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TIS、路線バスとオンデマンド交通の連携による地域交通モデルの実証実験を実施

 TIS株式会社は8日、国土交通省からの委託を受け、2025年4月から2026年3月にかけて、公共交通運行情報の国際標準仕様であるGTFS-Flexおよびその発展として研究されているGTFS-Ondemand(以下、GTFS)を用いた実証実験を実施したと発表した。

 TISは、国土交通省の地域交通の持続可能性、利便性、生産性向上の実現を目的とした実証プロジェクト「COMmmmONS(コモンズ)」において、「GTFS-FlexおよびGTFS-Ondemandの技術実証プロジェクト」のシステム開発や実証などを行う受託企業として参画し、マルチモーダル乗換検索の実現と、実車による検証を行った。

路線バスとオンデマンドバスの経路検索システムイメージ

 近年、働き方改革や人口減少を背景にバス事業者の運転手不足が深刻な課題となり、全国で路線バスの減便・廃止が相次いでいる。これに対し、柔軟な運行ができるオンデマンドバスが新たな移動手段として各地で注目されているが、その地域専用の予約アプリや電話による予約方式が主流のため、地域住民以外や観光客には利用が限定的という問題が残っていた。

 こうした背景から、国土交通省やデジタル庁を中心に公共交通データの標準化やオープンデータ化の政策が推進されているが、これまでは、時刻や停留所が特定できる定時定路線交通と自由度の高いオンデマンドバスを横断するシームレスな乗換検索や配車予約を実現するシステムがなかった。

 国土交通省では、定時・定路線バスとオンデマンドバスを含めた包括的な移動サービスの情報流通の円滑化を図るため、公共交通データの標準仕様策定および先進的なデジタル活用の実証等を推進してきた。国際標準仕様のGTFSは、多様な交通サービス情報の統一的なデータ形式での管理・流通を可能とし、地域や事業者ごとのサービスをサービス間横断的に連携できる基盤が期待されている。

 そこでTISは、自治体モニターとして札幌市、UI/UXを実装する乗り換えサービスとして株式会社駅探と株式会社未来シェアと連携し、実証に参画した。TISは、乗換検索アルゴリズムやシステムアーキテクチャの設計、実証結果の分析と考察、札幌市は実証フィールドの提供、株式会社駅探はマルチモーダル乗換検索システムの開発、株式会社未来シェアはオンデマンドバス配車予約システムの開発を担当した。またその成果は国土交通省の公式技術レポートとして公開された。

 実証では国際標準仕様のGTFSを活用し、株式会社駅探の乗換案内サービス「駅探★乗換案内(以下、駅探乗換案内)」と、株式会社未来シェアの配車予約システム「SAVS」に、定時定路線交通とオンデマンドバスとにまたがる最適経路を提案するUI/UXを実装した。これにより、検索結果からオンデマンドバスのリアルタイム配車予約までシームレスに完結できるマルチモーダルな乗換検索システムと配車予約システムを実現した。

 また、札幌市民のモニターを対象に、実際にシステムを利用してもらい、定時定路線交通とオンデマンドバスを実際に乗り継ぐ体験を通じて評価を実施した。

 実証では、乗換案内サービス「駅探乗換案内」の乗換検索システムを実証用に改修してオンデマンドバスに対応させ、配車予約システム「SAVS」の配車予約システムとAPIで連携することで、定時定路線交通とオンデマンドバスを横断するマルチモーダル乗換検索アルゴリズムを構築した。検索要求に対してGTFSで提供される運行データをもとに最適な経路候補を算出し、その結果からオンデマンドバスの配車予約APIを呼び出すことで、検索から予約までを一連の処理として実行できることを確認した。

 これにより、標準化されたAPIとアルゴリズムを組み合わせ、実運用に耐えるマルチモーダル乗換検索・配車予約機能を実装可能であることを検証した。

 また、実証では乗換検索システムと配車予約システムのAPI連携について、国際標準仕様のGTFSに基づいて仕様調整から設計・開発を実施した。その結果、従来はプロジェクト独自に個別対応していたデータ形式の設計やシステム連携機能の開発に要していた工数と比較して、約50%の削減が可能であることを確認した。

 札幌市創成イーストエリアで実施した実証では、モニター22人を被験者とし、定時定路線交通とオンデマンドバスを実際に乗り継ぐ体験を通じて評価を実施した。その結果、9割を超える被験者から高い評価を得られ、移動経路に沿ったオンデマンドバスの存在が分かりやすくなった点、予約操作まで一連の流れで行える点が評価された。また、従来の地域専用アプリや電話予約を前提とした配車導線と比較し、利用者視点でのUI/UX改善効果を確認した。

 TISは、実証で得られた成果をもとに、今後もドライバー不足や交通空白の拡大といった社会課題に対し、オンデマンド交通を持続可能な移動手段として機能させるための取り組みに貢献していく。具体的には、乗換検索アルゴリズムやUI/UXの精度向上や積雪地域・郊外部などの多様な環境での活用を想定したマルチモーダルモデルの確立を目指す。また、公共交通データの国際標準仕様であるGTFSを中心としたオープンデータの活用により、利用者の利便性向上と事業者の運用効率化の両立を図るとしている。