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パナソニック、生成AIデータセンター向け液冷システム事業を欧州で開始 CDUやフリークーリングチラーを販売
2026年3月5日 06:15
パナソニック株式会社 空質空調社は、AIデータセンター向け冷却システムとして、冷却液分配ユニット(CDU:Coolant Distribution Unit)およびフリークーリングチラーを開発。欧州市場において、3月4日から受注活動を開始した。パナソニックグループがCDUおよびフリークーリングチラーを製品化したのは今回が初めてだ。今後、日本をはじめとしたアジア市場や、AIデータセンターの建設が急加速している北米市場での展開も検討していく。
パナソニックでは、2023年2月に、イタリアのTecnair S.p.Aを買収。CCU(Close Control Air-Conditioning Unit)によるデータセンター向け冷却システム事業を欧州で展開しており、欧州においては、約6%の市場シェアを獲得している。これまでは空冷分野を対象にした事業であったが、チラーなどの冷却水を利用して熱交換し、冷却液を分配するCDUを新たに開発し、液冷分野にも参入。空冷方式と組み合わせたソリューションの提案が可能になるとしている。
パナソニック空質空調社 HVACイタリア(Panasonic Heating & Ventilation Air-Conditioning Italy)の西村幸剛副社長は、「データセンターの市場規模は、欧州では年平均成長率が約12%、日本でも同6.8%という高い伸びが予測される一方、生成AIの普及に伴い、データセンターおよびデータホール全体の冷却効率向上が求められている。だが、従来型の空冷方式では冷却施設にかかる電気量が多く、近年増加しているAIチップやGPUラックへの冷却効率の低さが課題となっており、液冷方式が推進されているところだ。液冷方式は省電力化が図れるほか、同じ冷却能力を得るために必要なシステムの規模が縮小することから、データセンター内の省スペース化も実現できる。CDUによって、ITラックの中を冷却する一方、データホール全体の湿度や温度維持のために、全体の5%程度は空冷の役割が残る。CCUも組み合わせて提案することができる」とした。
開発したCDUは400kWおよび800kWの2機種で、さらに1200kWの機種の開発を進めており、これも2026年3月中に受注を開始する予定だ。
ダイレクトチップ方式、液浸冷却方式に接続できるCDUで、400kWではダブルポンプ仕様を採用し、800kWでは3つのポンプを搭載。ループ回路の搭載により、冗長性を確保。圧力・ポンプ制御設計および液冷回路はインバーター制御技術によって、安定的に稼働させるとともに、省電力運転を行う。
「800kWモデル1台で、複数のGPUラックに接続が可能である」という。
また、6~8個のセンサーを活用した独自開発の装置管理機能により、24時間365日の適切な水温制御を実現。入出水の水温管理、流量管理、水路圧力管理、ポンプ状態監視、異常警報発報、履歴管理が可能だ。「フィルターにより液体内の不純物を取り除く機能も搭載。制御やメンテナンス性が課題となっているCDUが多い中、それらを解決している点も特徴となる。接続したITラック内に液体が漏えいした際には、それを検知し、アラートを出す機能も搭載。非常停止ボタンも搭載している」という。
400kWモデルのサイズは600×1200×1990mm、重量は約500kg。800kWモデルは900×1200×1990mm、重量は約900kg。
「先行メーカーを上回るスペックを目指して開発した。CDUに使用しているキーコンポーネントは、ヒートポンプ式暖房給湯システムであるA2W(Air to Water)に使用している部品を供給するサプライヤーなどとのパートナーシップにより調達している。顧客の要望にも柔軟に応えることができる。Tecnairが持つ温度制御技術と、パナソニックのA2W技術や部品などを組み合わせている」とした。
なお、パナソニックくらしアプライアンス社では、小型CDU向けのデータセンター向け冷却水循環ポンプを製品化しているが、今回のCDUは容量規模が大きいため、このポンプは搭載していない。
HVAC西村幸剛副社長は、「欧州市場においては、CCUを導入している顧客を対象に、CDUの提案を開始するところから営業活動を進める。CCUの市場シェアを上回る水準を目指したい。パナソニックホールディングスなどのグループ会社とのクロスセルも進めていきたい」とした。
CDUは、イタリア・ミラノ郊外の同社工場で生産。日本や北米などのグローバル展開を開始する際には、生産する場所をあらためて検討することになるという。
また、フリークーリングチラーでは、800kWおよび1200kWの2機種を用意した。
空質空調社のイタリアの拠点で開発したもので、800kWでは約40フィートコンテナへの搭載が可能。主なターゲットは、エッジデータセンターなどの中小規模施設としている。
10℃からマイナス15℃までの低外気温を利用して冷却水を生成するフリークーリング機能を搭載することで、高い省エネ性を実現するとともに、GWP値で1.37という低GWP冷媒のR1234zeを採用することで、環境負荷の軽減に貢献できるという。
「主に北半球に位置する外気温が15℃以下の地域に設置しているデータセンターで有効活用してもらえる。欧州では、ターゲットとなる地域は北部エリアになる」とした。
スクリューコンプレッサーには、インバーター制御技術を採用。従来のコンプレッサーを利用した場合と比べて、EER(Energy Efficiency Ratio)は8倍となるほか、コンデンサー熱交換器と、フリークーリング用マイクロチャネル熱交換器をデュアル搭載。水回路側にはシェル&チューブ熱交換器を採用。効率性の高い熱交換を実現するという。
910mmの大径の高効率ECファンを採用し、従来の同等能力機種と比べて、サイズを約10%小型化。新フレーム設計により、設置スペースを削減。搬送時にはコンテナにも搭載が可能だという。




