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ピュア・ストレージ、業界を変革させる新ビジョン「エンタープライズ・データ・クラウド」などを発表
年次イベント「Pure//Accelerate 2025」の重要トピックスについて説明
2025年6月19日 06:15
ピュア・ストレージ・ジャパン株式会社(ピュア・ストレージ)は、米国で6月18日から20日まで開催される年次イベント「Pure//Accelerate 2025」に合わせ、同イベントで発表された「エンタープライズ・データ・クラウド(EDC)」「次世代ストレージ製品」「アズ・ア・サービス」の3つの重要トピックスについて記者説明会を開催した。
説明会ではまず、ピュア・ストレージ・ジャパン 代表執行役員社長の五十嵐光喜氏が、グローバルにおける最新のビジネス概況について紹介。「2026年度Q1(2025年2月~4月)は、収益が7.785億ドルで対前年成長率12%を達成した。サブスクリプションARRは17億ドルで同18%、ストレージ・アズ・ア・サービス(STaaS)のTCV売上高は9500万ドルで同70%と大きく成長した。顧客数は1万3500社を超え、Fortune500企業の約62%に導入されている。顧客満足度についてもNPS 81と業界最高位となっている」とした。
この状況を踏まえ、2026年度Q1のハイライトとして、「収益が対前年比2ケタ増となった要因には、当社の差別化要素であるデータストレージポートフォリオの受注が堅調だったことが挙げられる。特に、Pure//Eシリーズのソリューションが堅調に推移した。また、STaaSソリューションについては、Evergreen//Oneの大型案件と迅速な取引がけん引し、TCV売上高が対前年比70%増の9500万ドルを達成した。新製品としては、AI/HPC(高性能コンピューティング)向けのデータ・ストレージ・プラットフォーム『FlashBlade//EXA』を発表。さらに、Nutanix Cloud PlatformとPureのプラットフォームによる統合ソリューションを発表し、データセンター規模のワークロードに最適なスケーラブルでモダンな仮想化インフラを提供開始した」と述べた。
そして、米国で6月18日から開催されている年次イベント「Pure//Accelerate 2025」で新たに発表された「エンタープライズ・データ・クラウド」「次世代ストレージ製品」「アズ・ア・サービス」の3つの重要トピックスについて、ピュア・ストレージ・ジャパン アジア太平洋・日本地域担当 プリンシパル・テクノロジストの岩本知博氏がリモートで説明した。
1つ目の「エンタープライズ・データ・クラウド」は、同社が打ち出した、データ・ストレージおよびデータ管理プラットフォームの新たなビジョンとなる。岩本氏は、「AIの導入が進み、データ量と需要が急速に増大するなかで、従来型のストレージでは、データの断片化やサイロ化、制御不能な拡散などが発生し、企業のデータ戦略をサポートしきれなくなっている。そこで、『エンタープライズ・データ・クラウド』では、データとストレージによる仮想化クラウドで、シームレスな単一のデータ層を構築。企業内の全データを仮想化クラウドに集約することで、オンプレミス、パブリック・クラウド、ハイブリッドを含む複合環境での一貫したデータ制御を可能にする。これにより、従来のストレージ管理から顧客を解放し、データ活用に注力できるよう、業界を変革していく」との考えを示した。
「エンタープライズ・データ・クラウド」の実現に向けた具体的な施策としては、自律型プラットフォームの中核を担う「Pure Fusion」において、ワークロードの自動化機能に対応。新たにプリセットによるプロビジョニングおよび、フリート全体のファイル、ブロック、オブジェクトの一元的なリモート・プロビジョニングが可能となった。手動による事前のプランニングや事後の調整が不要になり、各ワークロードの要件に応じたプロビジョニングが実施される。
また、ITインフラ全体に展開できるワークフローのオーケストレーション機能「Workflow Orchestration」を新たに提供する。さまざまなサードパーティ・アプリケーションとの連携を可能にする数千のコネクタを基盤に構築されており、プリセットとアプリケーションの「レシピ(ワークフロー)」を、ストレージ、コンピュート、ネットワーク、データベース、アプリケーションの構成に対して容易に展開することができる。
