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パナソニックから見たIoTの相互接続とプロトコル

Bryant Eastham氏(OpenDOFプロジェクト、Panasonic R&D)

 3日目の2つめのキーノートセッションでは、OpenDOFプロジェクトのリーダーを務めるPanasonic R&DのBryant Eastham氏が登壇。IoTのための相互接続について語った。OpenDOF(Open Distributed Object Framework)は、パナソニックが設立したIoTの接続規格のプロジェクトだ。

 Eastham氏は、機器のネットワークの歴史を1968年の手動の電話交換手までさかのぼり、そこからパケット交換によるインターネットへ発展してきたと説明。ただし、1990年代のルーターの写真を示し、RJ45のイーサネットとトークンリング、AUIのポートがそれぞれ付いていたことを指摘して、「インターネットは常にinter networkingをやってきた。同じことがIoTにもあてはまり、インターネットワーキングが課題になっていく」と説いた。

 ここで氏は、1990年に作られた最初の「インターネットトースター」の写真を見せた。そして、「当時はオンとオフだけだったが、いまならどのような機能を付けるか」として、焦げ具合の調整や、ベーグルを焼くモード、モニタリングなどを挙げ、それらの機能を呼び出すためのAPIを議論することになると語った。そして、そのためにプロトコルの信頼できる定義が必要だとして、XMLによる構造化ドキュメントの有用性を主張した。

 このように、インターフェイスを実現するには、インターフェイスの定義を共有する必要がある。Eastham氏は、残念ながら万能の定義はないとしつつ、定義はオープンでなければ使われないと主張。OpenDOFとAllJoynそれぞれのオン・オフの定義を並べて見せ、両者をゲートウェイで変換できると語った。

 また、セキュリティも問題になるとして、分散システムで同時にユーザーを検証できる機能をOpenDOFで実現していると説明した。

 さて、接続に成功して何千もの機器がつながると、相互接続テストが問題となる。すべての機器を購入してテストするのは現実的ではない。そこでパナソニックのテストジェネレーター「Panasonic Distributed Testing Framework」が紹介された。サーバーとクライアントを抽出してマスターデータベースに登録し、サーバーとクライアントのすべての組み合わせのテストを生成し、分散環境でテストできるという。

 Easthamは最後に、こうしたプロトコルやフレームワークを整備することで「本当のIoTアプリケーションを作ることに傾倒していこう。力を合わせれば実現できる」と呼びかけた。

インターネットトースターを今作ると多くの機能が付き、複雑なAPIが必要になる
インターフェイスの定義を共有する
OpenDOFとAllJoynでのインターフェイス定義の比較
パナソニックのテストジェネレーター「Panasonic Distributed Testing Framework」

(高橋 正和)