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両備システムズ、2026年度の売上高が476億円の見通しに 次期中計はSCM事業を軸に拡大へ
2026年8月26日 11:57
株式会社両備システムズは25日、中期経営計画フェーズ2の最終年度となる2026年度(2026年1月~12月)の売上高が476億円になる見通しを明らかにした。同中期経営計画を策定した当初は売上高405億円を目指していたが、それを大きく上回ることになる。同社では2029年度に売上高475億円を目標としており、それを3年も前倒しで達成する見込みである。
また新たな方針として、2027~2030年度の4年間にわたる次期中期経営計画において、物流DXを成長戦略の中核に据える考えを示した。SCM事業を新たにスタートし、2030年度に売上高100億円の規模に成長させることを計画している。
2026年7月にWES(倉庫実行システム)およびWCS(倉庫制御システム)を持つ株式会社APT(アプト)を買収しており、これにより、製造・物流・アパレル分野におけるSCM全体をカバーできるという。
同社では、長期ビジョンとして、2030年度に売上高500億円とし、西日本No.1のICT企業を目指す計画を打ち出しているが、これについても、今後、上方修正することが見込まれる。
両備システムズの小野田吉孝COOは、「次期中期経営計画では、売上高500億円の目標は確実に達成する。2027年度あるいは2028年度に超えることを想定している。現在、どれぐらい上乗せできるかを精査しており、『よくがんばった』と言われる数字を打ち出したい。同時にビジネス拡大による高収益モデルへの転換を図る」などと述べた。
両備システムズは、現在、兵庫県以西のICT企業の中で売上高が第2位となっており、次期中期経営計画においては西日本No.1の奪取も視野に入りそうだ。なお、新たな中期経営計画は、2027年1月にも発表する予定である。
公共・ヘルスケア分野の2026年度業績見通しは、売上高が前年比5.4%増の350億円としている。
自治体システム標準化の本格稼働が相次いだことで、公共分野が全社業績を牽引。「自治体システム標準化では、2026年度は107億円の売上高を見込んでいる。また2027年度にも、一部自治体を対象にした導入案件が残っている。売上高は76億円を見込んでいるが、15億円程度は上振れしそうだ。2028年度は55億円を想定しており、これはすべて保守・運用によるものになる。2026年度がピークになるが、その後も売上には継続的な貢献がある」とした。
また、自治体向けの健康管理システムとしてトップシェアを持つ「健康かるて」は、909団体への導入が決定しており、すでに855団体への導入が完了。債権一元管理型滞納管理システム「THINK CreMaS Cloud」は、759団体への導入が決定し、486団体への導入が完了している。さらに、「R-STAGE 福祉情報システム」などの福祉向けシステムでは、207団体への導入が決定。198団体への導入が終了したという。
今後の取り組みとしては、医療分野における早期胃がん深達度診断支援システムの販売開始や、こどもに関するデータ連携プラットフォーム「こどもの杜」を豊中市に導入した実績をもとに提案活動を加速。自治体DXソリューションでは、8団体で稼働および受注した「R-STAGE 窓口DXサービス」の展開を強化する。
そのほか、生成AIおよびAIエージェントを活用した旅費事務効率化の実証実験や、「公開羅針盤V4人事給与システム」におけるAI人事異動の実証実験を開始したことを紹介。京都市や神戸市をはじめとして100団体近くに導入している固定資産税課税支援システム「マルコポーロ」では、地図と課税台帳を一元管理できる特長を生かした訴求を徹底する。
「国の重点政策と連動した公共DX事業の拡大を図っていく。自治体システム標準化が一巡すると、公共分野の売上高は減少するが、公共DXおよび公共SaaSにより、減少分をカバーしていきたい」と述べた。
民需分野の拡大を図る
民需分野の2026年度見通しは、売上高が前年比15.6%増の126億円としている。
両備システムズでは、ファッションおよびアパレル企業向け基幹パッケージ「Sunny-Side」、バスロケーションサービスの「Bus-Vision@バスロケ」、バース在車検知システム「R-LOGI for Parking」、倉庫管理システム「R-LOGI for WMS」、バース入退場管理システム「R-LOGI for Truck Berth」、製造分野向け生産・販売管理システム「Info-Gear」、クラウド型会員管理システム「ATOMS for U」、酪農組合向けシステム「RAKUNOWA」などをパッケージ化。さらに、両備グループとのシナジーにより、貸切バス受発注プラットフォーム「mobitas」、高速バス乗継プラットフォーム「コネモビ」を製品化し、それぞれに導入実績を増やしている。
今後の重点方針として掲げたのが、SCMへの取り組みだ。
「Sunny-Side」や「Info-Gear」といった業種特化型基幹システム、「Info-Gear」や「R-LOGI for Parking」などの倉庫管理システム、両備グループが持つ輸配送、設備設計/保守、倉庫建設、不動産、倉庫運営などのノウハウに、2026年7月に買収したAPTのWESおよびWCSを加えることで、調達、生産、在庫管理、物流センター、輸配送までのSCM全体をカバーする提案が可能になるという。
従来はそれぞれのソリューションごとに提案していたものを、組み合わせ提案へと進化させる考えだ。SCMでは、まずは、製造業やアパレル業界を対象に展開する。
