ニュース

ワークスアプリケーションズ、「失敗からの復活」をCEOが強くアピール 国産ERP「HUE」のビジネスが好調

 株式会社ワークスアプリケーションズは26日、メディアラウンドテーブルを開催。代表取締役CEOの秦修氏が、「創業から30年、過去には失敗したこともあったが、無事に復活し、国産ERPベンダーとしてマーケット内で確固たるポジションを築くことができている」と述べ、事業が上向きであることを強くアピールした。

株式会社ワークスアプリケーションズ 代表取締役 CEO 秦修氏

 同社は2017年後半からビジネスが不調となり、HR事業譲渡など、経営体制の立て直しを行った。その結果、2023年6月には業績黒字に復活したが、その要因として、「お客さまに寄り添う現場担当者・製品開発者など、我々が培ってきた人的資本が評価されたこと、我々が創業以来提供しているビジネスモデルが評価されたことなどが功を奏した」ことを挙げる。

 今後についても、頻繁な法改正などに対応できる国産ERPベンダーとして評価されていること、AIで分析しやすい仕様であることなどを挙げ、「我々の強みとなっている」としている。 さらに同社のERP「HUE」において、2026年夏、2027年夏にAI機能の向上を計画しているという。

経営危機に陥るも、体制刷新を進め業績回復と成長加速を実現

 ワークスアプリケーションズは1996年に創業し、大企業をターゲットとした国産ERPベンダーとしてビジネスを展開してきた。

 秦CEOはこれまでを振り返り、「創業30年、いろんなことをやってきて、メガベンチャーと呼ばれ、創業者がカリスマ経営者として話題になることもあった。おそらく、当社の名前を聞いて、創業者やほかの創業メンバーの名前がいまでも頭に浮かぶ人も多いのではないか。過去のキラキラした会社としてのイメージを持っている人も多いと思う」と話した。

 しかし、それが一変したのが2017年後半。雑誌記事に信用不安説が取りざたされ、2018年にはHUEの開発が思うように進まない事態に陥った。

 そこで2019年に、HR事業を株式会社Works Human Intelligenceに譲渡。2022年にはMBOで株式会社ワークスアプリケーションズフロンティアとの資本関係を解消するなど、体制刷新を進めたという。

 その結果、2023年6月には黒字に転換し、2025年6月の売上高は前年同期比14%増の115億円となった。BSも現金41億円、純資産41億円で、顧客数も500企業グループ、2400社となっている。また、調査会社のIDCが発表した「IDC MarketScape」の国内中堅企業向け財務会計アプリケーション市場では、リーダーに位置付けられたとのこと。

 「厳しい環境の中、なんとか持ちこたえることができたのは、創業からの人材育成による人的資本があったこと。開発、現場・業務起点によるお客さまに支えられたことがベースとなって、業績回復と成長加速を実現できた。人的資本という無形資産の価値増大を経営の軸として、さらなる深化と進化を目指す」。

WAP無形資産価値の推移

 また、ワークスアプリケーションズが提供するERP「HUEシリーズ」のビジネスモデルが再評価されたことも成長につながったという。

 「HUEはノーカスタマイズ、無償バージョンアップを創業以来実施しており、30年にわたる業務標準の追求で、カスタマイズなしでも使いやすいERPとなっている。データが規格化されているので、AIによる分析に適している。国産ERPとして、大小さまざまな法改正に対応し、先進技術も積極的に取り込んでいることから、圧倒的にTCO削減につながり、ITコストの可視化を実現している。こうした進化が再認知されたことも躍進の要因となっている」。

HUEの躍進⇔「真価」の再認知

 特に、「大きな強みとなっているのがAI実装」という。実は、HUEがAIを実装したのは2014年にさかのぼる。その時点ではAI機能が十分ではなかったこともあって、HUEの開発が遅れる要因のひとつともなった。しかし時間の経過によって、AIを実装した機能は50となり、導入においてもAI活用によって効率化を実現。開発面でもAI活用で開発サイクルが向上するなど、社内、製品ともに積極的にAIを活用している。

 秦CEOはこうした経験から、「話題のAIエージェントだが、業務実態に合わないものも多い。例えば請求書を再発行する場合、AIエージェントを使った自動処理は、中小企業であれば問題ないかもしれないが、必要な判断を求めないAIエージェントでは実利用が難しい場合がある。すべてをAIに任せるのではなく、必要な場合には人の判断を織り込みながら、人の作業が極限までなくなるための設計を実施している」と、実務にあったAI活用が必要だとアピールした。これは2200社を超える大企業の業務要件・フローを標準搭載していることがベースとなっているという。

 さらに将来計画として、2026年夏、2027年夏とAIを搭載した「HUE」を新たにリリースする計画を明らかにした。

HUE AI機能の未来