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NII、理研、東大、NTT東西の5者、IOWN APNを用いたストレージ間の大容量データ転送実験を実施
800Gbpsの回線帯域に対し、二つのアプリケーションで750Gbps超の転送を実現
2026年11月4日 06:30
n 情報・システム研究機構 国立情報学研究所(以下、NII)、理化学研究所(以下、理研)、東京大学(以下、東大)、NTT東日本株式会社およびNTT西日本株式会社(以下、NTT東西)の5者は10月30日、次世代通信基盤「IOWN」に基づく技術「All-Photonics Network(以下、APN)」を活用したストレージ間の超高速データ転送の実証評価を、2025年12月に締結した共同研究契約に基づき実施したと発表した。
今回の実証実験では、理研計算科学研究センター(R-CCS、兵庫県神戸市)と東大柏地区キャンパス(千葉県柏市)との間を、NTT東西のAPNによる光波長専有接続サービス「All-Photonics Connect powered by IOWN」により800Gbpsの回線帯域で直結し、二つの実用アプリケーションを同時に使って750Gbps超という高速転送を実証した。結果は、柏・神戸間といった長距離通信でも、既存のアプリケーションで800Gbps回線を有効活用できることを証明したとしている。
NIIは、情報学分野における未来価値創成のための研究を推進するとともに、学術コミュニティ全体の研究・教育活動に不可欠な学術情報ネットワーク(SINET)などの学術情報基盤の構築・運用に取り組んでいる。2022年度からは全都道府県を400Gbps(沖縄は100Gbps×2回線)かつ最短ルートで接続した新しい「SINET6」の運用を開始し、研究データの高性能な転送を支えるとともに、セキュアかつ高速のデータ転送のための仮想プライベート網(VPN)などを提供している。また、オープンサイエンスを推進するための研究データ基盤の開発・整備を進めており、SINET6と効果的に融合させることで革新的な学術研究プラットフォームの実現を目指している。
理研R-CCSでは、スーパーコンピューター「富岳」、AI for Science開発用スーパーコンピューター「理究」、量子HPC連携プラットフォーム向けJHPC-quantum GPUスーパーコンピューター「ROQUO」など、多様な計算基盤の整備・運用を通じて、AI・シミュレーション・量子コンピューティングを連携させた研究環境の高度化を進めている。また、次世代フラッグシップシステム「富岳NEXT」(開発コードネーム)の開発を進め、日本の計算基盤を支える中核拠点としての役割を担っている。
東京大学情報基盤センターでは、学際大規模情報基盤共同利用・共同研究拠点(JHPCN)の中核拠点、革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ(HPCI)におけるナショナルインフラストラクチャーシステム(NIS)の中心的な拠点、またデータ活用社会創成プラットフォームmdx事業の統括機関として、これまでの計算科学に加えてAI for Scienceに向けたわが国の計算基盤の提供と、ユーザーに対する支援を幅広く行ってきている。これらのネットワーク型の共同研究を推進する上では、大規模なデータを低遅延で安定的に利活用できるネットワーク基盤の整備も必要となる。加えて、理研と共同でそれぞれ約100ペタバイトのストレージを擁するHPCI共用ストレージ(東拠点:東大柏地区キャンパス、西拠点:R-CCS)を運用しており、現在の「富岳」から「富岳NEXT」に向けて急激に増加している大規模な研究データを東西で冗長化することで安全に管理することが求められる。
実証実験では、大阪のNTT西日本局舎と柏のNTT東日本局舎の間をAPN 800Gbps回線で接続し、各局舎と理研神戸拠点・東大柏拠点の間を400Gbps×2回線で接続した。両拠点はSINETでも接続しており、実証環境における測定において、APNの遅延値はSINETと比較して約20%低減し、低遅延性が確認された。
ファイル転送では、理研・東大が運用するHPCI共用ストレージと、NIIが開発した恒速/高速ファイル転送ツールMMCFTPの二つの実用アプリケーションを用いた。HPCI共用ストレージは現在、第三世代がサービス中のため、その検証環境(前バージョンの第二世代環境)を用いた。また、MMCFTPについては、NVMe SSDを多数搭載したNIIサーバーを理研および東大に設置し、同サーバー間で転送を行いました。NIIサーバーは各拠点のスイッチと、400Gbpsイーサネット(400GbE)1個と100GbEを4個で接続した。
回線が所定の性能で正常に動作していることを確認した上で、転送アプリケーションの設定による速度の違いを検証するため、パラメーターを変えながら断続的に転送実験を行った。その結果、二つのアプリケーションを同時に使用した際、800Gbps回線帯域の約97%に相当する最大約775Gbpsでの転送速度を記録した。
また、750Gbpsを超える転送速度を数分間継続できることも確認し、長距離でも超高速回線を実用レベルで使いこなせることを示した。
NII、理研、東大およびNTT東西は、引き続き共同研究契約に基づく連携・協力の中で、APNを活用した大規模・高品質なデータ転送などに関する検討やPoC(概念実証)を実施していく。NTT東西が構築しているAPN基盤、NIIのSINETにおける知見、理研および東大の大規模ストレージの知見を連携し、データ同期技術に関する共同研究を進めることで、研究データ利活用環境の拡張、NIIの次期SINET等の検討に反映していく。こうした取り組みが、将来的に、多くの研究分野や研究機関のモデルとなり、日本全体の研究環境の改善と研究力の強化につながることを期待するとしている。

