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トランスコスモスとArent、建設現場のデータを自動で統合・蓄積して活用する「Connectix Build」を共同開発

 トランスコスモス株式会社と株式会社Arentは13日、建設現場で生まれる膨大なデータを自動で統合・蓄積し、企業の競争力を高める資産に変換するサービスプラットフォーム「Connectix Build」を共同で開発すると発表した。

 トランスコスモスとArentは、建設業界ではBIM/CIMなど高度なデジタルツールの導入が進み、AIソリューションの活用も進んでいるが、想定した効果を得られていないという課題をよく耳にすると指摘する。両社はこれまでのサービス提供の経験から、その要因の多くはデジタルディスコネクト、すなわちデータの分断にあるのではないかと考えているという。

 日々の現場業務からは、図面、工程、書類、写真、チャット履歴といった膨大なデジタル情報やテキスト、画像などが生成されているが、これらのデータは個別のツールやシステム内に孤立し、断片的で拡散した不整形なデータの集合体となっており、これがデジタルディスコネクトを招いていると説明している。業務全体を通じてデータが有効に使われていない現状から、データを「つなぐ」というコンセプトに、ツール、データ、作業、関係者を有機的に連携できるサービスプラットフォームとして、Connectix Buildを開発する。

 Connectix Buildは、トランスコスモスが40年以上建設業界に特化して提供してきたサービス基盤構築やデータ活用ノウハウなどの知見と、Arentが持つAIを含む高度なテクノロジーで建設業界の構造的課題を解決するプロダクト開発力を融合したサービス。この「業界知見」と「技術」のハイブリッドなアプローチにより、ツール導入にとどまらず、現場の業務プロセスに密着した各種データの利活用を加速させるDXを推進する。これにより、建設業界の生産性の向上、および深刻化する技術継承の課題を解決し、持続可能な成長基盤の構築を目指すとしている。

 機能連携の面では、ArentのAIクラウド工程管理システム「PROCOLLA」、BIM業務支援ソフト「Lightning BIMシリーズ」を始めとする各種製品や各社の既存ツールともAPIでシームレスに接続し、システム間の手動でのデータ転記やインポート・エクスポート作業をなくし、一貫性のあるデータフローを実現する。

 これにより、既存のIT投資の価値を最大限に引き出す戦略的アプローチを提供する。また、収集したデータは各社専用のプラットフォームを整備し、分断された業務プロセスを一つのワークフローとして再定義することで、プロセス変革を実現する。

 また、ツールとデータを連携し、これまで分断されていた業務プロセスを一連のワークフローとして再構築する。定型的な報告書作成の自動化、設計変更情報の即時共有、検査記録と写真データの自動ひも付けなど、プロセス全体の効率化を通じて、現場の生産性を向上させる。定型的な反復業務はAIが自動処理し、人間の専門的な判断が必要な業務やデータのチェック作業は専門のチームが担当する。このハイブリッドなアプローチにより、現場担当者を煩雑な業務から解放し、生産性と創造性を最大化する。

 さらに、属人化したノウハウを組織の資産とするため、日々の業務データを活用し、ベテラン技術者の思考プロセスや判断基準を可視化する。過去事例を参照しながら学べる仕組みを整えることで、技術継承を可能にする。データに基づく標準化とベストプラクティスの確立により、組織全体で品質を安定させ、継続的な改善文化を醸成する。これにより、これまで暗黙知として属人化していたノウハウが組織全体の「生きたナレッジ」となり、技術継承を促進し、組織全体の技術力を体系的に底上げする。

 加えて、蓄積されたデータを活用することで、AIが将来的なリスクを先読みし、次にとるべきアクションを提案するなど、インテリジェントなサポートも可能になる。

「Connectix Build」3つのコアバリュー

 トランスコスモスとArentはConnectix Buildを通じて、日本の建設業界がより生産的で予測可能な収益性の高い未来を築くことを目的に、顧客企業とともに過去の叡智を未来へつなぐ真のパートナーを目指すと説明。また、トランスコスモスは施工領域へのサービス提供だけでなく、今後、企画領域、設計領域、調達領域、維持管理領域のそれぞれに向けたDX関連サービスを提供し、建設業界のさらなる発展に寄与するとしている。