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ワークデイ、新AIエージェントや開発者向けツールなど、「Workday Rising 2025」での発表を解説
2025年10月30日 12:11
ワークデイ株式会社は29日、9月に米国サンフランシスコで開催した年次カンファレンス「Workday Rising 2025」での発表内容について説明会を開催した。
ワークデイ テクノロジーコンサルティング担当 バイスプレジデント 兼 CTO(最高技術責任者)の小今井裕氏によると、Workday Rising 2025では、未来の新しい働き方を支える「Next-Generation ERP」(次世代のERP)をキーワードに、さまざまなAIエージェントやコア製品への投資などに関する発表があったという。
多数のAIエージェントが登場
AIエージェントに関しては、昨年のイベントで発表した4つのエージェントに加え、今年は13のエージェントを新たに発表した。中でも顧客から特に反響のあったエージェントとして小今井氏は、問い合わせ対応エージェントや人事評価エージェント、決算業務エージェントなどを挙げ、その一例として「人事評価エージェントは、CRMや売上成果など、企業内のさまざまなアプリケーションから集めたデータを掛け合わせて分析し、評価業務を効率化するとともに、改善に向けたアクションを提案するエージェントだ」と説明した。
次に小今井氏は、「Ask Workday」を紹介。これは、これまで「Workday Assistant」として提供していたチャットボットを刷新したもので、「よりインテリジェントでパーソナライズされたアシスタントとして利用できる」という。今後AIのインターフェイスがそのままユーザーインターフェイスになると小今井氏は述べ、「Ask Workdayの裏でさまざまなエージェントが連携して動くことになり、今後すべてのエージェントへの窓口としてAsk Workdayを利用することになる」とした。
企業買収によるコア製品への投資
小今井氏は、この数カ月でWorkdayが買収した企業についても説明している。その1社がParadoxだ。Paradoxは、対話型AIで採用活動における候補者のエクスペリエンスを向上するとともに、採用業務の効率化を実現するソリューションを提供する企業。WorkdayとParadoxは共通の顧客を200社以上抱えているといい、「すでにインテグレーションはできている」と小今井氏。この買収により、Workdayのリクルーティングモジュールが拡充されるという。
もう1社がSanaの買収だ。Sanaの主力製品「Sana Learn」は、AIを活用して学習コンテンツの作成やパーソナライズ、アサインメント、プロセスの自動化、分析までを一貫して支援し、学習体験を向上させるものだ。まだ買収は完了していないものの、「Sana LearnはWorkdayのラーニング機能を補完する役割を果たす」と小今井氏は述べ、すでにグローバル企業で学習エンゲージメントの向上やコンテンツ作成時間の短縮を実現した事例もあるとした。
Sanaのもうひとつの特徴は「Sana Agents」で、従業員ごとにパーソナライズされたAIエージェントを構築し、企業内のデータ検索や、その情報をベースにしたアクションなどのプロセスを融合した業務体験を提供する。例えば、CRMデータの更新をエージェントが代行するなど、「未来のワークエクスペリエンスが実現する」と小今井氏は述べている。
開発者向けツールなども新たに提供
Workday Risingでは、開発者向けツールの「Workday Build」も発表された。これは、顧客やパートナー企業の開発者がWorkday上でのイノベーションを加速できるよう設計されたもので、AIを中核に据えた開発ツールを多数備えている。小今井氏は、「単なるローコードプラットフォームではなく、エンタープライズ開発環境の高度化を念頭に構築されており、包括的なサービスとして提供する」と話す。
Workday Buildは、Workdayのデータサービス基盤上に構築されており、8月に買収したFlowiseによるエージェント開発や、Workday Extendによるアプリケーション拡張、外部システムとの連携を担うオーケストレーションビルダー、データクラウドによる分析機能などが統合されている。これにより、「例えばExtendで構築したアプリケーションにFlowiseでビルドしたエージェントを連携させ、さらに外部システムと連携させるといったことも可能だ」(小今井氏)という。
またWorkday Buildは、開発環境の提供だけにとどまらず、イノベーションパートナー向けのプログラムや、パートナーが構築したアプリケーションを配布するマーケットプレイス、開発者向けの認定制度やコミュニティなど、「包括的なエコシステムとして構成されている」と小今井氏は述べている。
新しいデータレイヤーとしては、「Workday Data Cloud」が登場した。これは、従来のエンタープライズ環境におけるデータのサイロ化や非リアルタイム性といった課題を解消し、AI時代に対応するために設計されたデータ基盤となる。
Workday Data Cloudにより、SnowflakeやDatabricks、Salesforceなどの外部基盤とWorkdayのデータを組み合わせた分析が可能となり、「異なるベンダーのエージェントが一体となって機能する世界観が示された」と小今井氏は説明した。






