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日立システムズ、コンテナ型データセンターのラインアップをリニューアル

生成AI利用向けの「高負荷サーバーモデル」など3種の標準モデルを提供

コンテナ型データセンターのイメージ

 株式会社日立システムズは8日、生成AI活用のニーズに対応するため、コンテナ型データセンターのラインアップをリニューアルし、用途別に3種の標準モデルを販売開始すると発表した。

 コンテナ型データセンターは、コンテナの中にサーバーラックや冷却設備、電源設備など、データセンターに必要な設備をワンパッケージで提供し、一般的なデータセンターを構築する場合と比べて短期間に低コストで構築でき、増設や移設も容易に行える。

 日立グループは長年、モジュール型データセンターの分野にも取り組んでおり、日立システムズが小規模で可搬性のあるコンテナ型データセンター、日立製作所が大規模で柔軟性のあるコンテナ型データセンターを提供することで、日立グループとして、幅広いニーズに対応し、これまでに国内、海外で多くの導入実績を積み重ねてきた。

 昨今、データセンターの需要が拡大しているが、日本国内では建設業界や運送業界での人手不足問題が深刻化し、一般的なデータセンターを建設する場合も、通常より期間が長くなる傾向にあることから、コンテナ型データセンターに注目が集まっていると説明。日立システムズは、ITサービス企業としてのIT機器に関する知見と、サーバー室、オフィスなどの建築関連設備の工事対応をしてきた実績があり、提供するコンテナ型データセンターはIT機器が持つ性能・スペックをより発揮できる環境づくりを、設計から工事までトータルで対応し、GPUサーバーなどより多くの熱を発する機器に対しても、効率的な冷却環境を作ることができ、機器の安定稼働につなげられるとしている。

 日立システムズは、市場のニーズに合わせてラインアップをリニューアルし、日立グループ各社のサービスを組み合わせた、生成AI利用向けの「高負荷サーバーモデル」、専用環境向けの「サーバールームモデル」、キャリア基地局向けの「エッジコンピューティングモデル」の3種の標準モデルを提供する。

 これらにより、顧客は、ニーズや用途に合わせたデータセンター環境を、短納期かつ安価に導入でき、生成AIの活用など事業拡大に向けた取り組みを迅速に推進できる。また、自社敷地内の狭いスペースでも設置が可能であることから、病院や研究所など秘匿性が高いデータを、専用環境で管理したいというニーズへの対応も注目されているとしている。

 高負荷サーバーモデルは、生成AI利用などによる高負荷サーバーの稼働向けで、水冷によるダイレクトチップクーリングの冷却設備を提供する。仕様は、コンテナサイズが40ft 2連棟、ラック数が20ラック、IT負荷が800kW。価格は10億円程度。

 サーバールームモデルは、研究機関、病院、プラントなど自社敷地内に設置するサーバールーム向けで、ネットワーク接続やセキュリティの個別要件も含め提供する。仕様は、
コンテナサイズが36ft 2連棟、ラック数が8ラック、IT負荷が100kW。価格は2億5000万円程度。

 エッジコンピューティングモデルは、キャリア基地局など通信網の拠点向けで、通信機器向け直流電源装置を提供する。仕様は、コンテナサイズが20ft、ラック数が4ラック、IT負荷が25kW。価格は1億円程度。

 各モデルとも、データセンター内の点検を無人で行えるよう、自律走行と遠隔操作のハイブリッド型業務DXロボット「ugo(ユーゴ―)」を標準搭載する。顧客は事務所にいながらugoを操作し、コンテナ型データセンター内の稼働状況の確認やシステム障害のチェックができる。これにより、無人でのデータセンター運用が可能となるため、人手不足の解決に寄与する。

 日立システムズは、3種の標準モデルを中心に、コンテナ型データセンターの拡販を推進し、2027年度までに累計100億円の売り上げを目指す。今後、顧客の業務をシームレスにサポートするマネージドサービス群「Hitachi Systems Managed Services」と連携し、コンテナ型データセンターのセキュリティ監視・運用をトータルで支援する。

 また、全国約300の拠点にいる保守員による迅速な保守対応など、コンテナ型データセンターを導入した後のサポートも合わせて提供していく。さらに、日立製作所とも連携し、データセンター事業を継続的に強化しながら、One Hitachiでグリーンデータセンター実現に向けて取り組みを加速することで、顧客のDX加速やサステナブルな社会の発展に貢献していくとしている。