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TOPPANエッジ、国際的な法人デジタル証明書「vLEI」の発行資格を取得、発行サービスを11月開始
2025年9月12日 13:43
TOPPANエッジ株式会社は11日、非営利財団法人Global Legal Entity Identifier Foundation(以下、GLEIF)から、国際的な法人デジタル証明書であるvLEIの適格発行機関(Qualified vLEI Issuer:以下、QVI)として日本で初めて認定されたと発表した。
TOPPANエッジは、サプライチェーン管理や国際的な貿易取引、ブロックチェーン上の暗号資産による金融取引などにおける活用を想定し、製造業や金融業などを対象として、11月にvLEI発行サービス「vLEI-Gateway」を提供開始する。
LEI(Legal Entity Identifier:取引主体識別子)は、国際規格「ISO 17442」に基づく20文字の英数字コードで、GLEIFの管理の下、各国の代表機関が発行する世界共通の法人ID。vLEIは、LEIと検証可能な資格証明(Verifiable Credentials:以下、VC)を組み合わせ、企業などの法人やその法人に属する個人が本人であることを証明するデジタル証明書。
TOPPANエッジは、法人に対してvLEIの発行を行うQVIとして、vLEIの審査・発行・更新に加え、vLEIによる署名検証を行うサービス「vLEI-Gateway」を11月に提供開始する。さらに、2026年度にはQVI候補企業に対してQVI用システムをSaaS提供できるサービスへと機能拡張を予定している。
サービスは先行して、9月から「BRPコンソーシアム事業所デジタル証明研究開発ワーキンググループ」が行う実機検証に採用された。この検証では、半導体業界の事業所サプライチェーン管理において、事業所にVCを発行する際の法人情報の取得や、その法人の実在性の確認・審査をvLEIを通じて行うことで、申請情報の簡略化やVC利用者の真正性の証明を目指す。
これまで、国際的な取引や金融の場面では、「この会社は本当に存在しているのか」、「誰が関係者なのか」を証明することが難しいという課題があった。世界金融危機をきっかけに、この課題の解決に向け、主要国の金融当局が参加する金融安定理事会(FSB)によりGLEIFが設立され、2014年に世界共通の法人ID(LEI)が実現した。さらに、最近のデジタル取引の急増により、組織の認証と確認をオンラインで自動化するニーズが世界的に高まり、LEIに紐づいたデジタル証明書(vLEI)を導入する検討が進んでいるという。
欧米では、既に金融取引におけるアンチマネーロンダリングや半導体、軍需・医薬品といったグローバルサプライチェーン管理などの観点から、LEIの取得が義務化されており、vLEIについても同様に順次適用に向けた検討が進んでいる。日本でも、アンチマネーロンダリングの観点から「店頭デリバティブ取引等の規制に関する内閣府令」などが改正され、取引当事者が規制当局に対して取引報告をする際にLEIの記載が義務付けられるなど、LEI関連法令が施行されたほか、デジタル通貨での国際送金の際の実在性確認手段としてvLEIも注目を浴びつつある。
また、金融分野に加え、産業分野でのvLEI活用には日本の各政府機関も注目しており、経済安全保障の観点からグローバルに厳格なサプライチェーン管理が要求される、半導体やネットワーク機器の業界などでの活用検討が民間でも進んでいるという。
TOPPANエッジは、長年にわたり銀行・証券・保険など金融業界の顧客からバックオフィス業務を受託しており、その過程で培った正確な業務処理ノウハウや高度なセキュリティ運用レベルとID関連のデジタル技術の蓄積を生かし、GLEIFの求める国際基準を満たすvLEIの発行審査・運用体制を構築して、日本で初めてvLEI発行機関として認定を受けた。
GLEIFが認定するQVIとして、LEI取得済みの法人の申請に基づき、vLEIの審査・発行・更新・取り消しを行う。vLEIには、法人全体の実在を証明する「LE-vLEI」、役員など法的な役職者の実在を証明する「OOR-vLEI」、部門責任者といった役職者の実在を証明する「ECR-vLEI」の3種類があり、その全てに対応する。
さらに、TOPPANエッジでは独自のサービスとして、vLEIによる署名検証と、QVI用システムのSaaSによる提供(2026年度中提供開始予定)を予定している。
TOPPANエッジは、製造業のサプライチェーン管理に加え、国際間での法人の所在確認などが必要となる貿易取引、マネーロンダリング対策が求められている暗号資産による金融取引などを行う企業を中心に本サービスを展開し、2030年までに6000社での利用を目指す。