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ブレインパッド、ユニ・チャームの社員専用生成AI利用環境「UniChat」の精度改善と利用部門拡大を支援

 株式会社ブレインパッドは27日、ユニ・チャーム株式会社の社員専用生成AI利用環境「UniChat」の精度改善を行うとともに、多部門(複数部門)に利用範囲を拡大する支援を行ったと発表した。

 UniChatは、ユニ・チャームの国内約3000人の社員が利用するチャットツールとして、法務部門に対する問い合わせの効率化をテーマに活用が始まった。ブレインパッドの支援によるUniChatの精度向上により、法務部門宛の問い合わせ件数は、1人あたり月100件から最大で月3件に減少し、問い合わせ対応に要する時間も1人あたり月17時間から最大で月30分にまで短縮される効果が出ている。また、この効果を踏まえて、経理や人事、情報システム等の複数の部門に利用が拡大しているという。

 ユニ・チャームは2023年8月に、情報システム部が主導し、テキスト生成が可能なUniChatを開発した。2023年秋ごろから、さらなる拡張性を求めてRAG(検索拡張生成)に加えて、一度に長い文章をLLMに渡しても理解できるようにする「ロングコンテキスト」や、「音声・画像・動画などのテキストデータ以外の入出力」など、生成AIをさらに活用するための調査を開始した。

 この調査において、ユニ・チャームは「AIの学習のために外部データを利用できること」や「複数部門へ展開できること」を重視しており、調査の結果、生成AIのビジネス活用に関する豊富な知見と、マルチモーダルAIの導入プランを有するブレインパッドに支援を依頼することを決定した。ユニ・チャームは、この決定に際し、ブレインパッドであればベンダーロックインがなく、マルチベンダーでの対応が可能である点に加えて、取り組みを主導するユニ・チャームの情報システム部が数名程度の少人数組織であることから、組織に伴走して支援する実績が豊富である点を評価した。

 ユニ・チャームの法務部門に寄せられる質問には初歩的なものや簡易的なものも多く、従来は、それらの対応に要する時間がコア業務を圧迫している状況にあった。そこでまずは、1人あたり月100件程度、約17時間をかけていた問い合わせ対応業務を効率化すべく、2023年12月からブレインパッドの支援を得て、Google CloudのGeminiとVertex AI Agent Builderを活用したPoCを開始した。

 このPoCでは、法務部門と情報システム部との連携により、AIの根幹となるデータの整備を進めた結果、質問に対する正答率が90%を記録し、想定を超える効果を創出できた。同時に、社員の利便性の向上を最優先に位置付け、チャットの利用状況の分析結果を元にしたUIの改善も進めていった。

 こうした半年間のPoCを経て、2024年8月からUniChatの本番利用を開始したところ、法務部門1人あたりの問い合わせ件数は最大で月3件に激減し、対応に要する時間も最大で月30分に縮小され、劇的な業務効率化を実現できたという。

 ユニ・チャームは、法務部門における成果を踏まえ、2024年10月からは人事や経理、情報システム、知財など複数の部門にUniChatの利用を拡大している。さらに、特定部門への問い合わせだけでなく、どの部門に尋ねて良いのかわからない場合にも回答が得られる、全体横断型のチャット窓口を設けたことも功を奏し、UniChatの利用率は以前の約1.3倍に上昇した。

 ユニ・チャームの社員は、UniChatを活用することで、問い合わせ先の部門から回答がくるまで待つしかなかった時間を短縮できるようになり、会社全体の業務効率化にもつながっていると説明。また、ユニ・チャームの知財部門においては、社内データだけでなく、特許庁が提供するデータソースをUniChatに学習させ、要約の生成および資料化までの自動化を実現しており、UniChatが特許情報を利用した新規開発を担えるようになるなど、今後は、業務効率化だけでない新たな価値を生むための生成AI活用にも挑戦していくとしている。