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「最大75万円」か「0円」か、青色申告の特別控除が税制改正で変更――フリーが解説
2026年4月9日 12:43
フリー株式会社(以下、freee)は8日、2026年度の税制改正大綱について勉強会を開催した。今回の税制改正では、個人事業主の青色申告における特別控除の条件と控除額が一部変更され、条件を満たせば所得から控除できる額がこれまでの65万円から75万円まで拡大することになる。
説明にあたったfreee 金融渉外部長 / プロダクトマネージャー / スモールビジネス総合研究所所長の小泉美果氏は、今回の改正について「デジタル化に対応することで、青色申告の特典が最大限受けられるようになるものだ」と述べ、デジタル移行の重要性を強調した。
青色申告の記帳方法は、「現金主義(単式簿記)」「簡易な簿記(単式簿記)」「正規の簿記(複式簿記)」の3種類。2026年までは、単式簿記で10万円、複式簿記で最大65万円の特別控除が受けられる。
今回の改正により、2027年からは正規の簿記で記帳した上で、「優良な電子帳簿」を保存するか「デジタルシームレス」といわれるデータ連携の手法を採用することで、現行の控除額である最大65万円に10万円が上乗せされ、75万円の控除が可能になる。
一方、現在主流となっている「e-Taxによる電子申告」のみを行っている場合は、改正後も65万円の控除額が据え置かれる。つまり、最大控除を受けるためには、これまでの「申告のデジタル化」に加え、「記帳のデジタル化」まで踏み込むことが新たな条件となる。
紙での申告には厳しい減額措置も
今回の改正は、デジタル化を推進する一方で、アナログな手法を継続する事業者には厳しい内容となっている。
現在、複式簿記で記帳しながらも紙で申告している事業者は、55万円の控除を受けられているが、改正後はこれが10万円まで大幅に減額される。小泉氏は、「出口が紙の申告だと、今まで受けていた特典が大きく減ることになる。この点はまだあまり注目されていないが、非常に大きな改正ポイントだ」と警告した。
さらに、簡易な簿記による記帳方式の場合、これまで一律で10万円の控除が受けられていたが、改正後は前々年の収入金額が1000万円を超える場合、電子申告していても控除額が0円となる。これにより、一定規模以上の収入がある場合は複式簿記への移行が事実上不可避となる。
「優良な電子帳簿」と「デジタルシームレス」とは?
最大75万円の控除を受けるための要件として挙げられているのが、「優良な電子帳簿」と「デジタルシームレス」だ。
優良な電子帳簿とは、取引の訂正や削除履歴が確認でき、日付・取引先・金額などによる複雑な検索が可能な会計ソフトを使用すること。一方のデジタルシームレスとは、銀行APIとの連携やデジタルインボイス規格の「Peppol」などを通じ、他システムから取引データを電子データのまま取り込んで、取引の訂正や削除をした場合はその履歴が確認できるシステムのことだ。
小泉氏は、「スモールビジネスにとっては、取引先の協力が必要なPeppolよりも、自らの判断で導入できる銀行API連携の方が使いやすい」と述べている。
freee 会計申告グループ 会計プロダクト戦略部 部長の内門佑介氏は、同社の提供するサービスにおける税制改正の対応について解説。「『freee会計』は、全国の銀行とAPI接続することでデジタルシームレスに対応している。また、記録の際には複式簿記形式で処理し、複雑な検索も可能な優良電子帳簿に対応している。もちろん、申告書の提出はスマホだけでも完結できるなど、全プランにおいて75万円の控除に対応している」と述べた。
新制度の適用は2027年1月1日の取引分からとなる。小泉氏は、「準備期間は残り8カ月。2026年中にソフトウェアの導入や青色申告の承認申請を済ませることで、2028年の確定申告から最大限の75万円控除を受けることができる」と述べ、早めの準備を促した。






