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CAC、製造業の現場などに設置したカメラ映像を活用するAI導入・運用プラットフォーム「OCTOps」を提供

 株式会社シーエーシー(以下、CAC)は12日、製造や建設、物流、公共事業などの現場に設置したカメラの映像から、AIがさまざまな情報を取得し、生産性や安全性、効率性の向上に活用できるAI導入・運用プラットフォーム「OCTOps(オクトパス)」を提供開始した。

 OCTOpsは、工場などの現場に設置したカメラ映像からの情報の取得、AIによる分析、AIモデルの再学習、運用管理まで、AIの導入・メンテナンス・改善に必要な仕組みをパッケージングしたソリューション。

 CACでは、近年、製造業の現場などで外観検査や在庫管理でAIカメラの利用が増えており、顧客の要望に応じてさまざまなAIを開発してきた。しかし、個別最適化したAIの場合、複数のAIを導入すると、情報が分散し、運用や管理の効率も低下しがちで、新規AIカメラの導入はコスト面でも負担になると説明。こうした課題に対して、既存のカメラが活用可能で、複数のカメラや各AIの適用を一元的に管理できるプラットフォームとして、OCTOpsを開発しており、これまで、コストや運用負荷の面から導入をためらっていた現場でもAIを導入しやすくなるとしている。

 OCTOpsは、Webカメラ、エッジマシン(GPUマシンなど)、データ保存環境(AWSなど)、および顧客のPCを組み合わせて構成する。AIは、すぐに利用できる汎用的なAIを複数用意しているほか、顧客の要望に応じたAIの開発にも対応する。

OCTOpsの構成

 ユーザーは、現場に設置された複数のカメラ映像を一元的に確認できるほか、カメラごとに適用するAIの設定が可能。また、OCTOpsはエッジマシン上でAIを稼働させるため、最適な性能を確保しつつ、クラウドでのGPUマシン稼働と比較して、ランニングコストを抑制できる。

 映像中でAIに認識させたいエリアの定義や各種稼働条件の設定などは、ユーザー自身で実施できる。AIの認識結果はクラウド上に保持し、ユーザーが必要に応じてダウンロードして可視化や分析に活用できる(他システムへの連携は個別対応)。

 学習用データの収集からアノテーション、再学習させたAIモデルの再配置まで実行でき、継続的な性能向上を実現する。

複数カメラ映像閲覧イメージ

 製造業の現場では、AI機能を柔軟に選択して利用できる。作業工数把握機能は、作業エリアでの作業員の滞在時間から作業時間を把握できる。モニター・メーター読み取り機能は、異常値をAI-OCRで検知し、データ化やアラート発報ができる。設備稼働状況把握機能は、シグナルタワーの点灯状況で、設備の稼働状況を把握できる。安全管理機能は、立ち入り禁止区域内の入場検知やヘルメットなど、安全防具の有無の確認ができる。

 また、個別対応が必要な機能のうち、外観検査機能は製品の外観異常や発送物の梱包状態異常の検知などの自動化と効率化、在庫管理機能はカメラ映像からAIカウンティングでリアルタイムに在庫状況が把握できる。

製造現場での「OCTOps」適用イメージ

 OCTOpsの導入前には、トライアル導入により効果と使いやすさを評価し、現場に最適なソリューションであるかを確認できる。今後は、導入プロセスをサポートし、カスタマイズやフィードバックにも対応していく予定。

 CACでは、OCTOpsは今後さらに多様なAI機能の追加・アップデートを予定しており、製造業にとどまらず、物流業や建設業など幅広い分野への展開を目指すと説明。また、グループ企業のシー・アイ・エム総合研究所の金型製造など、個別受注生産向け生産管理システム「Dr.工程Family」といった、他システムとの連携機能も強化していくとしている。