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シュナイダーエレクトリック、和歌山県田辺市の新庁舎にサーバールーム向けトータルソリューションを導入

 シュナイダーエレクトリックは18日、和歌山県田辺市の新庁舎に、サーバールーム向けのトータルソリューションとして、集約型UPSや高効率空調などを導入したと発表した。

 和歌山県田辺市の旧庁舎は、海岸沿いの津波・洪水想定浸水区域に位置しており、老朽化も相まって庁舎の安全性が大きな課題となっていた。これらの問題を解決するため、田辺市は高台への庁舎移設および耐震化・免震化を目的に庁舎移転を決定し、2024年5月に新庁舎が開庁した。

 防災および災害対応の中核を担う新庁舎は、非常時に行政機能を止めることなく継続させるためには、サーバールームの強化も重要な課題だった。市民の命を守ることを第一に考え、非常時に庁舎が機能停止しないよう、発災時にいかにシステムを維持し、行政機能を継続できるかを念頭に、「完全停電時における行政機能の3日間維持」を全体目標として掲げ、大量の電力を消費するサーバールームの電力管理を行うことにした。

 旧庁舎ではサーバールーム全体を冷却する方式を採用していたが、平時と同様の電力が必要となるため、災害時の自家発電運用においては大きな負荷となっていた。そこで、高い排熱効率で平常時から消費電力の低減が期待でき、災害時には必要な機器のみを局所的に冷却できる、シュナイダーエレクトリックの「HACS」をはじめとしたトータルソリューションを導入した。

 今回、シュナイダーが導入した「HACS」は、ITラックを囲い込んで暖気の排熱を閉じ込めることで、熱を再循環させずに効率的に冷却を行うシステム。この方式を支えているのが、局所冷却が可能なラック型空調機「InRow」と運用効率を向上させるラック「NetShelter」で、これらの製品を組み合わせることで、冷却効率の最大化を実現する。

 さらに、三相UPS「Symmetra PX」を2台導入し、通常電源から電力が供給される瞬電対策用と、停電時に自家発電機からの電力で運用する庁舎機能保全用の2つに役割を分けて運用を開始した。また、旧庁舎では多数の個別UPSを利用していたが、UPSを統合したことで一元管理も可能となった。大型UPSへの集約によって、その煩雑さから解放され、各フロアに配置された端末への電力供給も集中管理ができるようになり、効率化を実現した。

田辺市役所に導入されたInRow空調機