両備システムズ 執行役員の橋本渉氏は、「物流領域においては、両備システムズが持つWMS(倉庫管理システム)や、入荷・出荷管理、検品・棚卸しに関するシステムに、APTのWESおよびWCSが加わることで、両備システムズは、『物流DX企業』から、さらに一歩進めた『SCMプラットフォーム企業』へと進化できる。今後、それぞれのシステム間の連携を図るが、データ連携においては自社のクラウドインフラも活用する。両備グループ全体として、リアルの現場を知っている点でも強みが発揮できる」と語った。
すでに、倉庫建設を行う両備ホームズとAPTが連携して、自動倉庫を導入した実績があり、2027年度には、SCM領域において、グループ全体が連携するための仕組みづくりも進める。
SCM事業での2030年度に売上高100億円の実現に向けては、新たなM&Aも視野に入れていることも明らかにした。
なお、APTは1984年に創業した企業で、物流自動化システムなどで実績を持つ。WESやWCSのほか、物流コンサルティング、自動倉庫の導入およびリニューアル、設備メンテナンスを提供。さらに、AGVやAMRの活用提案も進めている。
APTの井上良太社長は、「APTは、倉庫における自動化や制御に特化した企業であり、42年の歴史を持つ。この分野における『秘伝のタレ』を蓄積しているのが特徴だ。『TUNAGERU Integration-倉庫の明るい未来を創る』をコンセプトに掲げ、各種ロボットメーカーとの接点を強化するとともに、倉庫において人と人のつながりを支援しながら、自動化を図っている」と説明。
また、「APTの機器制御のノウハウと、両備システムズのIT、AI、クラウド、ソリューションを組み合わせることで、情報を動かす仕組みと、モノを動かす仕組みが連携し、物流現場の自動化および最適化を実現できるようになる。倉庫の中を一気通貫でつなぎ、ワンストップで課題を解決できる企業はほかにない。『秘伝のタレ』を多くの人に味わってもらえる環境ができる。両備システムズにジョインしてから、テンションの高い日々を送っている」と語った。
APTは、2026年7月期の売上高が約30億円。2030年度には、約2.3倍となる売上高68億円を目指す。
オファリングによる取り組みを本格化へ
また両備システムズでは、今後、オファリングによる取り組みを本格化する考えも示した。
小野田COOは、「パッケージによる提案から、グループ全体のアセットを活用したビジネスモデルの転換にも取り組む。SIビジネスにとどまらず、AIを活用して、お客さまのビジネスに伴走するオファリングビジネスを事業全体に広げる。物流領域での取り組みはその一例になる」とした。
地元の岡山県には、繊維およびアパレル産業が盛んな児島(倉敷市)があり、ここでの導入実績や知見を生かし、業種と地域特性を生かしたオファリングとして、横展開を進めることも視野に入れている。
クラウド・インフラ分野の2026年度の売上高は前年比22.0%増の140億円を見込んでいる。特にデータセンター事業は、前年比23.5%増の成長を見込む。
自治体向けガバメントクラウドは、2026年度までに約300件を構築。中央省庁との取引実績も17府省庁に拡大した。また、民間企業向けクラウドでは、売上高が前年比30%増を見込んでいる。
「クラウド・インフラ分野の売上高は、前中期経営計画に比べて1.5倍の規模になっている。特に、病院や自治体では、ランサムウェア対策により、クラウドへの関心が高まっていることが業績に影響している。今後は、経済産業省の『サプライチェーン強化に向けたセキュリティ対策評価制度』に対応した提案活動を進め、セキュリティコンサルティングなどにも力を注ぐ」とした。
また、「岡山市内にあるデータセンターは、現在2棟が稼働しているが、いずれも間もなく満床になる。次のステップを検討している」と述べた。すでに、第3棟を建設できるエリアを確保しており、今後、建設に向けた動きが進むことになりそうだ。
なお、両備システムズを含む、両備グループでは、令和8年熊本地震の被災地の支援として、熊本市および八代市に対し、総額1000万円の寄付を行うほか、グループ各社での募金活動の実施、取引先や関係自治体への寄付、物資支援などを行うことも発表した。
両備共創EXPO 2026を開催
一方、両備システムズでは、9月2日、3日の2日間、同社年次イベント「両備共創EXPO 2026」を、東京・京橋のTODA HALL&CONFERENCE TOKYOで開催する。
「未来を探す航海」をテーマに、同社のソリューションを一堂に展示。クラウド、データセンター、セキュリティ、BPOなど、業種を問わず活用できる共通基盤を展示する「クラウドサービスパビリオン」、製造および物流業界における業務改善を提案する「製造業×物流パビリオン」、地域と暮らしを支える共創を通じて、人口減少などの社会問題の解決に取り組む「公共サービスパビリオン」、AIや先端技術、海外展開など、両備システムズが取り組む研究開発や新規事業を紹介する「未来実験パビリオン」で構成する。
小野田COOは、「展示することを目的とせず、感じ、想像し、共鳴することをテーマにしている。技術やサービスの説明ではなく、AIをはじめとする先進技術が切り拓く未来の社会やビジネス、その思想や可能性を表現したパビリオンで構成している」と述べた。
基調講演では、フリーアナウンサーの登坂淳一氏、元サッカー日本代表であり、JAPAN CRAFT SAKE COMPANYの代表取締役である中田英寿氏が登壇する。
さらに、サンリオとの連携により、ハローキティがナビゲーターを務め、両備共創EXPO 2026を盛り上げるという。












