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ソフトバンク、データセンターの設備構築や保守作業自動化に向けロボット作業に適したサーバーラックを開発

 ソフトバンク株式会社は8日、データセンターの設備の構築や保守作業などの自動化に向けて、ケーブルレス構造によるロボットフレンドリーな仕様のサーバーラックを新たに開発したと発表した。ソフトバンクはこのサーバーラックを活用して、サーバーの設置や撤去、故障時の交換、点検などの作業を、ロボットで自動化することを目指す。

 データセンターでは、サーバーラック内に多数のケーブルがあることが、ロボットによる作業自動化における大きな障壁となっている。ケーブルが密集していることで、ラック内でロボットが対象機器を正確に認識したり、操作したりすることが困難になり、作業の精度や効率に大きな影響を及ぼす。

 そこでソフトバンクは、ロボットがそれぞれのケーブルを取り扱うなど複雑な動きをすることなく、サーバーの設置や故障時の交換などの作業を効率的かつスムーズに行えるようにするため、電源や通信などのケーブル接続が不要なケーブルレス構造を採用したサーバーラックを開発した。

ソフトバンクが開発したサーバーラック

 開発したサーバーラックは、ソフトバンクが独自に設計・開発したアダプターを含む接続機器と内部構造により、EIA規格(幅19インチ)の汎用サーバーをケーブルレスで設置できる。

EIA規格サーバーの搭載イメージ

 電源・冷却・通信の全てがケーブルレスに対応しているため、ロボットは押し込み作業のみでサーバーをラックに設置できる。さらに、サーバーラック内の通信には、ソフトバンクが独自に設計した光信号を利用するアーキテクチャーが採用されている。電源にはラック背面の金属バーから直接給電する「バスバー方式」を、冷却には水冷用の部品を差し込むだけで接続できる「ブラインドメイト式コネクター」を、通信には光信号を利用する「光コネクター」を採用しており、電源・冷却・通信の全てをケーブルレスで接続できる。

ラックへのサーバーの接続イメージ

 このサーバーラックは、ハードウエアの仕様や設計の標準化・効率化を進める非営利組織「Open Compute Project(OCP)」がデータセンター向け製品の設計について定めた仕様であるORV3規格に準拠しており、液体冷却に対応する。

 ソフトバンクは今後、このサーバーラックを実環境でロボットと連携させる検証を行う。また、ロボットの活用によるデータセンターの運用のさらなる自動化を目指し、パートナー企業と連携して、AMR(Autonomous Mobile Robot、自律走行搬送ロボット)やAGF(Automated Guided Forklift、無人搬送フォークリフト)などの開発にも取り組んでいく。これらは、2026年度に開業予定の「北海道苫小牧AIデータセンター」において、ロボットによる作業自動化を実現するための取り組みの一環になるという。