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交通インフラの点検結果など公開、佐賀県や福岡市がオープンデータ実証

 富士通株式会社は、総務省が2013年度に実施する「情報流通連携基盤の社会資本情報における実証」を受託し、12月9日より民間事業者や住民向けサービスの提供を始める。本実証は、道路・橋梁・トンネルなどの社会資本に関する公共データをコンピュータで処理できる形で開放(オープンデータ化)し、新たな価値を加えて民間に提供することで得られる効果と実用性を検証する。社会資本関係の情報を取り扱ったオープンデータの取り組みは全国初となる。

 富士通は今回、地方自治体が保有する社会資本の諸元や点検結果、入札情報、電子納品などの情報と、一般財団法人日本建設情報総合センターが保有する工事実績情報、およびソーシャルメディアや地方自治体に寄せられた要望・苦情などを集約し、オープンデータ化する基盤システムを構築した。

システム概要

 実証期間は2013年7月~2014年3月。対象となるデータは以下の通り。

・佐賀県と福岡市の社会資本情報 約22,000件
・一般財団法人日本建設情報総合センターが保有する全国の工事実績情報 約300,000件
・佐賀県民からの社会資本に関する苦情・問い合わせ 約1,000件
・福岡市民の協力を得て収集する福岡市通学路点検結果情報 約500件
・ソーシャルメディア(Twitter)での発言の対象母数 数百万件

 さらに同システム上で集約された情報を分析し、佐賀県との協働の下で民間向けの公共事業に関するマーケティング情報や社会資本の図面情報を、また福岡市との協働の下で通学路総点検結果などを公開するための3種のサービスを提供するシステムも構築した。

 3種のサービスは、土木・建設業者が画面に表示された地図上の社会資本をクリックすると、その社会資本の建設年次・工法・工事履歴・図面情報などを参照できる「公共事業に関するマーケティング情報提供サービス」、運送業者・地図業者が地図上の道路をクリックすると、特殊車両の運行ルート選択などに必要となる道路の図面情報を参照できる「社会資本の図面(諸元)情報提供サービス」、福岡市民が地図上の通学路をクリックすると危険個所などのクチコミ情報や、歩道・ガードレール・照明灯などの安全施設設置状況などを参照できる「通学路総点検結果公開サービス」で、2013年12月9日~2014年3月まで本実証事業のポータルサイトから利用できる。

 これらの効果と実用性を検証する狙い。富士通は、自治体ソリューション「SuperCALS 社会資本総合管理システム」に、今回開発したオープンデータ化のための情報流通連携基盤を追加して提供。今後3年間で10県への導入を目指す。

川島 弘之