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Salesforce、従業員サポートの効率を向上する人事部門向け「Agentforce for HR Service」を発表
2025年5月13日 10:00
米Salesforceは現地時間6日、AIを活用して従業員サポートの効率を向上する新機能「Agentforce for HR Service」を発表した。
Agentforce for HR Serviceは、人事チーム向けの「Employee Portal」と管理画面を備えた人事サービスソリューション「HR Service」に、直接組み込まれる新たなAI機能群。AIと自然言語処理を活用して、従業員からの質問の意図を正確に把握する。
SalesforceのData Cloudが、従業員プロフィールなどの構造化データと、社内ポリシーやナレッジ記事、PDFなどの非構造化データを統合し、Agentforceの応答の精度を支える基盤を構築する。その上で、Agentforceの中核を担うAtlas Reasoning Engineが統合された情報を分析し、最適なアクションを実行する。これにより、従業員の課題を迅速に解決する。
AIエージェントが対応可能な業務カテゴリを網羅したトピック群と、各業務を実行するための具体的な手順やツールであるアクション群があらかじめ用意されており、カスタマイズも可能。従業員が自ら疑問を解決し、手続きを完了できるだけでなく、人事部の業務効率を高め、より多くの従業員への対応や複雑な課題への集中を可能にする。
Agentforce for HR Serviceを使うことで、従業員は普段使い慣れたSlackやEmployee Portal上で、人事に関するよくある手続きを会話ベースで簡単に行える。これにより、チケット申請や規定文書の検索、複数システムの操作といった煩雑さから解放される。AIエージェントは、企業のデータ、ナレッジ記事、ポリシーに基づいて動作し、主要な人事情報システム(HRIS)や人材管理システム(HCM)と連携しており、各種業務に対応する。
回答の提供にあたっては、従業員データと企業ポリシーをもとに、個別の状況に応じた回答を提示する。例えば、「ゴールドの法人カードは申請できますか?」といった問いにも、その従業員の職務や勤務地、ナレッジベースに登録された法人カードのポリシーと照らし合わせて、適切に従業員の資格を判断する。
人事プログラムの進捗管理業務に向けては、上司から割り当てられた従業員向けプログラムの進捗を、従業員自身が容易に確認できるようにする。これらのプログラムは各従業員のキャリアの進行状況に併せて設計されており、研修動画や書類提出など、オンボーディングや育児休暇などの節目に応じたプログラムの進捗を可視化し、未完了のタスクを強調表示して期限の遅れを防ぐ。
HRケース管理業務では、休職申請や給与の不備などに関する問い合わせや申請内容の管理を容易にする。従業員が「最近の申請状況は?」と聞けば、文脈がなくても該当ケースを特定し、会話形式で進捗を返答する。
このほか、プロフィール情報の更新や、休暇申請、給与振込口座の更新、経費精算の提出と追跡といった業務についても、エージェントによる自然言語での対応を可能にする。複雑または個人的な内容に対しては、HR Service Consoleを通じて人事担当者へスムーズに引き継げる。例えば、「身内の不幸」などセンシティブな表現を検知した場合には、人事部へエスカレーションを行うことで、担当者がより深い共感と配慮をもって対応できるようにする。
Agentforceは、人事担当者向けのHR Service Consoleに統合されており、従業員対応を行う人事チームの業務も効率化する。
人事担当者向けには、会話の文脈とナレッジベースに基づき、推奨返信や要約を自動生成する。例えば、従業員が社内規定に準拠していない教育費の申請を行った場合でも、Agentforceがポリシーの要点をまとめ、従業員への返信案を作成し、条件を満たした段階でマネージャーへの承認依頼を自動送信する。
従業員データの一元化に向けては、あらかじめ構築されたMuleSoft連携により、HRシステムから従業員データを取り込み、HR Service Console上で閲覧・更新が可能になる。これにより、Agentforceと人事担当者の双方が、迅速かつパーソナライズされた対応に必要な情報を常に把握できるようになる。