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日本ヒューレット・パッカード、コンポーザブル・インフラストラクチャを実現するプラットフォーム「HPE Synergy」

 日本ヒューレット・パッカード株式会社は27日、同社が推進する「コンポーザブル・インフラストラクチャ」を実現するプラットフォーム製品群「HPE Synergy」を発表した。

HPE Synergy

 コンポーザブル・インフラストラクチャとは、物理と仮想が混在した環境や、オンプレミスとクラウドのハイブリッド環境など、あらゆる環境下でのITリソースを統合してリソースプールととらえ、ワークロードに応じてリソースを自由に切り出して組み立てることが可能なインフラのこと。

 コンポーザブル・インフラストラクチャの実現に向けた取り組みを同社では「Project Synergy」としており、その第1弾として2015年6月(日本では9月)に、ソフトウェアの自動化を実現する製品群などを発表している。今回発表したHPE Synergyは、その第2弾となる製品群だ。

コンポーザブル・インフラストラクチャとは

 日本ヒューレット・パッカード 執行役員 サーバー事業統括本部 事業統括本部長の大月剛氏は、「今はスタートアップがアイデアで勝負できるアイデアエコノミーの時代で、新しいスタイルのビジネスが作り出されている。これにはスピードが必要で、大企業もこういったスタイルに取り組むべきだ」と現在のビジネス環境を説明。ただし、現時点では既存のIT環境の整合性や柔軟性に課題があり、こうした課題を解決するにはさまざまな変革が必要だとして、「今回発表するHPE Synergyで、まずハイブリッドインフラへの変革が実現する」と述べている。

日本ヒューレット・パッカード 執行役員 サーバー事業統括本部 事業統括本部長の大月剛氏

 HPE Synergyは、コンピュートモジュール、ストレージ、ネットワークファブリックを統合したもの。可変的なリソースプールと、ソフトウェアによる管理環境(Software Defined Intelligence)、そしてインフラ全体をプログラム制御可能にするユニファイドAPIを活用することで、リソースを自由に組み合わせることができ、ワークロードごとに最適化されたシステムをリソースプール上に構築できる。

 米Hewlett-Packard Enterprise(HPE) HPEシナジー&HPEブレードシステム コンバージドデータセンターインフラストラクチャ バイスプレジデント 兼 ゼネラルマネージャーのNeil MacDonald(ニール・マクドナルド)氏は、「HPE Synergyは、Infrastructure as Code(インフラストラクチャのアプリケーションコード化)を実現する。これにより、過剰投資を抑え経費が削減できるほか、クラウド並みのスピードでリソースが展開できる。また、シームレスなアップデートで運用を簡素化でき、より多くのアプリをより早く開発できるようになる」としている。

米HPEのHPEシナジー&HPEブレードシステム コンバージドデータセンターインフラストラクチャ バイスプレジデント 兼 ゼネラルマネージャー、Neil MacDonald(ニール・マクドナルド)氏

 HPE Synergyとして発表された具体的な製品には、「HPE Synergy 480 Gen9コンピュートモジュール」「HPE Synergy D3940ストレージモジュール」「HPE FlexFabric 40Gb F8 スイッチモジュール」といったモジュール群のほか、モジュールのリソース管理用フレーム「HPE Synergy 12000フレーム」、インフラ管理製品の「HPE Synergyコンポーザー」、アプリケーションの変更やリソースの提供を実現する「HPE Synergyイメージストリーマー」などがある。それぞれの製品の価格は未定で、販売開始は第2四半期以降となる。

HPE Synergyの詳細

 日本ヒューレット・パッカード サーバー製品統括本部 サーバー製品本部 本部長の中井大士氏によると、各モジュール製品やフレームにより、「コンポーネントごとに自由に接続・増設が可能なリソースプールが構築され、テンプレートを変更するだけでスペックも柔軟に変更できる」という。

 また、コンポーザーやイメージストリーマーといったSoftware Defined Intelligenceを持つ管理製品により、「ハードウェアを意識することなく、アプリケーションの特性に合わせてリソースの構築や撤収、再構成が可能だ」としている。将来的には、ユニファイドAPIにより、各管理ツールと統合してデータセンター全体のインフラ機能を拡張できるようになるという。

日本ヒューレット・パッカード サーバー製品統括本部 サーバー製品本部 本部長の中井大士氏

 Project Synergyの責任者でもあるMacDonald氏は、今後のコンポーザブル・インフラストラクチャの実現に向けた動きとして、「第3弾は、継続的にサービスデリバリができるよう、自動化や運用管理、分析の完全な統合と、アプリ、ソフトウェア、インフラをすべてカバーする単一アーキテクチャを実現する。そして最終的には、次世代コンピュータアーキテクチャのHPE Machineテクノロジを採用し、究極のスケールアップやスケールアウトを実現する」と述べた。

HPE Synergyを披露する大月氏(左)とMacDonald氏(右)

藤本 京子