ニュース
PFU、ドキュメントスキャナー「ScanSnap」の新フラグシップモデル「ScanSnap iX2500」
業務用製品向けに開発した次世代SoC「iiGA」を搭載
2025年6月25日 13:15
株式会社PFUは25日、イメージスキャナー「ScanSnap」シリーズの新フラッグシップモデル「ScanSnap iX2500」を発売した。価格はオープンだが、PFUの直販サイトでは5万9400円(税込)で販売される。
新たに自社開発したSoC(System on a chip)「iiGA」(イーガ)を搭載し、スキャン速度、起動速度、画質の向上、PCレスでの画像処理性能の向上などを実現。ユーザーが自分仕様に設定をカスタマイズして利用している場合でも、PCやスマートフォンなどのデバイスとUSBやWi-Fiで接続すれば、設定を本体に反映し、自宅、仕事場、コワーキングスペースなど、どの場所でも自分の設定で利用できるという。
またクラウドサービスとの連携も強化され、さまざまなサービスと連携して使用可能。ビジネスでの利用にも適した仕様となっていることから、これまでスキャナーを利用していなかった企業にも売り込んでいくとした。初年度の販売目標としては、「グローバルで初年度40万台を目指したい」(PFU 取締役常務執行役員の宮内康範氏)としている。
「ScanSnap iX2500」は、外出先、自宅、コワーキングスペース、オフィスなど場所を選ばず、時間、デバイスを選ばずにデータ活用ができる、ScanSnapシリーズの新フラッグシップモデルとなる。
製品の基本機能が拡充されており、毎分45枚のスキャニングスピードを備えるほか、原稿は最大で100枚までセット可能。5インチのLCDのタッチパネルを搭載した。Wi-Fi 6への対応、Bluetooth搭載、PCレスでも高度な画像処理が可能、省電力といった特徴も持っている。
「タッチパネルでの操作が可能であるほか、今回、物理ボタンも復活させた。用紙を100枚までセット可能で、業務用スキャナーに搭載されている原稿の傾き検知機能を搭載しており、斜めにセットされてしまった用紙をストップすることができる。光学技術についても、業務用スキャナーの光学技術を搭載したことで、色ズレ、モアレの発生を低減する」(PFU ドキュメントイメージング事業本部 スキャナー開発統括部の今村博貴氏)とした。
ソフトウェア機能が充実していることもScanSnapの特徴だ。ScanSnap Homeは、PCでスキャナーの設定やスキャンデータの管理・活用・連携を実現するオールインワンのソフトウェア。モバイル版として、スキャナーをスマートデバイスと簡単接続し、スキャンデータをスマートデバイスで閲覧できるモバイルアプリケーションも用意されている。
今回は、PC版のScanSnap Homeのクイックメニュー、UIデザインが一新された。さらに、仕事で利用することが多いMicrosoft Teams、SharePoint、OneNote、Notion、iCloud連携機能が追加された。ファイルのアイコンをドラッグ&ドロップするだけで、Teamsにスキャンしたデータを連携することができる。
モバイル版ScanSnap Homeは、要望の多かった“検索できるPDF”に対応するとともに、名刺の場合は、テキスト情報の取得、メール送信、電話番号発信に対応している。モバイル版でもPC版同様に複数のプロファイルを持つことが可能で、情報活用の際の利便性が増している。
また、今後のアップデート予定なのがData Sync。スキャンデータのコンテンツ情報を同期でき、デバイスを問わずいつでも同じデータの閲覧を行えるとのこと。
今回の新製品について、PFUの代表取締役社長執行役員 平原英治氏は、「AI時代、ScanSnapは次のステージへ移ろうとしている。現実とデジタルの垣根をなくし、人が情報をより自然に情報が入手できる、そういう社会の実現を目指していきたい。その第1歩となるのが、今回の新製品。皆さまのDXをさらに加速し、ライフスタイル、ワークスタイルに新しい価値を提供していきたい」とScanSnapが目指す方向をアピールした。
AIについては、宮内常務執行役員が、「大手企業の研究所のAI研究者といろいろ話したが、AIの爆速的な進化により、世にある良質な学習データ、AIのためのデータが、遅くとも2028年、早ければ2026年に世の中から枯渇してなくなってしまうのではないかという課題がささやかれている。AI研究者もこのデータの枯渇について、強い懸念を持っている」と前置き。
その上で、「私たちは、今後のAI進化の鍵は、リアルなアナログ情報にあると考えている。例えば視覚情報、画像情報、音声の情報などはリアルなアナログ情報に該当する。こうしたアナログ情報を、即座にデジタル化しAIに渡していくことができれば、AIの成長を止めることはない。実はリアルなアナログ情報の代表といえるのが、PFUがずっと向き合ってきた紙。家庭や職場には、貴重な情報が詰まった紙が多数存在している。しかし、紙のままではAIには見えない情報のままで、これをAIが活用できるよう、品質の高いデジタルデータ化していくことが我々の役割」とは説明した。
また、「まだスキャナーを使っていない人が多いのが実情」と、宮内常務執行役員は分析。「そうした人に向け、スキャナーが必要だという世界を、このix2500から築いていきたいと思っている」とも述べた。
なお新モデルでは、PFUの親会社であるリコーの営業力が加わり、市場開拓につながると考えているという。「リコーは、日本全国に営業スタッフを持っている。その力はやはり大きいもので、複合機販売で培ってきたノウハウと、我々PFUが持っているスキャナー技術が重ね合わさり、シナジーとして多くの方にScanSnapを認知していただけるのではないか」(宮内常務執行役員)と説明している。