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U-ZERO、「沈黙の組織」を打破する独自戦略「フィードバック経営」を発表

富士通および米国Smartsheet Inc.と戦略的パートナーシップ

 株式会社U-ZEROは10日、日本企業に根強く残る「沈黙の組織」の構造的課題を打破するための独自の経営戦略「フィードバック経営」を発表した。また、国内2060人を対象に実施した「沈黙の組織」実態調査の結果を公表。あわせて、富士通とエンタープライズAIワークマネジメントプラットフォームのリーディングカンパニーである米国Smartsheet Inc.との戦略的パートナーシップを発表した。

 同日には、「フィードバック経営」戦略の概要や調査結果のポイントおよび組織変革の実現に向けたパートナー連携の取り組みについて記者説明会を開催した。

写真左から:米国Smartsheet Chief Revenue OfficerのScott Torrey氏、U-ZERO 代表取締役CEO兼CPOの三村真宗氏、富士通 執行役員常務 エンタープライズ事業担当の古濱淑子氏

 「フィードバック経営」は、U-ZERO 代表取締役CEO兼CPOの三村真宗氏が6月に出版した書籍『フィードバック経営「沈黙の組織」から「高め合う組織」へ』(日経BP)に基づく経営理論で、同社が提唱する組織変革のコアコンセプトとなるもの。同理論は「経営理念の浸透」「VoE(Voice of Employee)サイクルの実装」「フィードバック文化の醸成」という3本柱で構成され、これらを経営の仕組みとして機能させることで、組織はやがて「沈黙の組織」から「高め合う組織」へと転換していくという。

「フィードバック経営」の概要

 三村氏は、「フィードバック経営」戦略の狙いについて、「従来のHRテックは組織を『測る』ためのツールが中心で、経営判断にはつながりにくかった。これに対して当社では、従業員の声(VoE)を起点に組織を『変える』企業風土改革ソリューションを展開している。そして、今回新たに発表した経営戦略『フィードバック経営』では、『VoEサイクル』『フィードバック文化』『経営理念の実装』という3本柱それぞれに対応させる形で、これまで個別に提供してきた人的サービスを再編・統合し、『U-ZERO Voice』『U-ZERO Culture』『U-ZERO Purpose』の3つのソリューションブランドを新たに提供開始する。これによって、組織と個人の行動変容を促し、人的資本を企業価値に変える人的資本経営の実装を目指す」と述べた。

U-ZERO 代表取締役CEO兼CPOの三村真宗氏

 具体的には、「U-ZERO Voice」では、AIインタビューを中心に、現場の従業員の声(VoE)を継続的に収集・分析し、組織改善につなげるVoEマネジメントプラットフォームを提供する。

 中核となる「コンストラクティブフィードバック」では、AIが従業員一人ひとりと対話し、現場で感じている課題や改善提案、仕事への思いを深く引き出す。また、「エンゲージメントサーベイ」によって組織全体の課題や改善テーマを可視化し、その結果をもとにAIが追加インタビューを実施することで、スコアだけでは見えない原因や背景まで把握する。

 さらに、「パルスサーベイ」によって従業員のコンディションや組織の変化を継続的にモニタリングし、離職リスクやメンタルヘルス不調などの兆候を早期に検知・フォローすることで、問題が深刻化する前の迅速な対応を支援する。収集したVoEはAIが横断的に分析し、改善施策の立案から実行までを一つのサイクルとして支援することで、従業員の声を継続的な組織成長へとつなげる。

「U-ZERO Voice」のソリューション概要

 「U-ZERO Culture」は、組織にフィードバック文化を根付かせ、従業員同士が互いに成長を支え合う組織づくりを支援するカルチャーマネジメントプラットフォーム。社員全員のプロトコルを合わせるためのフィードバックカルチャーワークショップやフィードバックロープレなどの実践支援ツール、感謝の手紙などを通じて、フィードバックを「一時的な施策」ではなく「日常の習慣」として定着させる。

 また、フィードバックモニタリングでフィードバックの定着状況を可視化し、継続的な改善活動を支援。心理的安全性の向上や部門間の連携強化、自律的な学習と挑戦が生まれる組織文化を醸成し、持続的な組織成長を実現する。

「U-ZERO Culture」のソリューション概要

 「U-ZERO Purpose」は、企業理念やMVV(Mission・Vision・Value)を従業員一人ひとりの行動へとつなげ、組織全体への浸透を支援するパーパスマネジメントサービス。企業・事業部それぞれのパーパスや目標を可視化し、組織の目指す方向性と個人の価値観や役割とのつながりを明確化。さらに、理念への理解度や共感度、日々の業務での実践状況を定性的に分析し、浸透を阻害する要因や改善のヒントを可視化する。

