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日立、GlobalLogicとHDSを統合した新会社「Hitachi Digital」を2027年4月に発足

2026年度上期連結業績は過去最高を更新、Lumada事業も31%増と大幅拡大

 株式会社日立製作所(以下、日立)は28日、2027年4月1日付で、グローバルデジタルサービス企業と位置づけるHitachi Digital Inc.を発足することを発表。同社のCEO兼Chairmanに就任するアナンド・ビルジェ(Anand Birje)氏が、Hitachi Digitalの事業戦略について説明した。

日立 デジタルシステム&サービスセクター デジタルエンジニアリング&AIソリューションビジネスユニット CEOのアナンド・ビルジェ氏

 10月28日に行った日立の2026年度上期決算発表の席に、ビルジェCEO兼Chairmanが同席し言及したもので、「Hitachi Digitalの発足によって、新たな大手デジタルサービスプロバイダーが誕生することになる。日立グループが持つこれまでの経験を基にした、専門知識を持つ組織であり、パートナーにとっても、顧客にとっても大きなメリットを提供できる」と述べた。

 Hitachi Digitalは、GlobalLogicとHitachi Digital Services(HDS)の統合により設立。27カ国に約3万5000人の専門家を擁し、エンタープライズAIからフィジカルAIに至るまで、デジタルエンジニアリングとオペレーションを融合させたビジネスを展開することになる。

 日立では、2026年1月に米国子会社の統合計画を発表。Hitachi Digitalの発足はこれに基づいたものだ。また、ビルジェ氏は、2026年8月3日付で、日立DSS デジタルエンジニアリング&AI ソリューションビジネスユニット(DEAI BU)のCEOに就いていた。

 ビルジェ氏は、「今後5年間で、クラウド、データ、AIが融合していくことになる。ここにHitachi Digitalのビジネスチャンスがある。エナジー、モビリティ、インダストリーにおける豊富な顧客ベースと、ドメインの専門性を有効活用しながら、デジタルサービス企業として成長するとともに、One Hitachiを実現する企業としての役割を果たすことになる」と話す。

クラウド、データ、AIが融合していく

 また、「HMAXを活用したり、FDEチームを構成したり、エコシステムを活用することで、インフラからデータ、アプリケーションといったあらゆるレイヤーを通じて、トランスフォーメーションを促進できる。これは、強力な製品プラットフォームやアプリケーションエンジニアリング力を持つGlobalLogicと、SAPやOracle、ServiceNowなどのエンタープライズプラットフォームなどで実績を持つHitachi Digital Servicesの統合によって実現できるものである。幅広いケイパビリティを提供できる。また、それぞれが持つリソースを生かしたクロスセルも可能になる」と、Hitachi Digitalの強みを訴求した。

 Hitachi Digitalでは、「クラウド」、「データ」、「フィジカルAI」、「エンタープライズプラットフォーム」の4つのサービスラインで事業を展開。さらに、「エネルギー」、「モビリティ」、「通信」、「医薬・ヘルスケア」、「銀行・金融サービス」、「自動車」、「コネクティブインダストリーズ」の7つの事業分野にフォーカスするという。

 「これらは、ミッションクリティカルな領域であり、社会にとって欠かすことができない分野である。今後は、これらの分野で活躍するベンダーが集約されてくるだろう。信用され、能力が高いベンダーが生き残ることになる。Hitachi Digitalは、FDE(Field Digital Engineering)への投資、エコシステムパートナーとの連携、業界特化型ソリューションの活用を通じて、全世界200社の戦略的顧客にアプローチしていく」と述べた。200社の戦略顧客で売り上げの約8割を占めることになるという。

市場投入に向けた準備

 また、Hitachi Digitalのスローガンとして、「Engineer what the world depends on」を掲げ、ミッションクリティカル領域の事業にフォーカスする姿勢を強調。「主要な産業におけるトランスフォーメーションを支援していくことになる」と抱負を述べた。

 さらに、パートナーシップの取り組みについても言及。「日立は最新のテクノロジーを提供する企業であるとともに、最新テクノロジーを利用する顧客でもある。ユニークなポジションから、パートナーとの連携が可能である。2026年度は、11社のエコシステムパートナーとの連携に注力する。Hitachi Digitalは、パートナーと連携しながら、日立が持つドメインナレッジとともに、これを価値としてお客さまに届けることができる」とした。

 一方で、「2026年は、日立にとって、デジタルエンジニアリング事業をリセットする年になる」とし、「成長が加速できる領域はどこかを明確にする。Hitachi Digitalは、エンドゥエンドでフィジカルAIを届けるデジタルカンパニーである。いまは、デジタルエンジニアリング事業の成長は1桁台だが、ケイパビリティを組み合わせることで、2桁台の成長が可能になる」とした。

