SAPジャパン、データベース事業への本格参入を宣言

HANAへSybase技術の実装を進める


 SAPジャパン株式会社は9日、データベース事業戦略について記者説明会を開催した。

SAPジャパン 代表取締役社長の安斎富太郎氏サイベース 代表取締役社長の早川典之氏

SAP and Sybaseであらゆるデータをカバーするデータベースプラットフォームへ

 SAPジャパンは「Applications」「Analytics」「Mobile」「Database and Technology」「Cloud」の5事業においてリーダーとなることを目標としている。その達成のためにデータベース事業の取り組みを強化。「SAPとしてデータベース事業に本格参入する」と宣言した。インメモリプラットフォーム「SAP HANA」をローンチした時の「データベース事業に参入するわけではない」とした前言を撤回する形だ。

 SAPには現在、買収したSybaseの製品を含めて、多数のデータベースがラインアップされている。トランザクション用途の「SAP Sybase ASE」、分析用途でカラムベースの「SAP Sybase IQ」、組み込み用途の「SAP Sybase SQL Anywhere」、リアルタイムデータ分析用途の「SAP Sybase ESP」だ。すでに製品名の頭にはSAPの名を冠すなどの統合はされているが、今後はSAP HANAにこれら製品技術を実装し、将来的には完全に統一されたプラットフォームの実現を目指すという。

リアルタイムコンピューティング事業本部長の馬場渉氏

 「データベースは大きくイノベーションすることがなかった。一昔前まではその必要性がそもそも存在しなかったといえる。しかし、仮想化、クラウド、ビッグデータ、ビジネスのスピードが加速するこれからは、データベースやHDDが明らかなボトルネックとなってしまう」(リアルタイムコンピューティング事業本部長の馬場渉氏)。

 その課題への提案が、HANAとSybase技術との統合だ。具体的な活動としては、4月1日付けでSAPジャパンの営業部門とサイベース・アイエニウェアの営業部門を一本化し、新しく「データベース・テクノロジー営業統括本部」を設立。両社のシナジーを強めていく。

 また、より具体的には、「SAP NetWeaver Business Warehouse powerd by SAP HANA」コンポーネントの一般提供、「SAP Sybase ASE」の一般提供開始が発表された。加えて、導入支援策として、新興企業向けの1億5500万ドルのベンチャーファンドと、3億3700万ドルのデータベース採用プログラムも発表。リアルタイムアプリケーションの開発を重視する企業家や投資家のエコシステムを育成するためや、レガしデータベースから移行する顧客向けにコンサルティングサービスに活用するとした。

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