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Preferred Networks、金融機関向け大規模言語モデル「PLaMo-fin-base」を提供

 株式会社Preferred Networks(以下、PFN)は27日、大規模言語モデル(LLM)「PLaMo(プラモ)」について、日本の金融知識を強化した派生モデル「PLaMo-fin-base」を金融機関向けに提供開始した。PFNの金融チームが、金融機関における自然言語処理技術を要するさまざまな処理の精度向上、業務効率化に向け、課題の把握、技術やユースケースの検証、アプリケーションの開発・運用までトータルで支援する。

 PFNグループでは、既存のLLMを用いることなく、PLaMoを事前学習からフルスクラッチで開発している。そこで得られたLLM開発ノウハウとモデルを用いて、特定領域に特化したLLMに必要な追加学習や機能開発、業務プロセスに応じた適切なシステム設計を柔軟にできることが強みだとしている。

 PLaMo-fin-baseは、世界最高クラスの日本語性能を有するPLaMoをベースに、PFNの金融チームが日本の金融分野における大量の日本語データを追加学習させているため、国内の金融知識が求められるタスクに対する回答性能がさらに向上している。例えば、AIエージェントの核となるLLMとしてPLaMo-fin-baseを用いることで、営業日報に基づく提案内容の下書き、投融資にかかる稟議書類の作成、窓口や法人営業のロールプレイ、IR情報に基づく企業分析、規制当局から発信される情報の要約など、銀行や証券会社における広範な業務の効率化、高度化に活用可能だとしている。

 PLaMo-fin-baseは、金融分野における日本語ベンチマークJapanese Language Model Financial Evaluation Harnessで高い評価を得ており、証券アナリストや会計士のような金融専門家に求められる能力を問うタスクにおいて、高い性能を達成していると説明。社内データやノウハウの利用・連携が可能で、業務日報、研修資料、マニュアル、顧客データベースなどの社内の独自ファイルをRAG(検索拡張生成)によって活用できる。また、投資における価値判断の基準といった独自の業務ノウハウを、追加学習によってモデル自体に反映させることもできる。

 極めて高いセキュリティ水準が求められる金融機関での利用を想定し、データを一切社外に出さないオンプレミス環境で利用可能。顧客や国内外の学会・カンファレンスで高い評価を受けているPFNの金融チームが、実務への応用を支援する。また、LLMの追加学習によるパラメーターチューニング、機械学習・深層学習の最先端技術に基づいたソリューション開発・提供実績を多数持つ。

 PFNでは、金融領域に特化したLLMの開発を継続的に進めており、PCなどのエッジデバイスでも動作する軽量モデルの開発や、安全性や性能の向上を目指していると説明。また、これらを活用したAIエージェントの開発も行っており、金融機関向けLLM活用支援サービスをさらに高度化していくとしている。