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IIJ、ウクライナのインフラ復興支援事業にマイクロデータセンターを提供
2025年9月5日 14:02
株式会社インターネットイニシアティブ(以下、IIJ)は5日、独立行政法人 国際協力機構(JICA)が推進する「ウクライナ国復興に向けた民間セクター参画促進プロジェクト(ファスト・トラック制度適用案件)」の一環で、5月に開始された実証事業として、2025年度中にウクライナの主要インフラ事業者2社にマイクロデータセンターを合計4台提供すると発表した。
マイクロデータセンターは、現地通信事業者および電力インフラ事業者に提供され、それぞれデータセンターのバックアップや変電所の設備監視などに活用される予定。
IIJは、現地事業者にマイクロデータセンターの運用保守に必要な知見および技術の提供を行うことに加えて、マイクロデータセンターの現地ニーズや市場性を検証し、将来の事業展開に向けたビジネス基盤の構築を目指す。
戦争によりウクライナ国内のITインフラは物理的な破壊やサイバー攻撃などの深刻な被害を受けており、社会インフラとして通信・IT設備の強靭化と分散化が喫緊の課題となっている。また、ウクライナでは戦争が継続する中でも復興が進められており、ITインフラの再構築の需要が急速に高まっているという。
こうした状況の中、IIJはJICAの「ウクライナ国復興に向けた民間セクター参画促進プロジェクト」に加わり、2024年度はウクライナ国内における小型データセンターのニーズについて調査を実施し、分散配置やインフラ再構築、現地パートナー企業との協業体制やビジネスモデル構築の可能性などを検討した。その結果、通信・ITおよび電力などの重要インフラのバックアップや、戦争激化を受けた設備移設、新設が困難なビル型データセンターの代替などの目的において、IIJ製品のマイクロデータセンターの有効性を確認できたとしている。
この調査の結果を踏まえ、実証事業では実際に現地事業者にマイクロデータセンターを提供し、復興支援とあわせて将来の事業展開を視野に入れた事業者への技術移転やビジネス基盤の構築を進める。
マイクロデータセンターは、サーバー、電源、空調、無停電電源装置(UPS)など、データセンターに必要な設備・機能を備え、屋内・屋外いずれの利用にも対応した小型サイズ(高さ約1~2m)のデータセンター。可搬性に優れ、短期間で導入でき、遠隔操作にも対応しているため、人の立ち入りが困難な環境でも運用管理ができる。
実証事業では、通信事業者の2都市の拠点にそれぞれ1台(DX edge Pro)を提供する。地理的冗長性を確保したバックアップシステムとして運用し、製品評価を実施する。
また、電力インフラ事業者の1拠点に2台(DX edge Hut)を提供し、屋外に設置する。変電所の運用監視用途で利用し、粉じんや風雨などの環境下での耐久性や稼働の安定性を検証する。
IIJは、実証事業でのマイクロデータセンター提供先事業者からのフィードバックなどをもとに、2026年度以降、マイクロデータセンターの市場性とビジネススキームをより詳細に検討し、現地でのマイクロデータセンターならびにITサービス・ソリューションによるビジネス展開を進めていくとしている。