 会見の中で、日立入りを決めた意図を問われたビルジェCEO兼Chairmanは、「Emerson ElectricやHCL Technologies、Encoraなど、30年間にわたり、2つの業界において、幅広い領域で仕事をしてきた。物流IoTやグローバルシステムの統合、デジタルエンジニアリング、アプリケーションビジネスなどにも携わってきた。特に、Encoraは、GlobalLogicの競合企業であった」と切り出し、「日立はユニークなポジションにあり、ミッションクリティカルな領域で、フィジカルとデジタルの両方のトランスフォーメーションに関わることができる。私のキャリアの重要な局面において大きなチャンスがあると考えた」と述べた。

上期連結業績は大幅な増収を達成

 一方、日立が発表した2026年度上期(2026年4月~9月)の連結業績は、売上収益が前年同期比17.3%増の5兆6140億円、調整後営業利益は同26.6%増の6432億円、Adjusted EBITAは同24.5%増の6996億円、税引前当期利益は同7.4%減の6299億円、当期純利益は同11.9%減の4166億円となった。

業績ハイライト

 日立 執行役専務 CFOの加藤知巳氏は、「第2四半期(2026年7月~9月)は為替などの影響があり、売上収益は前年同期比15%増と大幅な増収になった。また、第1四半期(2026年4月~6月)に続き、DSS(デジタルシステム&サービス)、エナジー、モビリティ、CI(コネクティブインダストリーズ)のすべてのセクターで増収増益になった。売上収益、Adjusted EBITAは、いずれも第2四半期としては過去最高を更新した。四半期利益は、前年度の空調事業などの事業再編の影響がなければ、前年度を上回る実績だった」と総括。

 さらに、「上期業績は、成長性、収益性、資本効率性の面で、着実に改善を進めることができた。Inspire 2027の目標実現に向けては、まだ経営課題があり、外部の経営環境も不透明であるが、リスクマネジメントの強化を続けながら、成長戦略を進める」と語った。

日立 執行役専務 CFOの加藤知巳氏

 Lumada事業は、2026年度上期の売上収益が前年同期比31%増の2兆4280億円となり、全社売上収益に占める割合は44%にまで拡大した。そのうち、HMAXの売上収益は2380億円となり、年間計画に対する進捗率は47%に達した。

 HMAXを含むデジタルサービスの売上収益は1兆1290億円となり、進捗率は47%。デジタライズドアセットの売上収益は1兆2990億円となり、進捗率は46%に達した。

 Lumada事業のセクター別売上収益は、DSSが前年同期比27%増の1兆960億円、Lumada事業比率が73%。エナジーは前年同期比33%増の4480億円、Lumada事業比率が24%。モビリティは前年同期比22%増の2390億円、Lumada事業比率が34%。CIは前年同期比35%増の7440億円、Lumada事業比率は50%となった。

Lumada事業の拡大:HMAXの展開強化

セクター別の業績

 一方、2026年度第2四半期(2026年7~9月)のセクター別業績は、DSSの売上収益が前年同期比10%増の8141億円、Adjusted EBITAは78億円増の1259億円となった。

 そのうち、SI&サービスの売上収益は同9%増の3875億円、Adjusted EBITAは15億円減の553億円。エンジニアリング&サービスの売上収益は同5%増の4376億円、Adjusted EBITAは50億円増の671億円、ITプロダクトの売上収益は同36%増の1590億円、Adjusted EBITAは52億円増の105億円となった。また、第2四半期におけるDSS全体の受注高は、前年同期比14%増の8150億円となっている。

DSS:セグメント別業績

 「受注、売上収益ともに、国内IT事業が堅調である。第2四半期には、『社会』におけるSI特別プロジェクトにおいて、ロスコストが90億円発生したが、これは一過性のものである。AIの活用などによる継続的な生産性向上により、上期は増益になっている」という。

 2026年度上期(2026年4~9月)のDSSの売上収益は、前年同期比10%増の1兆5331億円、Adjusted EBITAは前年同期から219億円増の2115億円。そのうち、国内ITサービスの売上収益は前年同期比7%増の1兆660億円。Adjusted EBITA率は16.4%となった。

 また、23%の構成比を占める「金融」の売上収益は前年同期比19%増。41%を占める「社会(公共、電力、鉄道)」の売上収益は同10%増。36%の構成比を占める「産業」の売上収益は同2%減となった。

