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FCCLが打ち出す「FMV AI VISION」とは? Snapdragon X搭載PCとして唯一の国内生産となる新モデルも投入へ
2026年1月15日 06:15
富士通クライアントコンピューティング株式会社(以下、FCCL)は13日、同社のAI戦略の方向性を示す「FMV AI VISION」を発表。「人に寄りそうAI」を基本姿勢に掲げ、AI利用者の裾野拡大を図る方針を打ち出した。
FCCLの大隈健史社長は、「AIを『すごい』技術のままでとどめるのではなく、多くのお客さまにとって『できる』ものへと変え、裾野を広げていくことがFMVにとって重要な役割になる」と述べる。FCCLは、2025年1月にFMVブランドをリニューアルしたが、「FMV AI VISIONは、ブランドリニューアルした2年目のFMVのAIの方向性を示す。FMVは、ハードウェア、アプリケーション、サービスの三位一体のアプローチで、日本の暮らしを応援するブランドになることを目指す」とも述べた。
FCCLは、FMV AI VISIONを具現化するソフトウェアなどを搭載したPCの新製品として、4シリーズ7機種を1月16日から発売する。いずれもAI機能を強化しており、モバイルノートPC、大画面ノートPC、デスクトップPCといったすべてのフォームファクターにCopilot+PCをそろえた。「FMVは、2023年から個人向けPC市場でトップシェアを維持している。もちろん、Copilot+PCにおいてもナンバーワンシェアを獲得したいという気持ちはある。Copilot+PCの体験を、より多くのお客さまに届けたい。それが日本市場に根ざしてきたFMVの責任であり、成長戦略である」と語った。
また、FMVシリーズとしては初めて、クアルコムのSnapdragon Xを搭載した「UQ-L1」を発売。FCCLの大隈社長は「新たな選択肢として提供する」とし、「日本で生産を行う唯一のSnapdragon X搭載PCになる。国内生産によって、ぎりぎりまで品質を追い込むことができ、地政学的リスクにも対応できる体制を確立している。急な市場変化にも柔軟に対応し、多様なニーズにも対応できる強みを発揮できる」と胸を張った。同製品は、島根県出雲市の島根富士通で生産することになる。
AI利用者の裾野拡大のためのビジョン「FMV AI VISION」
FMV AI VISIONについて、大隈社長は、「PCをはじめとするハードウェアを活用する際に不可欠なのがAIである。FMVは、PC市場の裾野拡大に貢献してきた歴史があり、それをAIによってさらに加速するのがFMV AI VISIONとなる。FCCLが提供するAIは、インターフェイスレイヤなどでの提案になる。文章、画像、音声などの多様なAI機能を、ワンストップで、しかもシンプルな操作で活用できるようにし、バックグラウンドで動くAIプロバイダーの製品やサービスを意識せずに利用できる。AI時代にFMV独自のアプリを作ることで、日本人の暮らしを最適化し、日本の生活に寄り添うための最後の1cmを埋める」と語る。
現時点では、FMV AI VISIONを、個人向けPC市場を対象にしたAI利用者の裾野拡大のためのビジョンとしているが、中長期的には、市場動向の変化、AI活用の広がりをとらえながら、FMV AI VISIONの内容をアップデートすることも視野に入れている。
「法人向けPCを販売する富士通と連携しながら、そこに必要なAI機能についても議論をしていく。FCCLがPCの領域からどんな貢献ができるかも考えていく」とも述べた。
FCCLが、2025年8月に実施したユーザー調査では、「AIは知っているが活用したことはない」とした人が66%、「AIにやや/とても興味がある」とした人が62%、一方で、「難しそう」とする人が35%に達したという。
「PCユーザーは、AIに興味を持っていながらも、最初の一歩を踏み出すことに不安を感じている。FMVは、AI活用の新たな一歩を後押しする役割を担う。AI機能を使いこなしている人も、そうでない人も含めて、日本全体でのAI活用促進を目指す」と語った。
FMV AI VISIONを具現化するアプリケーションのひとつが、「FMV AI Plus+(FMV AIプラス)」である。ビットランドとの協業により開発したもので、日本初のオールインワンAIサブスクリプションサービスになるという。利用する人や場面に合わせて最適な使い方を自動で提案し、初心者でも迷わず活用できる設計としているのが特徴だ。
ダイレクト事業本部 Direct to Customer事業部の谷口みゆき事業部長は、「AI活用の新たな一歩を後押しすることを目指して開発した。日々、新たなAIが登場するなか、何が最適なのかがわからず、多くのAIを利用すると課金の問題も発生する。どのAIプロバイダーを使うかを意識せず、常に最新で、最適なAIが使えるようになる」と述べた。
ビジネスとプライベートの2つのカテゴリーを用意。機能やシーンをボタンで選択できるようにし、300以上のユースケースから最適なカードを自動表示することで、AIを使ったことがないPCユーザーも3クリックで目的のカードにたどり着けるようにしている。
例えば、ビジネスでは、「利用シーン」を選択すると、「企画・営業・マーケティング」、「開発者・エンジニア」、「デザイナー・映像制作」、「教育機関・教師」などの職種を表示。そこから、選択すると、「プレゼンテーションスライド構成案作成」、「会議議事録作成」、「広告キャッチコピー作成」などの具体的な作業を選択し、AIで文書や資料を簡単に作成できる。
価格は、FMV プレミアムサービス会員が月額1100円、My Cloudアカウント登録者が月額1980円。
