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Red Hat、製造業分野のデジタル化における取り組みを説明 Linux Foundationの「Margo」プロジェクトも推進

 レッドハット株式会社は、「オープンソースイノベーションによる製造業の変革」をテーマとした記者説明会を3月4日に開催した。同日に開催された製造業関連のイベントに合わせたものだという。

 米Red Hatのケリー・スウィット(Kelly Switt)氏(Senior Director, Intelligent Edge Global Business Development Lead)が、製造業分野のデジタル化におけるRed Hatの取り組みについて紹介した。

 また、レッドハット株式会社の松本洋一氏(グローバルセールス Industry4.0事業開発室 室長)が、日本での取り組みなどについて説明した。

米Red Hatのケリー・スウィット(Kelly Switt)氏(Senior Director, Intelligent Edge Global Business Development Lead)
レッドハット株式会社の松本洋一氏(グローバルセールス Industry4.0事業開発室 室長)

ITでのイノベーションと同じものを製造業にも

 スウィット氏はRed Hatの30年以上の歴史について、コラボレーションやオープンプラットフォームにより、顧客のイノベーションを助けてきたと説明する。

 まずはIT分野で、UNIXベースのシステムからLinuxベースのシステムへの移行を推進してきた。ここ15年ほどでは、通信事業者に対してネットワーク仮想化を支援している。そしてさらに、同じレベルのコラボレーションやイノベーションを、製造業のインダストリアルオートメーションにもたらすと語った。

 スウィット氏は製造業におけるRed Hatのビジョンとして、同社が触媒やイネーブラーとなって、自律(autonomous)、自己構成(self-configuring)、自己修復(self-healing)を行う産業界の現場を実現すると説明した。

 Red Hatの強みとしては、まず、Red Hat Enterprise Linux(RHEL)やOpenShiftなどの標準的な単一のプラットフォームを、クラウドからファクトリーエッジ、自動車まで適用できる点があるという。

 さらに、制御システムからAIシステムまで統合管理できる管理システムもスウィット氏は挙げた。

ITや通信事業者でのイノベーションと同じものを製造業にも
製造業におけるRed Hatのビジョン
標準的な単一のプラットフォーム
統合管理できる管理システム

MargoによってOTとITのプロトコルを標準化

 Red Hatは、OT(制御技術)の事業者とのコラボレーションにより、インダストリアルオートメーションのオープンスタンダードに取り組む、とスウィット氏は言う。

 その要素となるのが、Linux Foundationの「Margo」プロジェクトだ。Margoではインダストリアルオートメーションにおける多数のデバイスやセンサーについて、データやデプロイなどの相互運用性について標準規格を作るものだ。

 Margoには、Schneider Electric、Siemens、ABB、Rockwell Automationらが参加。IT業界からは、Red Hatのほか、MicrosoftやIntelが参加している。ちなみに、Margoとはラテン語で「edge」を意味する単語だという。

 Margoと、OTとITの融合については、松本氏が補足説明した。同氏は、米国においては製造業の企業の中にITの知見があるのに対し、日本では外部のSIerにITの知見があるため、OTとITが分離していると指摘する。

 そこで、Margoが共通のプロトコルとなることで、OTとITが組む機運ができるだろうと同氏は語った。

 同氏はMargoについて、クラウドからエッジまでOpenShiftを使ってシステムを構成するRed Hatのソリューションにおいて、エッジでOTとITの間のAPIがMargo互換になるものだと説明する。

 松本氏は、工場で機器などの情報を収集することにより、動作の時間の指標や、機械自身の性能が発揮できているかどうかの指標、できた製品が品質を満足できているかの指標などが集まると説明。それをクラウドやオンプレミスで集約してAIで分析することで、生産や原価などの計画ができるようになるだろうと語った。そして、そのためにもMargoによって横つながりでデータを集める必要があると強調した。

Linux Foundationの「Margo」プロジェクト
Margoによる、日本におけるITとOTの融合