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NECとRed Hat、エンタープライズ向けAIソリューションの拡大に向け共同技術支援体制を強化
2025年9月29日 13:33
日本電気株式会社(以下、NEC)と米Red Hatは29日、2022年9月に発表した両社の戦略的なグローバルアライアンスを基盤に、共同技術支援体制を強化し、エンタープライズ向けAIソリューションの拡大を推進すると発表した。
両社は、AI技術の進化と運用現場をつなぐ高度な実装力を備えた共創パートナーとして、持続可能かつ実用的な生成AIの導入を促進し、エンタープライズ領域におけるAI導入拡大とイノベーションの加速に貢献していくとしている。
企業や自治体では、業務効率化やナレッジ活用、顧客対応の高度化など、さまざまな分野での生成AI活用に期待が高まっているが、生成AIの導入に際しては、利用目的に応じたLLM(大規模言語モデル)の選定と環境構築の難しさや、セキュリティやガバナンス要件に対応した運用体制・環境の確立、コスト最適化と将来的なスケーラビリティの両立といった課題が挙げられると指摘。こうした課題の解決に向けて、NECとRed Hatはそれぞれの強みを補完し合いながら協業を進め、さまざまな業種・業態の組織が生成AIを安全・安心に活用できる社会基盤の構築を目指す。
協業では、Red Hatがグローバルに展開するオープンソースベースのAIプラットフォーム技術と、NECの多様な業種における導入実績や実践的な知見、柔軟な提供形態を組み合わせて、商用・オープンソースを問わず多様なLLMに対応可能なAI共通基盤を共創する。これにより、特定のベンダーやクラウド環境に依存することなく、顧客のニーズに応じたAI導入を柔軟かつ持続的に支援する。
最初の取り組みとして、現在NECが価値創造モデル「BluStellar」のもとで提供するNEC開発の生成AI「cotomi(コトミ)」を、Red Hat Enterprise Linux AI(以下、RHEL AI)上で展開し、実用性と拡張性を備えた共通AI基盤の構築を進めていく。なお、NECはすでにcotomiの動作環境としてRHEL AIを正式にサポートしている。
また、両社はvLLM、LLM Compressor、InstructLabなどのオープンソースコミュニティ技術についても、技術進化とエンタープライズ領域への実装の橋渡し役として、共同検証や技術連携を継続していく。NECは、これらの技術が実用段階に至った際に、商用利用に向けた技術支援・導入支援を提供できる体制の構築にも取り組んでいく。
両社は協業を通じて、生成AIの本格的な活用を加速させるためのエンタープライズ向けAI基盤の標準モデル(リファレンスアーキテクチャ)を構築し、業界別の具体的なユースケースに対応したテンプレートの共創を推進する。これにより、さまざまな業種・業態の組織が生成AIを持続的かつ現実的に活用できる社会の実現を目指すとしている。