エコシステム全体のサイバー・レジリエンス強化に向けて、サイバーセキュリティ・パートナーとの統合ソリューションを構築し、データ脅威対策とログ保持の両面に対応する。データ脅威対策については、Rubrik Security Cloudとの統合ソリューションでワールドクラスの脅威検知と対策を実現し、本番環境のデータを保護する。ログ保持については、CrowdStrike LogScalとの統合ソリューションを提供。高性能なデータ保持機能によってフォレンジックとコンプライアンスを支援する。
データ保護ソリューション「Pure Protect」では、これまでのAWSへのリカバリ、オンプレミスからクラウドへのリカバリ、セルフサービスでのディザスタ・リカバリ(DR)アセスメントに加えて、新たにVMwareからVMwareへのリカバリをサポートする。
この他に、「AIコパイロット」の一般提供も開始する。「AIコパイロット」は、常時稼働するパーソナライズされたアシスタントとして、フリート全体のセキュリティに関する情報を探索・集約し、会話形式で確認できる。セキュリティ情報、性能の問題、デジタル・コマース、運用のサステナビリティに関する情報、サポート・センターとしての支援など、多様なトピックに対応する。
2つ目のトピックス「次世代ストレージ製品」については、要件が非常に高度な性能重視のワークロード向けに設計された製品ファミリーを拡充。FlashArray//XLの次世代モデル「FlashArray//XL R5」、高性能を追求した新製品「FlashArray//ST」、FlashBlade//Sの最新バージョン「FlashBlade//S R2」を発表した。
「FlashArray//XL R5」は、要件の厳しい多様なワークロードの集約に最適な統合型プラットフォームとして、大規模な運用においても高い性能を維持する。最大物理容量は1.9PB、最大実効容量は7.4PBで、低レイテンシ、高トランザクションのワークロードをサポートする。RUあたりのIOPS(1秒あたりに処理可能なI/Oアクセスの回数)は前世代比で約2倍に高速化している。
「FlashArray//ST」は、インメモリ・データベース、大規模OLTP、ログ書き込み、スケールアウト/シャード化されたNoSQLデータベースなど、低レイテンシを必要とするワークロード向けに設計された新製品。データパスの最適化によって、5RUあたり1000万IOPSを超える性能を提供することができる。
「FlashBlade//S R2」は、次世代コントローラ・ブレードを搭載し、インサイトの加速、インフラの統合、要件の厳しいデータ・パイプラインからの成果創出の高速化を支援するべく、プラットフォームを強化。ゲノム解析、推論、EDA(電子設計自動化)シミュレーションなどの重要なワークロードを、競合を最大30%上回る高速性でサポートする。また、効果的なAI推論に欠かせない大規模データセットにも対応している。
この他、非構造化データの爆発的な増大に対応するため、FlashArrayシリーズにオブジェクトのサポートを追加した。これによって、ブロック、ファイル、オブジェクトを統合的にサポートする真の単一アーキテクチャを実現した。
3つ目のトピックス「アズ・ア・サービス」では、ストレージ・アズ・ア・サービス(STaaS)プラットフォーム「Evergreen//One」のアップデートについて発表。「『Evergreen//One』の新たなプランとして、ブロック/ファイル/オブジェクトを性能ベースの消費量で課金する『Adaptive Tier』を提供開始する。同プランでは、バックアップ用や階層型ストレージ、レイテンシ要件が厳しくないワークロード向けに価格・性能の最適なバランスを実現。容量と性能の要件を指定するだけで利用でき、ホット/コールド・データの管理負荷を大幅に軽減する」と説明した。
あわせて、医用画像処理に特化した新サービス「Evergreen//One for Medical Imaging」、および新たなアドオン「スナップショット・パッケージ」について紹介。「Evergreen//One for Medical Imaging」は、医療機関の財務・運用面の柔軟性を高めるとともに、エンタープライズ・イメージングを加速させ、患者ケアの迅速化を支援する。「スナップショット・パッケージ」は、顧客のデータ保護ポリシーに基づく、スナップショットの保持期間ベースの定額料金制。スナップショット活用で予期せぬ追加料金が発生する懸念をなくし、コストの透明性と請求の予測可能性を実現する。
さらに、「Evergreen//One」のUDRファイル/オブジェクトの最小リザーブ容量を750TiBに引き下げることも発表した。これにより、初期コストを抑え、過剰コミットなしで拡張性のあるアーカイブ・ストレージを導入することが可能となる。