 理念を「掲げるだけ」で終わらせず、組織と個人が同じ目的に向かって行動し続ける組織づくりを支援するという。

「U-ZERO Purpose」のソリューション概要

 これら3つのソリューションに加えて、「フィードバック経営」のさまざまなプロダクトやコンポーネントから出てきたインサイトを集約した「U-ZERO 人的資本ダッシュボード」を提供する。このダッシュボードでは、経営者がすべてのプロダクトを横断して、会社全体の人的資本の状態を一つの画面で確認することができる。外部システムとの連携も可能となっており、人事システムやタレントマネジメントシステム、業績管理システムなどのデータと統合することで、経営の意思決定に必要なインサイトを一元的に把握できるようになる。

「U-ZERO 人的資本ダッシュボード」の画面イメージ

 次に、今回の「フィードバック経営」戦略の発表に合わせて公表した「沈黙の組織」実態調査の結果について説明した。同調査は、三村氏の著書『フィードバック経営「沈黙の組織」から「高め合う組織」へ』の執筆にあたり、国内のビジネスパーソン2060人を対象に実施したもの。

 「調査では、54.7%の社員が『会社に何を言っても無駄』とあきらめることがあると回答した。そして、回答結果をもとに、組織を4つのタイプに分類したところ、最も多かったのは『声が上にも横にも流れない状態』である『沈黙の組織』で、65.5%を占めた。また、社員の本音を止めている壁として、『和を乱す空気』『察して欲しい文化』『職位へのこだわり』の3つが浮かび上がった」という。

「沈黙の組織」実態調査の結果

 フィードバック文化の観点からは、「上司から日常的にフィードバックを受けている社員は、『安心して意見を言える(心理的安全性が高い)』割合が74.3%だった。一方、フィードバックがない社員では32.6%にとどまった。また、『自分は成長できている』と感じる割合も、フィードバックのある社員が71.9%と、フィードバックのない社員を大きく上回った。この傾向は、同僚同士のフィードバックでも確認されている。さらに、努力や成果を認めたうえで、改善点も率直に伝えている上司のもとでは、社員が上司を『プロフェッショナルとして尊敬している』と感じている割合が82%に達し、どちらのフィードバックもない上司のもとでは22%にとどまった」と分析した。

「沈黙の組織」実態調査の結果

 このほか、U-ZEROでは、「フィードバック経営」戦略による組織変革の実現に向けて、富士通および米Smartsheetと連携することを発表した。

 記者説明会で、富士通 執行役員常務 エンタープライズ事業担当の古濱淑子氏は、「当社は2020年からエンゲージメント向上の取り組みを本格化し、1年後にはスコアの改善が見られたが、その後サーベイのスコアは停滞してしまった。そこで、打開策として2025年にU-ZEROのAIインタビューを導入した結果、AIインタビューを実施した4組織(約3000人)のエンゲージメントスコアが7ポイントも上昇した。今回の連携では、この社内導入で得られた実践知と、当社独自のAI技術を生かした共同ソリューションを提案していく。さらに、ベンチャーキャピタル子会社の富士通ベンチャーズによる出資を通じて、『沈黙の組織』からの脱却に向けた『フィードバック経営』の展開を支援していく」との考えを示した。

富士通 執行役員常務 エンタープライズ事業担当の古濱淑子氏

 米Smartsheetは、人・データ・AIをつなぎ、企業の戦略実行と業務進捗の一元管理を支援するコラボレイティブワークマネジメント領域の企業の1社。世界中の数百万人のユーザー、そしてフォーチュン500企業の85%に信頼されている最新のエンタープライズAIワークマネジメントプラットフォーム「Smartsheet」を提供している。U-ZEROとの戦略的パートナーシップでは、日本市場における共同マーケティングおよびシステム連携を中心に協業を進めていく方針。

 同社 Chief Revenue OfficerのScott Torrey氏は、「U-ZEROの『フィードバック経営』では、従業員のインサイトをもとに戦略的な改革プランを策定した後に、それを全社で確実に実行していくことが重要になる。当社の『Smartsheet』は、部門間での業務の調整から責任者の明確化、タスクの相互関係の管理、そして従業員へのフィードバックに至るまで、一連の取り組みをシームレスに実行へと導くことができる。『フィードバック経営』と『Smartsheet』を組み合わせることで、より透明性が高く、よりエンゲージメントの高い組織を構築するために最適なソリューションを提供し、日本の企業変革を加速させていく」と、戦略的パートナーシップへの期待を語った。

米Smartsheet Chief Revenue OfficerのScott Torrey氏