし、多くの企業では、公用語を英語に統一することは簡単ではないのが実状。そこで、グループウェアを多言語対応することにより、会話は難しくても、グループウェアを通じて外国人スタッフとのコミュニケーションがとれるようになる」と述べている。

「サイボウズ ガルーン」の導入社数推移グループウェアを使った他言語コミュニケーション

 また、多言語対応とともに、「マルチレポート」機能を新たに搭載した。この機能では、日々の報告、連絡、相談から、協業事業や人事に関わる内容など限られたメンバーにしか開示できないようなレポートまで、様々な用途・種類のレポートフォームを用意しており、各種レポートを容易に作成することができる。さらに、作成したレポートをスケジュールと関連づけることで、関係者に迅速に状況を報告することが可能となる。

プロダクトマネージャーの青田智徳氏

 新バージョンでは、このほかにも、重要なメッセージや掲示板、マルチレポートにお気に入りマークを付与できる機能、複数ファイルを一度にアップロード・ダウンロードできるファイル一括添付機能などの機能強化を実施しており、「従来のスケジュール機能に、これらの新機能を組み合わせることで、たとえば、会議の予定登録から参加者との日程調整、資料の事前確認、会議終了後の議事録作成まで、業務のPDCAサイクルをスムーズに回すことができる」(プロダクトマネージャーの青田智徳氏)としている。

 あわせて、「ガルーン 3 連携 API」として、APIを一般に公開。このAPIを利用することで、蓄積されたデータの受け渡しが可能となる。これにより、営業支援システムや勤怠システム、工数管理システムなどの他製品とも連携できるようになるため、顧客ごとに異なるシステム構成であっても、課題に合わせて柔軟にデータの運用・管理が行えるようになる。

「サイボウズ ガルーン 3」の新価格体系

 さらに同社では、新バージョンから価格体系の大幅改定を実施している。「従来までは、本体価格にすべての付加機能を合わせると、1000ユーザーの導入で合計2000万円を超えてしまっていた。厳しい経済環境が続く中、より高い費用対効果が求められていることから、今回、付加機能をすべて無料で提供することを決断した」(青野氏)という。

 この価格改定によって、旧バージョンでは有償だったワークフロー機能(新規800万円、年間継続160万円)、ケータイ対応機能(270万円)、全文検索機能(新規240万円、年間継続49万6000円)が本体価格に含まれることになる。また、新たに追加する多言語対応機能やマルチレポート機能、連携APIも無償で提供されるため、ユーザーは本体価格800万円と年間継続160万円で「サイボウズ ガルーン 3」を利用することができる。

「サイボウズ ガルーン」の製品ロードマップ

 なお、今後も引き続き「サイボウズ ガルーン」の機能強化に力を注いでいく計画で、「2011年には、異なるタイムゾーンに属する拠点間での運用や各国での休日の違いにも対応できるよう機能強化を行う。また、このタイミングで、リモートサービスの国際化対応も図りたい。2012年には、共同ToDoやグループ会社対応といった機能を追加する予定。さらに、各種スマートフォンに対応するKUNAIプラットフォームの展開も積極的に進めていく」(青田氏)と、今後の製品ロードマップを明らかにしている。

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