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Snowflake、ぐるなびのデータ活用改革について説明 「Cortex AI×Streamlit」でデータの民主化を実現
2025年2月28日 12:11
Snowflake合同会社は、株式会社ぐるなびのデータ活用改革に関する記者説明会を2月27日に開催した。ぐるなびは、Snowflakeを活用することで分散したデータを統合し、データ活用の効率化を実現。また、Snowflake Cortex Analyticの導入によって、自然言語によるデータ集計を可能にし、全社員がデータを活用できる環境を構築したという。
今回の説明会では、「Snowflake Cortex AI×Streamlitで実現するデータの民主化」をテーマに、ぐるなびにおけるデータの民主化の必要性や課題、新たな価値を創造したプロジェクト事例などについて紹介した。
説明会の冒頭で、Snowflake 執行役員 セールスエンジニアリング統括本部長の井口和弘氏があいさつ。
ぐるなびのデータ民主化に大きく関わるSnowflakeの機能として、「ニーズに応じた柔軟なデータとアーキテクチャ」、「アプリケーションの構築」、「エンタープライズAI」の3つを挙げ、「Snowflakeは、1つのプラットフォーム上にありとあらゆるデータを統合して管理することができ、すべてのアーキテクチャに対応している。また、データに近いところでアプリケーションを活用したいというニーズを受けて、Snowflakeのデータクラウド上でアプリケーションを構築できるStreamlit in Snowflakeを提供している。そして、エンタープライズAIについては、当社のデータ基盤に統合された形で生成AI機能のSnowflake Cortex AIを提供しているため、さまざまな大規模言語モデル(LLM)をSnowflake上で安心・安全に利用することができる」と説明した。
続いて登壇したぐるなび CTOの岩本俊明氏は、同社がデータの民主化に取り組む背景について、「当社にとってデータは、サービス開発において必要不可欠な要素であり、今後のビジネスの創出と成功にはデータの民主化が重要なカギになると考えている。データの民主化とは、部署に限らず、全社員がデータを活用できている状態を実現することだ。その中で、常に最新のデータを利用して、組織内にデータ活用の文化を浸透させることで、データから得られる洞察をビジネス戦略に生かし、誰もが新しいビジネスチャンスを創出することが可能になる」と述べた。
一方で、データ民主化を実現するためには、「データ資産のサイロ化」と「組織構造上の問題」という2つの課題を解決する必要があった。「クラウドサービスの普及によって手軽にデータを扱えるようになった反面、各サービスや部署間でデータが分断され、社内で共有・活用が進まなくなっていた。データ資産のサイロ化は、企業が本来持つポテンシャルを大きく阻害する要因であり、サイロ化の解消は急務だった。そこで、この課題を解消するべく、Snowflakeを導入し、各プロダクトや各部署が保有するデータの統合を推進した」という。
組織構造の問題については、組織の縦割り構造によって、「他部署のデータが使いづらい・使っていいかわからない」、「データ組織とUI開発組織が分離し、開発スピードや相互理解の低下」という2つの壁が生じていた。この課題に対して同社では、データへのアクセス管理のルールを全社的に見直し、Snowflakeによるデータ統合基盤の構築でガバナンスを強化。また、コラボレーションしやすい組織・チーム構成にすることで、クロスファンクションによるコミュニケーション強化を図った。
これらの課題を解決し、データ民主化によって新たな価値を創造したプロジェクトとしては、生成AIを活用した飲食店検索アプリ「UMAME!(うまみー!)」の開発事例を紹介。「データが重要なカギとなる新規プロジェクトとして『UMAME!』を立ち上げ、一元的なデータ活用体制を構築。Streamlit in Snowflakeを活用して必要なデータをすぐに共有できる環境を作り、意思決定のスピードを加速した。また、組織の壁も取り除き、PdM、Webディレクター、UIデザイナー、アプリ/バックエンド開発、データサイエンティスト、SREなど各役割が同じチームでアジャイルに連携する体制を整備した。さらに、小さく検証しながらスピーディに進めることで、無駄なコミュニケーションロスを徹底的に排除した」としている。
なお、「UMAME!」は、1月20日からβ版の提供を開始している。「UMAME!」は、生成AI技術やぐるなびのデータを使ってあらゆる外食ニーズにパーソナライズした店舗提案を行い、ユーザーを未知の食体験へと導く新たな飲食店探しのアプリ。従来の飲食店検索とは異なり、エリアや料理ジャンルを指定するだけでなく、日常的な会話で気分やニュアンスに基づいて検索し、ネット予約まで完結することができる。また、画像ファイルを使用して料理や雰囲気から飲食店を見つけることも可能となっている。さらに、ユーザーの好みに応じて進化し、予期しない新たなお店との出会いもサポートする。
岩本氏は、今後の展望について、「データを軸とした『UMAME!』プロジェクトの成功は、AI時代を勝ち抜くための基盤づくりとして大きな意義があったと考えている。また、データの民主化を一気に進めるきっかけになり、ビジネスを加速させることにもつながった。今後は、当社が持つ膨大なデータを民主化することで、『ぐるなび』の全プロダクトを進化させていく」との考えを示した。
説明会の最後には、ぐるなび 技術戦略室 データサイエンスグループ グループ長の新井駿氏が、Snowflake Cortex AIとStreamlit in Snowflakeを活用したデータ民主化のユースケースを、デモを交えて紹介した。「データの民主化を推進するにあたっては、全社員がデータを活用できるようにするために、『BIツールの学習コスト』、『適切なデータアクセス管理』、『料金コスト』の大きく3つの課題に直面する。これらの課題を解決する方法として、Snowflake上にStreamlitのアプリケーションを構築するアプローチがある」という。
具体的には、Snowflake Cortex AIを活用して、Streamlit上にアプリケーションを構築。Snowflake Cortex Analystが、自然言語での質問からSQLを自動生成してデータを取得し、Snowflake Cortex LLMがデータを考察する役割を担う。これによって、自然言語で質問するだけで、誰でも簡単に必要なデータを取得できる仕組みを実現する。新井氏は、飲食店のユースケースとして、「枝豆の値上げを検討しているため、枝豆の最新価格を知りたい。過去1年間で平均価格にどのくらい変化があったか教えてほしい」といった質問を投げかけ、AIが自動で分析および考察を回答するアプリケーションのデモを行った。