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AIによりデータセンター向けイーサネットスイッチ市場も拡大、IDC Japan調査

 IDC Japan株式会社は14日、AIデータセンターネットワークとセグメンテーションに関する調査結果を発表した。

 IDC Japanでは、AIのプラットフォームやアプリケーションを実行する基盤として、GPUサーバーやストレージを接続するネットワークを、AIデータセンターネットワークと定義。AIデータセンターネットワークの中でも、AIの学習に最適化したバックエンドネットワークは、従来のデータセンターネットワークとは要件が大きく異なり、InfiniBandが中心的な役割を担っているとしている。

 一方で、イーサネットを活用したバックエンドネットワークの構築も、現実的な選択肢の一つになってきていると説明。「習熟度の高い技術」「成熟した運用管理の仕組み」「高い拡張性」「明確な広帯域化のロードマップ」「参入ベンダーの多さ」といったイーサネットのメリットに加えて、今後は「マルチテナンシー機能」がバックエンドネットワークにおけるイーサネットの採用を促すと分析している。

 今後、採用が拡大し、成長が期待される、国内AIデータセンター向けイーサネットスイッチ市場に関して、IDC Japanでは初めて市場規模を算出した。これによると、同市場の2024年~2029年の年間平均成長率は42.0%と、予測期間にわたって高い成長を続け、2029年の市場規模は489億円に達すると予測している。ただし、AIが極めて変化の速い市場であり、不透明な要素も非常に多く、この予測を下回るシナリオも十分に想定できるとしている。

 さらに、ワークロードのセキュリティの基本として見直されている、セグメンテーションについても分析している。マイクロセグメンテーションとしても知られるセグメンテーションは、セキュリティや業務の要件に応じて、アドレスやユーザーの役割やアプリケーションやデータへのアクセス権限をベースに、ネットワークをセグメントに分割する手法だが、必ずしも目新しいソリューションや技術ではない。

 しかし、IDC Japanでは「ラテラルムーブメントの防止策としてのセグメンテーションへの期待」「事後対策だけでなく事前対策もアップデートする必要性の高まり」「セグメンテーションの認知の高まり」といった理由から、再びセグメンテーションに関心が集まっていると説明。また、セグメンテーションソリューションの進化とセグメンテーションベンダーの国内市場への注力も、国内市場の活性化につながっていると分析している。

 IDC Japan Infrastructure & Devicesのシニアリサーチディレクターである草野賢一氏は、「セグメンテーションのバリュープロポジション(価値提案)を再定義し、幅広い顧客層に訴求すべきである。セグメンテーションソリューションが提供する可視化や柔軟性や自律性を持ったセグメンテーション機能を、脅威の侵入を防ぎ健康な状態を保つサイバーハイジーンの観点で有効なソリューションと位置づけるべきである」と述べている。

国内AIデータセンター向けイーサネットスイッチ市場 支出額予測、2023年~2029年(出典:IDC Japan)