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NEC、次世代モビリティの事故対応や保険サービス高度化に向け米MOTER Technologiesと提携

 日本電気株式会社(以下、NEC)は19日、あいおいニッセイ同和損害保険株式会社の米国子会社で保険ソフトウェア開発などを行うMOTER Technologies(以下、MOTER)と、8月に資本提携契約を締結したと発表した。出資形態は、MOTERが第三者割当増資によりNECに対して株式を発行する。

 MOTERは、IoT端末などのデバイスそのものでデータ処理・分析を行う複数のコンピューターを利用した計算処理の概念「エッジコンピューティング技術」やコンピュータービジョンを活用し、車載器に搭載可能な保険ソフトウェアおよびEVや自動運転車両に対応した次世代型保険商品・サービスを開発している。

 NECとMOTERでは、電動化や自動運転、コネクテッドカー、シェアリングエコノミーなどの新技術によってモビリティ産業は大きく再構築され、こうした急速な変革に伴い、交通・運行を取り巻くリスクもより複雑かつ多様化しており、モビリティ事業者や保険会社はリスクへの的確な対応が求められていると説明。こうした状況に対し、最先端のデジタル技術を活用して、事故対応プロセスの迅速化と業務を大幅に効率化する次世代事故対応サービスや保険サービスの高度化を推進するため、提携に至ったとしている。

 提携により、NECグループが有するAIを活用した映像認識や生体認証などの最先端デジタル技術と、MOTERの強みであるリアルタイム車両データの分析力や米国市場での保険商品開発・サービス運用の実績を掛け合わせることで、モビリティを取り巻く多様なステークホルダーに対して新たな価値を提供し、誰もが安心して移動できるモビリティ社会の実現を目指す。

 提携により将来的に可能性を模索する取り組み領域としては、マルチモーダルAIエージェントにテレマティクスの知見を組み込んだ次世代事故対応サービスの開発を挙げている。NECグループの映像認識技術とLLMを組み合わせたマルチモーダルAIエージェントに、MOTERのテレマティクスに関する知見を組み込み、ドライブレコーダーなどから取得された走行データを分析してAIによる高度な推論を実現する技術を共同開発する。この技術を活用し、事故発生時の車両の動き、衝突状況、ドライバーの行動などを自動で抽出・処理するシステムを開発することで、モビリティ事業者や保険会社による事故対応プロセスの迅速化と業務を大幅に効率化する次世代サービスの実現を目指す。

 また、保険サービスの高度化に向けて、NECが持つ顔認証技術を用いたバイタルサイン推定技術を活用し、MOTERプラットフォームを通じて提供される各種ソリューションの高度化を検討する。

関係者一同