ニュース

SGシステムとフューチャーアーキテクト、給与支払報告書向けAI-OCRサービスを強化

新レイアウトへの対応や読み取り項目の拡大、精度改善などを実施

 SGシステム株式会社とフューチャーアーキテクト株式会社は22日、共同開発しているAI-OCRサービスにおいて、給与支払報告書を対象とした読み取りサービスの新版を提供開始したと発表した。なお、SGシステムは「Biz-AI×OCR」、フューチャーアーキテクトでは「Future OCR」の名称で、AI-OCRサービスをそれぞれ提供している。

 給与支払報告書とは、住民税を算出するため事業者が従業員に支払った給与額を毎年1月末までに自治体へ報告するための書類のこと。さまざまな障壁によってAI-OCR化が難しい領域とされているが、SGシステムとフューチャーアーキテクトでは、自治体や業務委託先のBPO事業者の負担を軽減するため、給与支払報告書向けのAI-OCRサービスを共同で開発し、2021年1月より提供を開始している。

 今回の新版では、まず、令和8年様式の新レイアウトに対応した。両社では、通常の帳票画像だけでなく、縦横のノイズ、印字のズレ、文字の薄さ、台紙に貼ったものなど合計10万パターンを超えるテストを実施することで、高い認識率を維持しているという。

 また「個人別明細書」では、新レイアウトへの対応に加えて、新たに読み取り項目として「摘要欄」が加わり、合計123項目の読み取りに対応。「総括表」でも合計9項目の読み取りに対応しており、全132項目の読み取りを実現している。

総括表(左)と個人別明細書(右)。緑の網掛けは、今回新たにOCR対応した項目

 加えて今回は、給与支払報告書のデータ化業務で必要となる主要帳票の一括仕分けのエンジンを刷新し、「個人別明細書」「総括表」に加えて「仕切り紙」の自動判定が可能になった。「個人別明細書」については、「特別徴収」「普通徴収」の仕分けにも対応し、全体の仕分け精度が大幅に改善されたとのこと。

給与支払報告書の仕分けイメージ

 さらに「個人別明細書」では、発生頻度が高い項目、昨年までは相対的に精度が低かった項目を中心にAI-OCRエンジンの改善を行い、OCRの読み取りエラーが昨年比で20.4%削減された。平均読み取り精度が99.2%に向上している。

 一方、昨年から対応している「総括表」については、非定型エンジンとAI-OCRエンジンを刷新し、読み取りエラーを51.3%削減した。

 このほか画面群が刷新され、従来よりも簡単な操作で読み取りが可能になった。具体的には、利用者からの要望が多かった「結果確認画面」を標準搭載し、AIが読み取りに自信のない項目や、読み取りできなかった項目のみを画面から確認できるため、確認作業の時間が削減されるとしている。

 システム面では、動作環境が従来のLinuxに加え、Windowsに対応。インストール手順が従来よりも簡素化されており、事前セットアップを効率的に行えるとのこと。

AIが読み取りに自信のない項目や読み取れなかった項目の表示方法を改善し、より確認しやすいエントリー画面に刷新