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Oktaの業務アプリ利用動向調査、日本市場ではBoxとNetskopeが独自路線を展開
2025年3月14日 13:00
Okta Japan株式会社は13日、業務アプリの利用動向を分析する年次調査「Businesses at Work 2025」について説明会を開催した。
同調査は、業務アプリをOktaと連携する「Okta Integration Network」からの匿名化データを分析し、Oktaユーザーがどのアプリをどのように利用しているか調べたもので、2015年より実施している。今回の調査は、2023年11月1日から2024年10月31日までのデータに基づいたものだ。
米Okta, Inc. コンテンツリード ローリー・イソラ氏は、まずこの10年の調査結果を振り返り、「Microsoft 365、Google Workspace、AWS、Salesforceは、2016年以降一貫して最も利用されているアプリの上位にランクインしている。コラボレーションアプリは人気のアプリが年々変化し、2015年に人気だったビデオ会議アプリのGoToMeetingが、現在ではZoomに取って代わられている。2020年以降はセキュリティアプリが人気で、上位アプリの20%がセキュリティ関連となった。開発者向けアプリも2016年以降増加傾向にあり、AtlassianやGitHubがランク上昇中だ」と述べた。
今回の調査で最も利用されているアプリとなったのは、昨年同様1位がMicrosoft 365、2位がGoogle Workspace、3位がAmazon Web Services(AWS)だった。その他のアプリも大きな変動はなかったが、イソラ氏はPalo Alto Networksが新たに14位にランクインしたことに注目。特に、売上高の高いFortune 500に位置づけられる企業では、Palo Alto Networksが昨年の10位から7位へと上昇しており、「セキュリティの重要性が高まっていることが浮き彫りになった」(イソラ氏)と述べている。
日本国内で最も利用されているアプリも、上位3位はグローバルと同じだ。日本において特徴的なのは、5位のBoxと10位のNetskopeが、昨年に引き続き10位内にランクインしていること。両アプリは、グローバルのランキングでは15位内にも入っておらず、「これはグローバルでは見られない日本独特の傾向だ」とイソラ氏は言う。また、日本ではGitHubの成長率が25%と最も高く、利用されているアプリのランキングとしても昨年の9位から8位へと上昇した。
グローバルで成長率が高かったアプリは、上位10アプリのうち6つが昨年に引き続きランクインした。特に、データコンプライアンスアプリが継続して成長しており、Vantaが2年連続で成長率トップとなった。今回成長率ランキングに新たに登場したのは、パスワード管理アプリのBitwarden(2位)、法人向け出張サービスに注力しているUber(5位)、調達ツールのZip(6位)、クラウド基盤のOracle Cloud Infrastructure(7位)だった。
1社あたりの平均導入アプリ数は、前年比9%増の101個となった。イソラ氏は、「世界中の企業が業務アプリへの投資を拡大しているということだ」と話す。国別では、米国のアプリ導入数が最も多く、平均114個だった。日本は、昨年の導入数が平均35個と調査国中最下位だったが、今回は前年比31%増の平均46個で、国別の成長率が最も高かった。企業規模別では、従業員数2000人以上の大企業で導入されているアプリ数は平均247個で、従業員数2000人未満の中小企業では平均71個だった。
多要素認証の導入が進む一方で、電話認証は減少傾向に
多要素認証(MFA)については、「多くの企業がフィッシング耐性のある多要素認証の導入を強化している」とイソラ氏。同社が提供するパスワードレスMFAのOkta FastPassに至っては、導入が前年比52%も増加した。また、セキュリティキーや生体認証の成長率も前年比16%増となっている。一方、これまで主流だったSMSなどの電話を使った認証方法は、今回初めて減少し、前年比14%減となった。
イソラ氏は、「より安全でシームレスなログイン方法が求められていることから、パスワードレス認証が世界中で急速に普及し始めており、Okta FastPassの認証件数は前年比377%も増加した」と話す。同ソリューションの国別利用状況を見ると、顧客1社あたりのOkta FastPassによる平均認証件数はフランスがトップ。米国は2番目に高い平均認証件数で、3番目が日本だった。ただし、イソラ氏によると、日本は他国よりもFastPassにおける生体認証の採用率が低く、「企業向けデバイスの多くがいまだ生体認証に対応したものへと移行していないことが要因だろう」としている。