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Zoom、Zoom CXのAIコンシェルジュなど顧客体験をよりスムーズにする新機能を発表

 米Zoom Communications(以下、Zoom)は現地時間17日、顧客体験をよりスムーズにするためのAIに関する機能強化を発表した。これには、Zoomカスタマーエクスペリエンス(Zoom CX)、Zoom Revenue Accelerator、Zoom Events、Zoom Webinarsの機能強化が含まれ、ZoomのAI基盤と新しいAI Companion 3.0が、最初の接点から継続的なサポートまで顧客体験のあらゆる場面を変革するとしている。

 Zoom CXは、エージェント型AIを顧客とのタッチポイントやコンタクトセンター業務全体に拡張することで、よりインテリジェントで連携性が高く、利用者が使いやすいプラットフォームへと進化していると説明する。今回のイノベーションにより、企業はカスタマージャーニーを自動化し、顧客課題を解決できるほか、チームがより優れたカスタマーサービスを提供しながら業務効率を向上させられるとしている。

 Zoomバーチャルエージェント(ZVA)は、24時間365日のAIコンシェルジュ機能を提供するZoom Phoneへの拡張を基に、新たな業界特化型の機能を追加し、専門的なユースケースをサポートできるようになった。また、Zoomは、企業が顧客とのあらゆるやり取りにおいて常に一貫した高品質を維持できるよう、ZVAのさらなる機能を提供する。

Zoomバーチャルエージェント(ZVA)

 ZVAで個別の音声を使用できる新機能により、企業は声優やブランドボイスなど、選択した音声の短いサンプルを簡単にアップロードして、カスタマイズされた対話型AI体験を瞬時に作成できるようになる。この機能により、企業はより印象的でパーソナライズされ、ブランドに沿った体験を提供でき、アカウントレベルの可視化、調整可能な設定、組み込みの品質チェック機能(2025年11月予定)を通じて、セキュリティを維持できるようになる。

 新しい医療機関向けZoomバーチャルエージェントは、業界特化型AIエージェントテンプレート、カスタム医療用辞書、EHR(電子健康記録)連携を活用し、医療機関による患者受付、予約調整、保険確認、診察後のフォローアップなどの臨床・管理業務ワークフローに特化したバーチャルエージェントの構築をサポートする(2026年1月提供予定)。

 Zoomバーチャルエージェント向け自動品質管理(AQM)は、企業の監視体制と業務の一貫性維持をサポートする。管理者はAQMを活用し、AIエージェントが応対した会話記録のレビュー、エンゲージメントの自動採点、パフォーマンスの分析が可能となり、バーチャルエージェントを人間の担当者と同等のコンプライアンス基準およびサービス基準で管理できる。この統合フレームワークにより、経営陣は最適化の機会を特定し、自動化への信頼を築きながら、顧客に一貫して高品質な体験を提供できる(2026年1月予定)。

 音声対応のZoomバーチャルエージェント向けの新しいスーパーバイザーダッシュボードにより、スーパーバイザーはオペレーターとバーチャルエージェント両方の対応状況をリアルタイムで確認できる。会話のプレビューやモニタリング、さらには会話の引き継ぎも可能となることで、一貫したサービス品質を維持し、重要な監督の抜け漏れを解消する(2026年3月予定)。

 さらに、Zoomの継続的な統合拡大の一環として、音声対応のZoomバーチャルエージェントがAmazon Connectと連携し、インテリジェントな推論による複雑な通話の自律的な解決や、完全なコンテキストを伴ったAmazon Connectへのシームレスな引き継ぎ、顧客負担を軽減してロイヤルティを構築するタスクの実行などを実現する(2025年9月予定)。

 これらの新機能に加え、2025年12月提供予定の「CX Insights」は、あらゆるカスタマーエクスペリエンス担当者が会話を測定可能な改善へと変革することを可能にすると説明。自然言語クエリを使って、リーダーはトレンドトピックに関する質問を行い、AIが生成する改善提案を受け取ることで、専門のアナリストに依存することなく意思決定を民主化できる。さらに、オールインワンのダッシュボードを通じて、顧客とのあらゆるやり取りがビジネス改善の原動力となるとしている。

Zoom CX Insights

 Zoomは、エージェントとスーパーバイザーの体験を強化するため、AIを活用したアップデートを実施し、ガイダンス、ウェルビーイング、コラボレーションを向上させると説明。2026年初頭に登場するエージェント型AIエキスパートアシストは、常に人間のサポート担当者の監督下で、次に行うべき最適なアクションを提案・調整する。これにより、サポート担当者はより正確な回答を提供し、ワークフローを効率的に進め、問題を迅速に解決できるようになる。複雑な意図モデルではなくスキルを使用することで、スーパーバイザーの設定を簡素化し、拡張を容易にするとしている。

 Engagement Docsでは、担当者が顧客記録に関して、画像、動画、AIが生成した構造化コンテンツをZoom Docに埋め込み、AI Companionによる要約や検索が可能な共同編集記録を作成できる(2026年1月予定)。

 音声・動画のリアルタイム翻訳は、担当者と顧客が、対応可能な言語の中から希望する言語でシームレスにコミュニケーションをとれるようになる。これにより企業は新規市場への進出や多様な顧客層への一貫したサービス提供を実現する。サポート担当者は、顧客の発話を自分の言語に翻訳したリアルタイム音声と文字起こしを受け取ることができ、担当者の発話も顧客の言語に翻訳される(2026年1月予定)。

 これらのアップデートにより、顧客体験をより緊密に、より先回りして、よりシームレスにするという Zoom CXのミッションを推進するとともに、企業がエンゲージメント戦略の中核にAIを活用する自信を得られるようにするとしている。

 Zoom Revenue Accelerator(ZRA)は、営業チームにAIツールを提供し、見込み客開拓の自動化、反復業務の削減、洞察の可視化などの業務効率化を実現する。これにより、営業担当者は顧客との関係構築と契約成立といった本来の業務に集中できるとしている。

 ZRAの新機能では、エージェント型の見込み客開拓スキルを2026年1月にリリースを予定する。同機能は、常時稼働型のパイプライン構築ツールで、イベントやその他のソースからリードを調べ、能動的推論を用いて有望な見込み客を抽出する。メールやSMSなど多様なチャネルでアプローチを開始し、パーソナライズされたエンゲージメントと能動的なミーティング設定により、関心のあるリードを育成し商談を設定する。

エージェント型の見込み客開拓機能

 Zoom EventsとZoom Webinars向けには、新たな「Ask AI Companion参加者パネル」を導入した。これにより、遅れて参加したユーザーは、AIによる要約で瞬時に見逃した内容を把握できる。

 大規模な配信や制作に向けては、「Production Studio in the Cloud」をリリースした。これにより、ローカルハードウェアやインターネット速度に制限されることなく、放送レベルの品質でイベントを実施できる。クラウドベースのミキシング機能により、動画処理とストリーミング効率を向上させ、高品質かつ安定した注目度の高いウェビナーやイベントの運営を可能にする。