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経営層の約7割が「主要なAIベンダーやAIモデルを切り替えることは難しい」と回答、IBM調査
2026年8月26日 08:00
日本IBMは24日、IBM Institute for Business Value(以下、IBM IBV)が実施した最新の調査「AI主権の確立に向けて - いかにコントロール、柔軟性、リスクのバランスを取るか」の日本語版を公開した。調査によると、企業がAIを基幹業務へ本格的に組み込む一方で、多くの企業が容易に変更できないAIシステムに依存している。この結果は、事業継続性と業績維持の観点から、AI主権の重要性が一層高まっていることを示していると分析している。
調査は、世界中の経営層1000人を対象に実施したもので、調査対象者のおよそ7割(世界71%、日本69%)が「主要なAIベンダーやAIモデルを切り替えることは難しい」と回答している。加えて、調査対象者のおよそ7割(世界68%、日本65%)は、各国・地域にまたがるデータレジデンシーやデータ主権の要件への対応を課題として挙げており、AIシステムやデータを異なる環境間で移行・運用する際の複雑化につながっていると指摘する。こうした状況が示すのは、AI活用の拡大とコンプライアンス要件の強化が進む中、企業にはAIに対するコントロールの一層の強化が求められているということだと分析している。
また、AIに対するコントロール強化の必要性が高まる一方で、多くの企業はそれに対応するために必要な可視性を十分に確保できていないという。調査対象者のおよそ9割(世界91%、日本89%)は、自社が利用するAIベンダー、AIモデル、インフラストラクチャーにまたがる依存関係を十分に把握できていないと回答しており、その結果、リスク評価や障害発生時の対応計画策定が難しくなっている。
また、調査対象の経営層は、過去2年間でAIに関連する平均6件の障害や混乱を経験したと回答しており、その主な要因としてAIベンダーのサービスに起因する問題を挙げている。さらに、およそ8割(世界81%、日本75%)の回答者は、AIベンダーのサービスが7日間停止した場合、自社の業務に深刻または重大な影響が及び、事実上業務が停止する可能性があると考えている。
回答者はさらに、AIエコシステムにおける予期せぬ変化として、価格上昇、利用制限、AIモデルの提供終了、性能低下などを挙げている。これらの調査結果は、企業がAIへの依存関係を適切に把握・管理する上で大きな課題に直面していることを示していると分析している。
AI主権の中核的な要素の一つである、状況の変化に応じてデータやモデル、インフラストラクチャーを柔軟に適応させることができるAIシステムを構築している企業は、他社を上回る成果を実現している。
分析の結果、AIに対するコントロール能力が最も高い企業は、AI関連のシステム停止や障害の発生が少なく、AIに起因する混乱による営業利益への影響を55%多く抑制している。一方で、AIに対する高度なコントロール能力を備えている企業は、調査対象全体のわずか7%にとどまっており、柔軟で適応力の高いAI基盤を構築している企業と、特定のベンダーや技術への依存によって制約を受けている企業との間で格差が拡大している。
また、調査対象の経営層のおよそ7割(世界72%、日本68%)は、戦略的な柔軟性を高められるのであれば、AIベンダーの選択肢や移行可能性を確保するために20%のコスト増加を受け入れると回答している。
調査対象企業のおよそ7割(世界73%、日本70%)は、自社のAI環境で意図的に複数ベンダーを採用していると回答している。しかし、複数ベンダーの採用は戦略的な判断というよりも、組織運営上の必要性によって生じるケースが多かった。
回答者が挙げた主な要因は「事業部門ごとの独立した意思決定」(世界69%、日本63%)と「地域ごとの要件や事情への対応」(世界69%、日本71%)。回答者のおよそ6割(世界57%、日本54%)が「レガシーシステムの複雑性」を課題として挙げている。こうした複雑性は、企業の合併・買収(M&A)や過去の意思決定の積み重ねによって生じるもので、多くの組織に共通して見られる一方、最も大きな要因と見なされるケースは比較的少ないとしている。