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マイクロソフト、SQL Serverなどを軸としたビッグデータ戦略を説明
(2013/3/22 06:00)
日本マイクロソフト株式会社は、ビッグデータに対する取り組みを紹介し、日本での事例や利用実態、今後の製品ロードマップを報道陣に公開した。
最初に日本でのビッグデータの活用実態として次の3つのパターンが多いと紹介した。
(1)売り上げ拡大、競争力の強化を目的として、大手流通/小売りの買い回り傾向の分析、電子マネーの利用状況の分析、商店街/ショッピングモールの買い回り傾向の分析などで利用。代表的な事例として、株式会社サークルKサンクス。
(2)センサーデータの活用による効率化を目的として、通信会社の通信設備予防保守、製造設備の稼働率向上/予防保守、官公庁・自治体の設備管理、テレマティックスの高度利用によるリコメンデーションの強化。代表的な事例として、オムロン株式会社、ソフトバンクモバイル株式会社。
(3)社内外のデータ統合による情報精度向上の実現を目的として、消費者動向のリアルタイム把握、マッチングによる情報価値の向上、顧客情報など自社保有情報の精度向上。
さらにビッグデータを有効活用するために、「紹介した事例からもわかるように、概念的だったビッグデータが、かなり実用に近いものになっている。その一方で、データ分析ができる専門家をどう雇用するのかという問題がある。データを本業に生かしていくためには専門家だけでなく、現場担当者がデータを活用し、全社員がデータサイエンティストとして活躍できるような環境を提供することで、判断したい時に判断し、活用したい時に活用するビッグデータとなるのではないか」(日本マイクロソフト株式会社 エンタープライズソリューション営業本部・藤井一弘本部長)と現場担当者がデータサイエンティストとして活動することを提案した。
それを実現するために、(1)現場社員によるビジネスシーンでの実活用、(2)誰もがデータを活用できる環境の整備、(3)大量データを高速処理する基盤の整備という3つのステップが必要であるとした。
ビッグデータの利用実態として、調査会社のITRが昨年12月に行った調査で、データ活用ツールの利用用途が定型レポーティング/帳票作成が依然として多く、データマイニングまで実現できている企業は3割程度。データ活用ツールに対する課題として利用者のスキル不足とデータ処理時間の向上が課題としてあげられている。利用しているデータの鮮度も日時よりも鮮度が高いデータを利用している企業は2割程度にとどまっていることなどが紹介された。
こうした問題点を解決するツールとしてマイクロソフトが提供するのは、2008年から提供している「Fast Track Data Warehouse」、昨年12月に提供を始めた「SQL Server SSD Appliance」、2013年5月に提供開始予定の「SQL Server2012 Parallel Data Warehouse」の3製品。
SQL Server SSD Applianceは、「いわゆるDWHアプライアンスだが、競合製品4倍以上の性能を持ちながら、価格は4分の1を実現した製品。フロントエンドのデータまで1台で利用できるオールインワンアプライアンスでありつつ、ハードウェアを選べるので、特定ベンダーにロックオンされずに使える。昨年12月の発表時点で6社の製品が選択可能だったが、この3か月でさらに3製品、合計9モデルからの選択可能となった。
導入事例としては、株式会社エイチ・アイ・エスが消費者ニーズ多様化に対応するために導入し、旅行予約Webサイトを刷新した。それも10月の採用決定で12月中旬には稼働し、商戦期である正月商戦に間に合わせる、短期稼働を実現した」(日本マイクロソフト Serverプラットフォームビジネス本部アプリケーションプラットフォーム製品部・斎藤泰行部長)とアプライアンスの強みを生かした製品となっている。
5月に提供開始予定のSQL Server 2012 Parallel Data Warehouse(PDW)は、「最大の特徴は、構造化、非構造化の両方のデータ格納に対応。Hadoop上の非構造データを有効活用することで、データの価値をさらに高める分析を可能とする。スケールアウト構成で、15テラバイトから1.2ペタバイトまで対応し、価格的にも競合製品と比べて思い切った低価格で提供できるようになる。当初はデル、HPの2社から製品が提供され、さらに国産システムインテグレーター4社が提供の意向を示している」(斎藤本部長)。
続けてSQL上に格納された構造データと、Hadoop上に格納されたTwitterの非構造データを照らし合わせて、8月から売れ行きを伸ばした製品が8月の何日、何時ごろから売り上げを伸ばすことになったのか、Twitterのデータと付き合わせて解明するデモが行われた。
さらに、このほかにもビッグデータ関連製品のロードマップとして、2013年第3四半期に「HDInsight Service(aka Hadoop on Windows Azure)」を提供開始予定で3月19日からプレビューを開始。さらに、2013年第4四半期にはWindows Serverベースの「HDInsight Server」の提供も予定し、SQL Serverの次期バージョンでもビッグデータ関連機能を強化していく方針だ。
日本マイクロソフトの業務執行役員 Serverプラットフォームビジネス本部・梅田成二本部長は、「当社がコミットできるのは、お客さまにとって使いやすいツールを提供できるという点。ビッグデータの分析が使い慣れたSQL Server、Excelなどを使って分析できることで、現場担当者全員がデータ分析を行えるようになる」とアピールした。