さらに、FMV AIアプリケーションとして、自動で動画作成を行える「Reclip」×「PowerDirector for FMV」を新たに搭載。撮影した写真や動画をAIが自動解析し、旅行やイベント、人物や撮影場所ごとに整理できるほか、選んだ素材からAIが自動で動画を生成する。動画は縦横比や長さ、テーマを選ぶだけで編集でき、テキスト挿入や切り抜き範囲も自由に選択が可能だ。
また、パソコンの困りごとをAIと対話しながら解決する「FMV AI Mate」や、パソコンとスマートフォン間で瞬時にファイル転送が可能な「FMV Share Drop」なども提供する。ビジネスシーンでも活用できるアプリを搭載している点が特徴だ。
なお、FMV AI VISIONでは、アプリケーションだけでなく、ハードウェアとサービスを組み合わせた「三位一体」を打ち出している。
4シリーズ7機種の新ハードウェアを発売
ハードウェアでは、4シリーズ7機種を新たに発売する。
14.0型ワイド液晶を搭載したFMV Note Uシリーズでは、FMV初のSnapdragon Xを搭載した「UQ-L1」と、インテル Core Ultra 5 プロセッサー 226Vを搭載した「U59-L1」の2機種を発売する。
「UQ-L1」は、Snapdragon X X1-26-100プロセッサーを採用し、876gの軽量化を実現するとともに、41時間のバッテリー駆動(JEITA 3.0アイドル時)、動画再生時でも26時間のバッテリー駆動を可能にしている。同社直販サイトの「WEB MART」では、世界最軽量となる約634gの「FMV Zero」に、Snapdragon Xを搭載し超軽量・超長時間駆動を実現した「WU6-L1」を用意している。
マーケティング本部 商品企画統括部 第一商品企画部の林部圭司部長は、「UQ-L1は、多様な働き方をするビジネスパーソン向けに、身軽さと持続力を持ち、ビジネスにもっと集中したいというニーズを想定し、商品企画を行った。場所を問わずに働きたいビジネスパーソンに最適なPC」と述べた。
また「U59-L1」では、最大40TOPSのNPUを搭載し、AI機能を活用した効率的な作業をサポートできる仕様としており、約908gの軽量化を達成しながら、有線LANをはじめとした多彩なインターフェイスの搭載や、タッチパネルに対応したディスプレイ画面を搭載し、拡張性とともに、直感的な操作性を実現したという。「軽さとタッチで、身軽に使いたいというニーズに対応。直感的にPCを使いたい学生や若年層向けの製品であり、日本のビジネスと学びの現場を支えることができる」(同)としている。
16.0型ワイド液晶を搭載したFMV Note Aシリーズでは、FMVの大画面ノートで初となるCopilot+PC対応モデルであり、最大50TOPSのNPUを搭載したAMD Ryzen AI 7 445プロセッサーを採用した。また、カバーにつなぎ目を感じさせないベゼルカバーレスデザインや、質感の高いアルミボディを採用するなど、デザイン性にもこだわっている。
光学ドライブを省いた軽量薄型アルミボディモデルのFMV Note Pシリーズは、「家ナカノマドノート」というコンセプトの製品で、家のなかを持ち運んで使える大画面ノートPCとしている。AMD Ryzen 7 250プロセッサーを搭載。バッテリー交換にも対応しており、長期間の利用にも適している。
デスクトップPCのFMV Desktop Fシリーズでは、27.0型と23.8型の大画面液晶を搭載した3機種を展開。特に、27.0型の大画面液晶を搭載した「F77-L1」は、FMV初の一体型デスクトップCopilot+PC対応モデルとなるという。
また、サービスでは、専門スタッフが自宅を訪問し、初期設定やトラブル解決、レッスンなどを提供する「FMV訪問サポート」や、FMVに搭載しているAIアプリの利用サポートから、一般的なAIツールの導入および活用方法までを、専門スタッフがマンツーマンでサポートする「AIサポートメニュー」も提供する。
ブランドリニューアルの1年間の成果
一方、FCCLの大隈社長は、FMVのブランドリニューアルの1年間の成果についても振り返り、「この1年間は、世界最軽量モバイルPCとして高い評価を得ているFMV Note U、若年層をターゲットに開発プロセスそのものから見直して、新たに市場投入したFMV Note Cにより、これまで届けてきた価値を高めるとともに、新たなユーザーへのアプローチも行うことができた」と総括。
FMV Note Uは、2017年の発売時に比べて、2024年度の店頭販売実績が2.7倍、Web販売では5.6倍に増加したこと、FMV Note Cでは学生の購入比率が53%、10~20代が65%、女性が55%を占めたこと、FM登録会員数が1100万人に到達し、中でもFMVプレミアムの売上高が2.1倍になっていることなどを明らかにした。
さらに、昨年後半からの部品価格の高騰による本体価格への影響についても言及した。
大隈社長は、「メモリやSSDなどの主要部品の価格高騰が見られており、最終価格に転嫁せざるを得ない部分はある。だが、これはメーカーの論理であり、お客さまの立場から見て、できることに変化がないのに価格が上昇するのは納得しがたい。FMVでは、新たなAIツールの搭載など、新たな世代の製品だからこそ提供できる価値を同時に訴求することで、価格上昇を納得してもらうための努力をしている。部品価格の高騰は一過性のものではなく、中長期的に腰を据えて取り組まなくてはならないものだと認識している」と述べた。
また、「部品需給がタイトになっているが、FCCLは世界ナンバーワンのPCメーカーであるレノボグループの1社であり、また、独自の調達部門もある。影響度合いという点では、業界のなかでも強靭な体力を持っていると自負している」と語った。









