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東芝、「TOSHIBA SPINEX for Energy」に生成AI連携や蓄電池劣化診断などの新機能を追加

 株式会社東芝は8日、電力事業者をはじめとしたインフラ事業者や製造業向けのデジタルサービス「TOSHIBA SPINEX for Energy」において、既存のサービスと生成AIを連携する機能や、蓄電池の長期安定運用とアセット価値最大化を支援する蓄電池劣化診断サービスなどの新機能を提供開始した。

 東芝は、エネルギー関連設備の稼働率向上や業務効率化に対するニーズの高まりを受け、2019年にオンプレミス版「TOSHIBA SPINEX for Energy」の提供を開始し、2024年にはSaaS版を提供開始した。さらに2025年には、発電所や工場におけるエネルギー運用計画の最適化や、現場点検業務を支援する機能を順次拡充してきた。

 今回、「生成AI連携機能」として、TOSHIBA SPINEX for Energyの各種サービスと、生成AIを連携する機能を追加する。アマゾンウェブサービスジャパン合同会社(AWS)が提供する生成AI基盤サービス「Amazon Bedrock」を介して、AnthropicのClaudeをはじめとする最先端のAIモデルを利用できるようになる。

 機能を活用したサービスの一つとして、火力発電所や変電所など向けのトラブル対応として幅広く使える「Plant Knowledge AI Chat」を開発した。東芝はエネルギー設備のメーカーとして、設計情報や保守記録などの文書データを保有しており、顧客は設備の運用に関する文書データを保有している。サービスでは、これらの文書に記載されているノウハウを参照した生成AIとの対話を通じて、トラブルの予兆から効果的な対策を引き出して設備の停止を回避することや、トラブル発生時に素早く原因・対策を特定して停止期間を短縮する効果を見込んでいる。

 また、PV統合管理サービス「EneTogo」で4月に新たに提供する新機能でも生成AIと連携しており、EneTogoに蓄積されている障害記録や点検記録をもとに生成AIがトラブル解決を支援する機能や、運転報告などのレポートを生成AIが自動作成する機能を実現した。

 将来的には、文書データだけでなく設備の運転データ(温度・圧力・流量など)や画像データを組み合わせた高度な分析をAIが代行する機能や、当社のサポート担当者とAIがシームレスに連携してトラブルに対応するシステムの構築を目指すとしている。

「Plant Knowledge AI Chat」の使用イメージ

 このほか、新たに提供する「蓄電池劣化診断サービス」は、蓄電池を保有・運用する事業者向けに、独自に開発した「充電曲線解析法」を活用し、蓄電池アセットの最大限活用に貢献するサービス。

 サービスは、系統用や再エネ発電所併設などの蓄電池内部の劣化状態や安全性を、電池運用中の充電データを活用して、蓄電池を破壊することなく診断できる。用途を問わず、幅広いリチウムイオン電池に適用可能な高い汎用性を有している。一般的な蓄電池診断がSOH(残存容量)の診断にとどまるのに対して、サービスでは安全性評価および精緻な残寿命推定に加え、入出力性能、急速充電性能、低温耐性など多角的な診断を行うことで、蓄電池アセットの最適な利活用を可能にする。

 「較正済み温湿度記録サービス」は、試験記録などのエビデンスに使用できるサービス。発電設備や蓄電池などのエネルギー関連設備の運用や保守においては、保守業務の作業環境や設備の保管などの際に主要環境条件である温度や湿度の計測は、較正されたセンサーで実施されることが求められる。

 サービスでは、市販の較正された温湿度センサーと「TOSHIBA SPINEX for Energy」を連携し、温湿度のデータを時系列として保存する。サービスの温度湿度センサーは、株式会社ティアンドデイの「おんどとり」を利用している。

 「気象データ利用機能」は、TOSHIBA SPINEX for Energyの各種サービスにおいて、気象庁などから配信される主要な気象データを簡単に利用できる機能を追加する。気象データの種類と緯度・経度を登録するだけで、必要なデータを一定の時間間隔で自動的に受信・復号し、時系列データベースに登録できる。

 東芝は、気象データを用いて今後、電力需要予測、太陽光発電量予測、ダム流入量予測、局所風況予測などの高度な予測を行い、顧客に提供していく。また、これらの予測結果に基づいて、蓄電池運用最適化、水力発電量最大化、センサーレスダイナミックラインレーティング、交通インフラ気象防災などの新たなサービスの提供を検討していく。

 東芝は、今後もTOSHIBA SPINEX for Energyの機能の拡充により、電力事業者や製造業におけるエネルギー関連設備の稼働率向上や業務効率化に貢献していくとしている。