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国内データセンターのAI向け電力容量、2028年には2024年の約3.2倍に~IDC Japan調査

 IDC Japan株式会社は27日、国内データセンターに設置されるAIサーバーに必要な電力容量の推定結果を発表した。国内データセンター内のAIサーバーが必要とする電力容量は、2024年末時点で合計67メガワット、2028年末では212メガワットと、4年間で約3.2倍に増大する見込みで、これは首都圏や関西に建設されているハイパースケールデータセンターの約5~8棟分に相当するとしている。なお、この電力容量は、サーバーが必要とする電力を指しており、ネットワーク機器や冷却システムなどが必要とする電力は含まない。

 IDC Japanでは、2024年1月にも同様の電力容量推定を行ったが、今回の推定結果は前回の推定値(2027年に約80~90メガワット)を大幅に上方修正する結果となったと説明。これは、国内市場向けのAIサーバー出荷金額予測が、大幅に引き上げられたためだとしている。

 またその背景には、ハイパースケーラーによるAIサーバーの設置が急拡大していることに加えて、政府の補助金プログラムによるAIサーバー調達が国内のサービスプロバイダー、研究機関などで加速したという事実があると指摘。特に、ハイパースケーラーによるAIインフラ投資の規模は大きく、今回推定した電力容量の大部分は、ハイパースケールデータセンターが占めているという。

 AIサーバーは1台あたりの消費電力とともに、発熱量も大きいことが知られている。このため、AIサーバーを大量に設置するデータセンターでは、従来の空調方式による冷却システムではなく、液冷方式の設備が必要になっている。

 今回の推定結果によると、2028年末時点の212メガワットの容量すべてを、液冷方式で冷却すべきであるという見解が得られたと説明。IDC Japan Software & Services リサーチマネージャーの伊藤未明氏は、「液冷方式の導入にはまだ検討すべき点が多い。データセンター事業者やインフラベンダーが協力して、技術的な課題を解決していく必要がある」と分析している。

AIサーバー向け国内データセンター電力キャパシティ推定結果(出典:IDC Japan)