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LinuxCon + CloudOpen 2015レポート、最新のOSS動向などを解説

Docker+LinuxがOSの未来?

Facebookのオープンソース利用術

Chris Mason氏(Facebook)

 3日目最後のキーノートセッションでは、Facebook社のChris Mason氏が、FacebookでのLinuxとオープンソースへの取り組みについて語った。なおChris Mason氏は著名Linuxカーネル開発者で、Btrfsの開発者として知られる。

 Mason氏はまず「Facebookといえばスケール」として、データセンターなどのインフラと、9億数千万人にのぼるユーザー数を挙げ、「9000人のスタッフでこの規模をどうやってさばいているか。その答えはオープンソースだ」と述べた。

 実際のオープンソースソフトウェア利用形態について、まずLinuxカーネルについて紹介。Mason氏が入社したころには、一貫したアップデートができずいろいろなバージョンが混在していたことや、独自パッチを多数適用していたためバージョンアップが難しいことなどの問題があったという。

 現在では、パッチをできるだけ本家に送ってマージしてもらうことで、パッチやバージョンの管理の労力を削減したという。「Facebookはコンピュータサイエンスのあらゆる問題をもっており、ジェネリックなユースケースとなっている」とMason氏。いまLinuxカーネル4.0を社内に展開中とのことで、独自パッチはたった6つになっているという。

 Linuxカーネル以外にも、Facebookはさまざまなオープンソースソフトウェアを開発し、GitHubで公開している。ただし、活動状況を調べてみると、リリースから日数がたつと活発にメンテナンスされていないというような、健全ではない状況がわかったという。そこでFacebookでは、GitHubからプルリクエスト数やコントリビューター数などのデータを取得して、メトリクスを追跡するようにした。これによって、プロジェクトの健全性を定期的にチェックできるようになり、改善されたとMason氏は報告した。

 そのほか、データセンターやその中の機器の設計をオープンソースにする「Open Compute Project」に多くの大手企業が参加していることや、独自のPHP実行エンジン「HHVM」を自社だけでなくBox社なども採用して性能を向上させていることなどをMason氏は紹介した。

Facebook社内の以前のLinuxカーネル。バージョンが混在し、独自パッチによりアップデートが困難
Linuxカーネルのパッチを本家にマージしてもらうことで労力を削減
FacebookがGitHubで公開しているさまざまなオープンソースソフトウェア
オープンソースプロジェクトのメトリクスを追跡

ブレークアウトセッションも多数開催

 これらのキーノートセッションを各日のスタートとして、ブレークアウトセッションも多数開催された。

Lennart Poettering氏(Red Hat)の「systemd and Containers」。systemdによってコンテナーを動かす「systemd-nspawn」を中心に、関連する、マシン管理からネットワークまでのさまざまなsystemdのコンポーネントを解説
Hironori Shiina氏(富士通)の「Development for Fully-Automated Bare Metal Provisioning in OpenStack」。OpenStackのベアメタルプロビジョニング「Ironic」で、マルチテナントをVLANで分離しつつ、デプロイ時には専用のVLANに参加させてOSイメージを共通のIronicから取得する手法を発表
Masafumi Ohta(太田昌文)氏(日本Raspberry Piユーザーグループ)の「Getting Started with New Raspberry Pi」。新機種のRaspberry Pi 2/A+の紹介や、Raspberry Pi Foundationの体制や活動の紹介、Broadcom社の問題、Raspberry Pi BのOSイメージを1から2へ移行するときの問題、カメラのフラッシュで動作停止する問題の実演などがなされた

高橋 正和