 「金融、社会分野のAXおよびモダナイゼーションが成長を牽引した。国内における事業モメンタムは引き続き堅調である」とした。

 一方、海外ITサービスでは、2026年4月から、GlobalLogicとHDS(Hitachi Digital Services)の一体運営をスタート。2社のスタンドアローン売り上げと、エナジーやモビリティなどとのシナジーによる売り上げを組み合わせると、上期の売上収益は前年同期比28%増の40億9800万ドルになった。内訳は、スタンドアローン売上が前年同期比横ばいの12億3900万ドル、シナジー売上は前年同期比46%増の28億6000万ドルと大幅に成長している。

 「デジタルエンジニアリング事業を取り巻く市場環境は厳しいが、収益重視の受注戦略を進めている。通期見通しの売上収益を上方修正し、利益率は前回と同水準を見込んでいる」とした。

DSS:国内/海外ITサービス事業

 第2四半期におけるDSS以外のセクター別業績は、エナジーの売上収益が前年同期比28%増の9604億円、Adjusted EBITAは前年同期から515億円増の1458億円。モビリティの売上収益は前年同期比16%増の3485億円、Adjusted EBITAは前年同期から63億円増の254億円。CIの売上収益は前年同期比9%増の8255億円、Adjusted EBITAは前年同期から32億円増の949億円となった。

セクター別H1 FY2026 実績・通期見通し

通期業績見通しを上方修正、売上収益12兆円・営業利益1兆4500億円へ

 日立では、2026年度(2026年4月~2027年3月)通期業績見通しを上方修正した。売上収益は当初の見通しから3000億円増額し、前年比13.3%増の12兆円、調整後営業利益は当初の見通しから420億円増額し、同20.9%増の1兆4500億円。Adjusted EBITは当初の見通しから400億円増額し同19.0%増の1兆5600億円、税引前当期利益は当初の見通しから350億円増額し同7.6%増の1兆3700億円、当期純利益は200億円増額し同14.7%増の9200億円とした。ROICで13.5%を目指す。

 「第2四半期実績が当初計画を上回っていること、各セクターでの受注動向が順調であること、そして、生産性向上への取り組みの進捗状況などをとらえて、上方修正した」としたほか、「今後も、AI活用の加速に向けたコーポレート成長戦略投資を継続的に実行する一方で、地政学リスクや金利上昇による受注や顧客需要への影響を引き続き注視する」とも述べた。

2026年度通期の見通し

 DSSでは、通期売上収益は当初の見通しから700億円増額し3兆2900億円としたが、Adjusted EBITは計画を据え置き5080億円としている。「DSSは、上期の成長を下期の成長が上回ることになる。国内IT市場の好調ぶりを反映しており、AIトランスフォーメーション(AX)やモダナイゼーション事業などが成長ドライバーになる。AI活用による生産性向上により、利益も成長する」と述べた。

 Lumada事業に関しても、2026年度通期の売上収益を1400億円増額し、前年比25%増の5兆2000億円に上方修正した。全社売上収益に占める割合は44%となる。Adjusted EBIT率は17%を見込む。

 「Lumada事業では、DSSの国内ITサービス、CIの計測分析システムによる半導体製造装置、ビルシステムのサービス事業などが増加している」という。

 Lumadaの内数となるHMAXの業績も上方修正した。売上収益は当初の見通しより50億円増額し、前年比70%増の5100億円へと上方修正。Adjusted EBIT率は22%を計画している。HMAXを含むデジタルサービスの売上収益は据え置き、前年比31%増の2兆3800億円としたが、デジタライズドアセットの売上収益は1400億円増額し、同21%増の2兆8200億円を見込む。「CI、鉄道、DSSのHMAXが牽引することになる」という。

 Lumada事業のセクター別売上収益見通しは、DSSでは前年比22%増の2兆2800億円、Lumada事業比率が70%。エナジーは前年比22%増の9650億円、Lumada事業比率が24%。モビリティは前年比13%増の4990億円、Lumada事業比率が34%、CIは前年比21%増の1兆4940億円、Lumada事業比率は47%を目指す。

 なお、サイバーセキュリティへの取り組みについても言及。加藤CFOは、「DSSの中にサイバーCoEを設置し、未知の脆弱性への対応など、社内システムの防御に取り組んでいる。同様に、重要インフラを担うお客さまを守るために、この専門組織を中心に対応を図っている。想定しがたいことが起きているのが現状であり、電力、交通、製造、金融といった社会インフラを支えるお客さまから、セキュリティ強化に関する相談が増加している。日立は、FDEおよびサイバーセキュリティの知識を持つ部門が一緒になって課題解決に取り組む。Anthropicをはじめとしたグローバルパートナーとの連携も強みになる。最新テクノロジーを活用し、ソリューションを提供できるほか、OT分野を含めたカスタマーゼロでの実践、フィジカルAI領域でのセキュリティも提供できる」とした。